「とりかへばや、男と女」 【河合隼雄】
とりかへばや、男と女(著者:河合隼雄|出版社:新潮文庫) よんだことのない古典なので、あらすじが紹介されているのはありがたい。凝った物語で、あらすじだけでも感心する。 文学的な価値がどうこうというのではなく、「男」「女」というのは、心の中ではどういうものなのかが語られる。 心理学者として、カウンセリングの経験が豊富にあるのだが、生々しい事例はあえて出さない。 「内なる異性」「美と愛」など、それぞれの章を読んでいるときは、「ほうほう、なるほど」「そうだったのか!」などと思うのだが、こういう本を読んだときの常として、全体を読み終わると、何が書いてあったのか断片的にしか覚えていない。 「物語」というのは、それを語る側、受け入れる側のそれぞれの心に働きかけるものがある、という印象だけが残った。