芸術祭参加作品だそうだ。
英明で家臣に慕われていた殿様が、家臣の本音を聞いてしまったために、今までの賞賛はすべて追従・服従だったのではないかと疑心暗鬼に陥り、暗君となって人々を苦しめる。
家臣も苦しむが、殿様自身も家臣を信じられずに苦しむ。
相手が殿様であっても意に従わない夫婦によって目が覚め、さらに母の愛に触れて、一人の人間として生きていけるようになる。
市川雷蔵は、「濡れ髪」シリーズのような明るいものも似合うが、こういった鬱屈した人物も似合う。さすがである。
原作は菊池寛。原作とはだいぶ趣が違う。
「
青空文庫」で読める。
一太郎をお持ちの方には、「
一太郎で青空文庫」もあります。