カテゴリ:政治経済
また碁に関係のない鬱陶しい話を書いて恐縮だ。
今日もある経営者と世間話をした。今期は受注が減っているので(利益に対して課税される)法人税の負担は軽くなるだろうが、社会保険料負担が増えているって話になった。 法人は所得(利益)が出なければ法人税は課税されません。税としては法人住民税・法人事業税・固定資産税等を払えばいいだけなので赤字会社の税負担は軽いです。 しかし社員を社会保険に加入させていれば、社会保険料を納付しなければなりません。儲かっていない会社では税負担よりも社会保険料負担の方が大きいのです。 困った事に、資金繰りに苦しんだ会社は社員から天引きした社会保険料を納付していない不届きな会社が結構多いことです。 これは安月給のサラリーマンの給与明細と同じです。天引きされている所得税よりも厚生年金・健康保険の方が1桁多いはずです。 日本は不況とインフレが同時進行する経済危機にあります。給与・所得が下がるのに支出は増える。すると企業も個人も・・いかにして国に払う金を節約するかを考えざるを得ない。 「無税」入門 只野範男著という本がある。 図書館で借りて読んだ。なかなかイイ線点いているじゃん、と思ったけれど、これ所得税・住民税を回避する方法でしかない。 著者は自分を例に年収500万円で妻1人・子供2人を養うケースを書いているが、所得税・住民税より3倍以上払っているの厚生年金と社会健康保険をどう回避するかは書かれていない。 というか橘玲、野口悠紀雄、森永卓郎各氏の「節税術」の本にも厚生年金と社会健康保険をどう回避するかは触れられてもいない。 現行制度では、給与の約15%は厚生年金保険料、約10%は社会健康保険料として国が徴収する事になっていて、半分を被保険者(社員)が半分を雇用者(会社)が負担している。 どうやって回避するか・・であるが、自営業者になって自分で確定申告して所得税が0になるようにすれば、国民年金保険料も全額免除申請ができるし、国民健康保険料も年額5万円以内ですむ。年収300万円でも働き方、申告の仕方を工夫し、税務署・社会保険事務所・市役所などにいろんな申請書を書いて手続きすれば、全額手取りで月25万円を確保できるはずだ・・ あぁ私も企業の管理職だった頃には年収600万円を超えていた・・けどあの頃でも手取り32~33万円だった。アホほどサービス残業していた事を考えると・・あんまり賢くなかったか。これは結果論でしかない。30前半で課長になった頃は20年後は上場会社の経理担当常務に成れると信じていた。 その頃は自分の給与明細を見て、政府に搾取されているとは感じていなかった。自分の総収入が右肩上がりだと信じていたからだ。 年収が半分になると、いかにして税負担や社会保険料負担を回避するか、税務・経理の経験・知識を己のために使うようになった。 おまえには法を学んだ者としてのモラルはないのか!と言われそうである。だけど世間を見てみれば、派遣労働者・日雇い派遣・パート労働者を企業が雇用する理由は人件費削減のためである。ここでいう人件費の25%は社会保険料なのだ。 私のような個人が先にあったのではなく、社会保険負担を回避するビジネスモデルとして派遣・パートを使うという企業のあり方を見て、派遣業界にいた私が個人のレベルで真似ただけの話である。かかる企業経営がこの国に定着してしまった事の方が重大である。 じゃあ、何でそんな不公平でややこしい事になっているのか。一言で言えば縦割り行政の弊害、なのである。健康保険制度の一元化した国として2000年の韓国、来年から実施するドイツがある。これらの制度を導入するには国民総背番号制を導入し、アメリカの歳入庁みたいな役所を設けて、直接税と年金・健康保険の納付先を統一する事で抜け穴や不公平はほとんどなくなるはずなのだ。 ところがこの国では、年金を例にすると国民年金の徴収は社会保険庁が行うが、社会保険を脱退し、国民年金に加入したり、所得が少ないとか失業したとか言うて国民年金の支払免除申請を受け付ける窓口は市役所にある。 役所間での情報の共有がきちんとできていない。収納業務が地方自治体から社会保険庁へ移管された時のデータがおかしい事が近年わかってしまったのだから、間違いない。 社会保険庁は廃止されても厚労省の下部組織が新たに誕生する予定になっている。 アメリカみたいに税務署と社会保険事務所を一つにして公務員をドバっと削減し、税負担や社会保険料負担を回避しようとする企業や個人をなんとかしようとはせず、 ただ役人たちは自分たちの天下り先を確保する縄張り争いに終止し、政治家も自分の選挙の事しか考えていないので、役人のやり放題である。 かくて不届きな個人・法人は増えてゆき、政管健保や国民健康保険の赤字も増えて結局、税金か国債の発行増もしくは、医療費の削減へと国は進んでゆくのだろう・・ 日本の医療費は対GDPで8.8%であるらしい。アメリカは15%、ヨーロッパでは12~14%位であるらしい。高齢化が進んでいるのにこれ以上国全体で医療費削減しようとすれば、医療の現場が危ない事は外から見てもわかる。 おまえは只野範男(free rider)のくせに何を言ってるんだ!とのお叱りの声が飛んで来そうなので、ここで話はおしまいとさせていただきます。お粗末 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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