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わけのわからない日が続く シカゴ編

わけのわからない日が続く シカゴ編

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2016.10.24
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先日ミツワで昔の知り合いのTさんにばったり会った。
日系企業の駐在員さんである。
駐在員のTさんと言えば、以前のブログからの読者の方は覚えている人がいるかもしれないが「シカゴ在住の駐在員さんと大口論!私は途中で席を立つ。」という日記を書き、アクセス数が凄かった。
反響が大きかった日記だ。

あれからもう4年以上も経っていた。

Sさんは今年の春に日本に帰国していたことを知った。
そしてTさんはSさんと大口論した時に正しく私がアドバイスした通りのことがSさんの子供達に起ってしまったと言うのだ。
「ほそみちさんは恐ろしい人です。」と笑いながら言われてしまった。
Sさん家族は日本に帰国してから子供達の教育のことで随分苦労していると言うからどんな苦労をしているのかと思ったら、単に子供達が有名私立中学の受験に落ちただけだった。

私にとってはそんなものは苦労しているとは言わないものだ。

TさんはSさんが一時期はかなり落ち込んでいた言うが、単に子供達が有名中学の受験に落ちただけで親が落ち込むものだろうかと思ったが、それには理由があった。
Tさんの会社で今年に帰国命令が出たのは二人。
Sさんはその内の一人だったのだが、帰国命令が出た2家族の子供達は同じ有名私立中学を受験した。
そしてSさんの子供は不合格だったのだ。

海外子女が有名中学の受験をする際に重要視されるものの一つとしてTOEICなどの英語の試験の点数があるそうだが、日本人学校に通わせていた駐在員家族の子供の英語の点数の方が遥かに高かったのだ。
Sさんは他の科目の点数はともかく、現地校に行かせた自分の子共の方が少なくとも英語だけは点数が上だと信じていたのでそのショックは大きかったらしい。

だから言わんこっちゃない!
私があの時にそうなりすよとはっきり言ってあげたのに!

Sさんとの大口論は漫画みたいな話しだった。

Tさんが私にシカゴに赴任してきたばかりの後輩社員のSさんの相談にのって欲しいと頼まれた。
Sさんは子供を行かせる現地校のことで相談にのって欲しいと頼まれた。
普通の駐在員の任期は3年か5年であるが、Sさんの任期は10年以上になる予定だった。
10年以上もシカゴに駐在するとなると現在小学生の息子達二人ともが大学に入ってしまうことになる。
Sさんは私の息子のように子供達をアメリカの大学に行かせる積もりをしているので色々と相談させてほしいとお願いされたのだ。

Tさんの様に長い付き合いができる日系企業の駐在員もいるが、中には変なエリート意識を持っている人が少なくない。
アドバイスを求められた時に真面目に答えてあげても直ぐに反論されてしまって、こちらが気分を害するケースが多々あった。
だから私はどこまで率直なアドバイスをすればいいのか少し躊躇していたら、Sさんが「何を言われても怒りませんから、ほそみちさんが思っていることをズバっと話してくださいよ!」と言うので、ズバっと話した直後にSさんが怒り出してしまったのだ。

もう一度言うが、漫画みたいな話しであった。

現在小学生の子供達をアメリカの大学に行かせようとすれば親が最初に心配するのは子供達が普通のアメリカ人の子供が受ける英語の授業にちゃんと付いて行けるかどうかである。
息子の時代に比べ、現在の帰国子女枠での受験は相当に難しくなっているようだが、一般受験と比べれば早稲田や慶應などの有名校に簡単な試験で入れるのは今でも変わりない。

しかしアメリカの大学への進学となるとそんな特別待遇は全くない。
普通のアメリカ人と同じ英語の試験を受けなければならない。
Sさんが望んでいるような有名大学となると普通のアメリカ人よりも英語の点数がよくなければならない。
それはSさんもよく判っていた。

だから彼の二人の小学生の息子達を現地校に行かせて早く英語に慣れさせようとしたのだが、私はSさんに子供達を現地校に行かせたら逆に英語の点数が悪くなりますよとアドバイスした。
子供達をアメリカの大学に行かせるなら子供の知能が日本語で安定する小学校までは日本人学校で日本語で勉強させた方が絶対に得だとアドバイスしたらいきなりSさんが怒りだしたのだ。
シカゴの駐在員さん達の典型的な態度であるが、自分が期待していたアドバイスと違っていたら気分が悪くなるのだ。

非常に失礼な話しだった。

「人を呼びつけて相談させて下さいとお願いしておきながら、人の話を最後まで聞かずに反論を始めてしまうのであれば、あなたにはこれ以上何もアドバイスする積もりはありません!これで帰ります!」とはっきり言って立ち上がったらSさんの駐在の先輩であるTさんが慌ててしまい「ほそみちさん、とりあえず座ってください。今ビールを持ってきますから...」と言って冷蔵庫に走って行ったのを覚えている。

あれからもう4年も経ったのか...

