陸別、しばれる謎解けた
陸別、しばれる謎解けた 高橋・北見工大名誉教授ら調査 盆地冷却、木少ない斜面原因 寒さの仕組みをジオラマで説明する高橋修平名誉教授 【北海道陸別】「日本で最も寒いマチ」がキャッチフレーズの十勝管内陸別町の寒さは、独特の地形による「盆地冷却現象」や木が少ないことなどが原因であることを高橋修平・北見工大名誉教授らが解明した。 長期にわたる同町内の詳細な気温観測では、最低気温が気象庁の地域気象観測システム(アメダス)観測地点を大幅に下回る氷点下40度に達した例もあり、陸別の寒さがあらためて証明された。 高橋名誉教授ら北見工大の研究グループは、陸別町しばれ技術開発研究所の協力を得て、1991年から同町内の約30カ所で冬季(12月~翌年3月)の気温を10分ごとに観測。その結果、気温の低い地点は、町内を流れる斗満(とまむ)川、利別(としべつ)川、陸別川の3本の河川に沿った盆地状地形の谷の部分に集中していることが分かった。 さらに、標高550メートルのポントマム高台より同287メートルのふもとの方が最低気温が低いことを確認。通常は標高が高くなるほど気温は下がるが、これとは逆の現象が起きていることが判明した。 これらの観測結果から、高橋名誉教授は、晴れて地表の熱が奪われる放射冷却が起きた上、盆地状地形の低い部分に、周りの斜面を伝って冷気が流れ込む「盆地冷却現象」が起きていると結論付けた。冬季に比較的乾燥している、盆地を囲む斜面に樹木が少ないといった要素も冷え込みが強まる要因としている。 20年以上の観測では、斗満川下流域にある高田牧場(標高211メートル)で2000年1月27日に、気象台などでの国内最低記録の氷点下41度(1902年、旭川)に迫る同40度を記録。同町役場近くにあるアメダス観測地点を6・8度も下回っていた。 陸別町しばれ技術開発研究所の佐藤秀昭所長は「観測データから、陸別が日本一寒いマチであることが裏付けられた」、高橋名誉教授は「陸別は道内で人が生活している所では最も寒い地点ではないか」と話している。 同町内の「銀河の森天文台」では現在、ジオラマやプロジェクターで、陸別の寒さの仕組みが分かりやすく展示されている。