池波氏の独特のリズムで語られる文章の魅力 時代小説「鬼平犯科帳〈6〉」
みなさん、こんばんは。国際水泳連盟がオリンピック最終予選3大会の中止決定しましたね。オリンピック開けるの?今日も池波正太郎作品を紹介します。鬼平犯科帳〈6〉池波正太郎文春文庫「つくづくとばかばかしく思うのだよ」なれど「このお役目が、おれの性にぴたりはまっている」のである。だから火盗改方の長官・長谷川平蔵は、疲れにもめげず今日もまた出動する。 文章を見ただけで、誰が書いたものかわかる場合が、たまにある。池波氏は、数少ないその一人である。「だが、おまさの胸さわぎは、しずまらない。茶店のむすめと瓜二つとまではゆかぬにしても、そっくりな、別の女の顔を、そこに見たからである。」(「狐火」より)この文章を、国語で習った通り、句読点で区切り、『まる』で長く間を取って読むと、割合規則的なリズムを感じ取ることができる。しかし、オリジナルでは、こうなっている。「だが……。おまさの胸さわぎは、しずまらない。茶店のむすめと瓜二つ、とまではゆかぬにしても、(そっくりな……)別の女の顔を、そこに見たからである。」「……」の挿入と、改行によって、前に挙げた文章にはない、ある『間』ができる。とんとん、とんとんとんの中に、とんとん、とお……ん、とん。というリズムが入り込み、文章に動きが生まれる。また、台詞でも行動でも、みなまで言わない所があり、その部分は読者側に放られる。だから、読んでいる人は、書かれていない部分を自分の想像で補いながら、この文章のテンポで、頭の中で映像をまわしている。多分、キャラクター設定は、時代小説がこれだけ登場すれば、似通ったものが出てくる。親分肌のボス、おっちょこちょいの部下、年輩の頼れる部下、まじめ一徹の部下、主人公に思いを寄せるけなげな女性。でも、こんな個性的なリズムで動いているキャラクターはどこにもいない。「礼金二百両」「猫じゃらしの女」「剣客」「狐火」「大川の隠居」「盗賊人相書」「のっそり医者」の七篇収録。【すぐに使えるクーポン有!2点で50円、5点で300円引き】決定版 鬼平犯科帳 (6) (文春文庫)/文藝春秋/正太郎, 池波 【中古】BUY王楽天市場店