日本に帰国したSさんの子供は有名私立中学に落ちたので公立の中学に進学したのであるが、公立中学の授業レベルについて行けない問題も発覚したらしい。
小学生時代に理解しておかなければならない基本的なものがすっぽり抜けているのだ。
小学生時代に学んでおくべきものを逃してしまうとそれを全てリカバーするのは一生不可能だと言われている。
Sさん家族は子供達を有名私立高校へ進学させるどころか普通に公立高校へ進学させることが危うくなってしまい、かなりショックを受けているらしいとTさんが話してくれた。

あれだけ子供の教育に熱心な親だったのに...

私があの時にアドバイスした様に神様が我々に用意してくれた道を疎かにしてしまうととんでもなってしまう可能性があることを私自身が改めて再認識した。
以前にも日記に書いたが、12歳までの子供の脳の発達は人生で一度切りのゴールデンタイム。
神様が書いた台本を人間の親の勝手な都合や見栄でそれを変えてしまえばその犠牲になるのは子供達だ。

両親共日本人で生まれてから日本語の環境で育ち、家の中では日本語で話している子供達は脳の発達が安定する12歳まではそのまま日本語で勉強させてやらないと英語だけに限らず他の教科にしても脳の思考能力の発達を妨げてしまうことになる可能性が高いとアドバイスしてもらったことがある。

嫁さんも私も子供の教育に関しては全くの素人。
(※嫁さんは日本にいた時は児童専門の社会福祉主事だったので教育に関して全くの素人とは言えないかもしれないが、私は嫁さんの能力を認めていなし、嫁さん自身も自分を認めていないので素人だと判断する。しかし問題のある児童に関しては彼女はプロだと思う。)
我が家がシカゴで暮らし始めた頃、嫁さんは息子がこれから英語オンリーの世界で生活して行くことになるので早く英語を学ぶために現地校に行かせるべきだと主張したが私は真っ向から反対した。

私は息子の英語のことなんかは眼中になく、息子が英語中心に話し始めてしまったら親子喧嘩もロクにできないのは絶対に困ると思ったのでシカゴ双葉会日本人学校に行かせることを主張していた。
嫁さんとの口論は平行線だったので、それじゃ専門家に訊いてみようということになったのだ。
嫁さんの駐在員の知り合いが現地公立学校でカウンセラーとして働いている日本人の先生を紹介してくれた。

その先生が一番最初に話してくれたのは「息子さんを現地校に行かせたら逆に英語が出来なくなりますよ。幸いにもシカゴには日本人の小学校があるのだから、12歳までは日本語で勉強させてあげなさい。」と言われた。
早い話しが日本で生まれ育った子供は12歳までしっかり日本語で勉強させた方が英語の成績まで良くなるのははっきりデータにも現れていると説明して頂いた。

嫁さんも私は教育関係には無知であり、その時のカウンセラーの先生の話があまり理解できなかった。

「それじゃ、ほそみちさん、1/2と1/3を足して下さい。頭の中で日本語を一切使わず英語だけでですよ。」

えーっ、分母を共通の6に...

げっ、日本語で考えているじゃないか!

こんな簡単な算数を行うのに日本語なしでは物凄い時間がかかってしまうのである。
先生にそんなことを言われて初めて気付いたことであるが、数学や物理なんて見た目には数字や数式だけが並んでいるだけなのに、頭の中では日本語なしでは何もできないのである。
日本語でも英語でも何語でもいいが、一つの言語をちゃんとマスターしていないと物事を深く考えなれないことを先生の簡単な実験によって嫁さんと私はある程度は理解できた。

「ほそみちさん、英語をどのぐらい勉強されましたか? 中学・高校・大学で10年ぐらいは勉強してますよね。」

その通りであるが、私の場合、米国企業で英語で働くにはその程度の英語能力では無理なので、それ以上の勉強をしている。
一応仕事には支障のない程度の英語を話しているが、私はまだまだ英語が下手である。

「ほそみちさん、でもね、明日生まれた赤ん坊は3年後にはほそみちさんよりも上手な英語を話すようになるのですよ。」

私は言葉を失った。

その通りである。

確かに同僚の5歳の息子が話していた英語が時々理解できないところがあったことを思い出した。
これだけ長い間英語を勉強していて確かに5歳の子供の英語に勝てないのだ。

アメリカで生まれた赤ちゃんは私が苦労して英語の過去分詞や現在進行形などの文法なんかを一切勉強していないが、自然に英語が話せるようになってしまう。
それは我々が日本語の文法を勉強しなくても日本語を話せるようになったのと同じである。

