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2007.07.20
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カテゴリ:カテゴリ未分類
 私は通勤途中、北千住駅で乗り換えている。
 去年四月の異動以前から、リュックにウエストポーチというかっこうで通勤している。
 先日のこと、構内で、突然、二人組の警察官に、
「そのカバンにナイフが入っていませんか」
と尋ねられた。
 警戒期間中か何からしく、警察官の姿が目につくなとは思っていたが、自分が呼び止められるとは思わなかった。
 最初は何を言っているのかよく分からなかったのだが、重ねて尋ねられ、考えてみると、写真のアーミーナイフを入れっぱなしだった。何もやましいことはないので、
「入ってますよ」
と、ファスナーを開けて見せた。
 とたんに、二人の顔が輝き、
「一緒に来てくれ」
と言う。
「仕事に遅れるから、一緒に電車に乗って欲しい。話は電車の中で聞く」
と言ったが、
「それでは管区が変わってしまうから困る。とにかく一緒に来てくれ」
と言う。断るとかえって面倒なことになりそうなので、おとなしくついて行った。
 連れて行かれた先は千住警察署の地域課。
 最初に声をかけた、若い警察官の取り調べを受ける。
 私が身分書名書や運転免許証や名刺を出してみせると、やけに低姿勢で話しかける。
 私の住所が茨城県であることを知ると、
「自分の実家も水戸なんですよ」
などという。
 しかし、カバンの中身やウエストポーチの中身はしっかり調べる。
 自分でも思いがけないことだが、シリコングリスが出てきた。警察官には、それが何かわからないようなので、
「これはCPUとクーラーを密着させるものだ」
と説明したが、何のことか分からないらしい。
 仕事に遅れそうなので、職場に電話してもいいかと尋ねると、
「仲間に連絡されることがあるので、電話は許可できないんです」
と、申し訳なさそうに言う。
 身元を明かしているのに仲間もないものだ。
 さらに、
「規則なので申し訳ないけれど、ボディチェックをさせてください」
と言う。断れば面倒になるのは目に見えているので、両手を挙げて、ポケットを上からさわらせる。
 相手は低姿勢で言葉遣いは丁寧なのだが、取調室というのは独特の雰囲気がある。
 今まで、していないことを自白させられた人の話を聞くたびに、どうしてそんなことになるのだろうと思っていたが、なるほど、こうして冤罪が生まれるのか、と納得した。
 身長や体重まで聞かれ、その警察官がいなくなったと思ったら、その上司らしい人が出てきた。この人はあとで、自分の所属の内線番号と姓を教えてくれたがそれをそのまま書くのは差し障りがあるだろう。
 石倉三郎に似ていたので、仮に石倉さんとしておく。
 石倉さんの言うには、
「ハイキングに行くのなら持っていても問題はない。また、買って家に帰る途中なら問題なし。しかし、必要もないのに持っていること自体が法に触れる。本来なら、検察の判断を仰ぐところだが、身元も分かったし、始末書で終わりにしたいから、書いてくれ」
ということだった。
 こんなことで検察まで出てきて休暇を取らされたのではたまらない。始末書を選ぶ。
 仕事に遅れることは確実なので、電話してもいいか、と尋ねると、石倉さんは判断してもいい立場らしく、かまわない、というので、その場で電話。
 それから、始末書を書くことになったのだが、驚いたことに、罫線も何もない白紙に書くのである。
「書式はないんですか」
と尋ねると、
「昔はあったけれど、決まった書式で同じ文言だと、検察からクレームがつくので」
と言う。
 石倉さんが口で言うことをもとに始末書を書く。
 罪名は、「軽犯罪法違反(凶器所持)」なのだそうだ。
 私がおとなしく書いているので安心したらしい。
「点数稼ぎだと言われるけれど、これが自分たちの仕事なので」
と申し訳なさそうに言っていた。
 その言葉の意味は後でわかった。
 こういうことでも犯罪になるということを知らせるために、みんなにこのことを話していいかと尋ねると、かまわない、と言い、内線番号と姓(もちろん石倉ではない)を書いてくれた。
 最後に、名刺を返してくれると言ったが、
「不審なら、私の身元を職場に確認して欲しい」
と言って残してきた。
 石倉さんは、
「そんなことはしません」
と言っていた。
 書き終わると、私を連れてきた二人が、玄関まで送ってくれた。
「駅までの道は分かりますか」
と、あくまで低姿勢である。

 職場で、一応、上司に報告。
 ナイフの実物を見せ、遅れた事情を話すと、
「こんなもの、銃刀法違反でも何でもないじゃないか」
と驚きあきれ、
「お気の毒としか言いようがない」
と同情してくれた。

 さて、その日の帰宅途中。
 また呼び止められるといやだな、と思っていたら、通勤時までいた警察官の姿が全くない。
 翌日からも一人も見ない。
 それで石倉さんの言葉の意味が分かった。
 始末書のノルマがあったのだ。私の始末書で、そのノルマが達成できたので、警戒の必要がなくなったわけだ。
 さて、私が警察官の立場だったらどうしたろうか。
 昇給できないというだけなら、何もしないでいるだろうが、ノルマを達成しないと処分されるとなったら、同じことをしたかもしれない。
 こんなことをしてでもノルマを達成しなくてはならないのだから、警察官というのは、平時にあっても大変な仕事なのである。

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Last updated  2007.07.21 17:42:40
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