神様が10歳までの子供の脳に与えてくれた人生で一度切りのゴールデンタイムだからである。
そのゴールデンタイムというのは脳細胞が細胞分裂を物凄いスピードで繰り返し、どんな知識でもスポンジの様に吸収してしまう時期である。
耳から聴こえてきた音や目で見たものをスポンジのように何もかも吸収して直ぐに自分のものにしてしまうスーパーマンみたいな能力が人生で一度だけ与えられているのだ。

そのゴールデンタイムを過ぎると私や嫁さんのように苦労して英語のややこしい文法を全て学習しなくてはならないのである。
我々日本人も日本語で普通に話せば無意識に過去分詞や現在進行形になっている。
その期間が終わるのは小学校を卒業する12歳であり、10歳を過ぎた辺りから脳の発達は収束していくそうだ。

先生が言うには英語だけの問題なら大したことはないのだが、英語と同じことが算数にも理科にも起るらしい。
掛け算や分数計算などの小学生時代に確実に理解しておかなければならない基礎学習を理解することを疎かにすれば、英語と同じでそれをリカバーするために非常に余計な努力が必要になってくる。

これは子供の自己保護機能が働くからだ。
何でもかんでもスポンジのように吸収して直ぐに自分のものにしてしまうスーパーマン機能のスイッチをONにしたままでは子供の脳がパンクしてしまうからである。

IPS細胞の様にOFFになってしまったスーパーマン機能のスイッチをONにしてくれる遺伝子を早く誰かが見つけてくれないだろうかと私は願っている。
そうすれば私は同僚の子供の様にミルクを飲んでいる間に完璧な英語を話せるようになるのだが...

我々はお米を食べると内臓の消化器から出るさまざまな酵素によってブドウ糖などに分解(消化)されて、体内に取り込まれる。
算数の分数式などを子供が黒板で見るとその情報は目から入り、日本語という酵素によってそれが分母や分子というようなものに分解(消化)されて大脳質に格納される。

本を読だり先生や親や友達と口論したり、騙したり騙されたりしてことによって日本語の酵素が強くなり、物事を理解する力を増していくものであるが、子供達を英語オンリーの現地校に通わせるとそれまで鍛えた日本語の酵素が使えなくなるので、子供達の頭の中で英語の酵素を作り始める。
子供達の適応能力は物凄いものがあり、親が想像するよりも早く英語の酵素を増やすことができる。
子供達は英語で考える頭に作り変えていくのだ。

日本で暮らし、日本語だけで授業を受けてきた同年の子供達の思考能力の高さに比べると英語オンリーの現地校に通った子供達は英語の酵素を作った分だけ思考能力が明らかに低くなってしまうのは絶対に避けられないのだ。
勿論5ヶ国語を完全に理解している天才的な子供も世の中にはいるが、私が話しをしているのは一般的な家庭の子供の話しであることが前提である。

特に日系企業の駐在員家族の子供達は真面目で頭が良い。
親が高学歴で頭が良く、親からしっかりとした教育を受けているからだろう。
私の実家がある滋賀の田舎町の子供達に比べたら比べ物になからないほど勉強していると思う。
仮に滋賀の田舎町の子供達の知能レベルを100とするとSさんの子供達の知能レベルは180ぐらいではないかと思う。
カウンセラーの先生はそういう真面目に頑張って勉強しているバイリンガルの子供達を見ると可哀想に思える時があると言うのだ。

Sさんの子供達の様なバイリンガルの子供の知能は総合的には非常に高い180であっても日本語で90、英語で90になるのだ。
私の実家の周りにいる小学生が英語を話したり書いたりすることは出来ないが、日本の小学校での日本語のテストを受ければ私の実家の周りにいる小学生の方が良い点数を取るようだ。

日本語も出来て英語も話せるなんて、凄い才能があるのは間違いなく、子供達本人も凄く勉強をしているのも間違いないのだが、それは中学生からの方が得だと思う。
小学生の頃から英語を勉強させるのは私も賛成だが、それは英語オンリーの過酷な世界に飛び込ませるのではなく、あくまでも母国語の日本語をベースとした上で延長としての英語である。

アメリカのTVのニュースのアナウンサーを目指すならともかく、英語に限らず外国語は母国語がしっかり使いこなせてからの話しである。
中学や高校、そして大学での授業を理解するための思考能力の基礎が出来上がるのは実は小学生までであり、12歳までの子供の脳に求められるのは思考能力の「広さ」ではなく「深さ」であるようだ。

カウンセラーの先生の話しでは母国語の理解能力の低さが一番に反映されるのは数学という教科の成績らしい。
嫁さんと私が1/2と1/3の足し算を頭の中で日本語を一切使わず英語だけやらされて初めて判ったことだが、言葉というのは全ての思考能力の基本道具になっているのだ。

シカゴで唯一の日本語チャンネルであるTV-JAPNで先日放映されたTVドラマ「受験のシンデレラ」で主役の小泉孝太郎が「日本語を制する者は受験を制する!」と断言するシーンがあった。
私はあのカウンセラーの先生から聞いた貴重な話しだとずっと思っていたが、調べてみたら教育関係では当たり前のことだったのだ。

「ほそみちさんは日本語は完璧に話せますよね。それじゃ国語のテストはいつも100点取ってましたか?」と先生は問うのである。
漢字を正しく読めたり正しく発音することが出来てもテストの問題文を理解する能力は別なのである。
日本語の新聞に書かれてある内容をちゃんと理解できる中学生は努力すれば必ず英字新聞をちゃんと理解することは出来るが、日本語にしろ英語にしろ、母国語の新聞を理解出来ない者は絶対にどの新聞も理解できないものだと先生が話してくれた。

中学生になるまでに日本の新聞をよく読んで日本語の理解能力を上げることが脳を鍛えるコツだと先生はアドバイスしてくれた。
アメリカで生活している限り、英語のことは心配する必要はないとアドバイスしてくれたが、全くその通りだった。

米国企業で働いている私はパーティーに呼ばれるのも家に遊びに来る者達も全てアメリカ人。
英語は自然に身に付について行くものであり、息子は日本人学校に通っていた小学6年生で英検2級に合格している。

息子は中学から現地校に行かせて英語オンリーの世界になったのだが、TOEFLは満点近く取ったし、イリノイ州でTOP3に入る高校で英語の成績上位10%以内に入っていた。
これは普通のアメリカ人の生徒よりも英語ができるという証拠である。

日本のセンター試験に該当するアメリカのACTやSAT、それに大学院のセンター試験であるGREも満点近く取った。
大学でPublic speakingというクラス(皆の前でプレゼンをする)のコンテストで賞をもらったことがある。
勿論A+だった。

ついでに言うが、息子は今年の夏に初めての日本の学会に出席したのであるが、その学会で息子はYoung Scientist賞を受賞した。
日本の関西で行われた大きな学会だったのだが、英語で話すことが義務付けられていた。
そしてその学会のスポンサーであるアメリカの科学雑誌の方が息子が話す英語の発音からアメリカ生まれの日系アメリカ人だと思っていたそうだ。

あの時にカウンセラーの先生は私の息子が普通のアメリカ人と同等のNativeレベルの英語を話すことを期待するのはやめた方がいいとアドバイスしてくれたが、息子がそこまでの英語になっていたとは嬉しい誤算であった。
例え成績が悪くとも中学や高校をちゃんと卒業できるだけの英語能力さえ得たら嫁さんも私も万々歳だと思っていた。

因みに我が家では最初から家の中で英語で話すのは一切禁止であった。
それは嫁さんが息子が言うことを理解できないかもしれないという理由があったが、私は日本人は日本語の持つ繊細で表現豊かな文化を学ぶのが英語よりも大事だと思っていたからだ。
それは日本料理と同じであるとも私は思っている。
それに息子にNativeレベルの英語を話せるようになれなんて、自分達が出来ないことを息子に要求する積もりもなかった。

息子が人前で英語を流暢に話したのを初めて聞いたのは、息子が大学の寮のルームメイトを連れてシカゴの自宅に連れて帰ってきた時である。
あの時は嫁さんが普段は無口な息子が英語で饒舌に話していたので別人のようだと驚いていた。

それに息子の英語が本当にちゃんとしたものなのかどうかは我々親には正確に判断できないというのが現実であるが。
だから息子が出した論文が初めて科学雑誌に掲載された時に息子の英語がアメリカでちゃんと通用することを知ったものだ。

それぞれの家庭にはそれぞれの事情があり、一概には言えないのは判っているが、先生が話してくれた通り、中学から現地校に行かせても何の英語の問題はなかったことは私の息子が証明している。

あの時のカウンセラーの先生は私が一番大事なことを知っていたと話してくれた。
それはもし自分の息子が英語を中心に話すようになったら一緒に遊んでもつまらなくなる可能性があるだろうし、本気で口喧嘩も出来なくなると困るので日本人学校に行かせたいと言ったことである。

普通の親は子供のことを何でも把握しようとするものである。
幼い子供達は学校であったことを全て親に話そうとするものである。
子供達にとって悪いことをしようが何をしようが母親が必ずいつも守ってくれることで安心して学校という社会に出て行けるものである。
頭の中が英語中心に切り替わった時に親、特に母親とのコミュニケーションが普通に日本で暮らしている日本人家族のようなレベルではなくなるのが一番の障害になるのだ。

先生は勉強の成績云々よりも親とのコミュニケーションの問題で子供達の精神状態が不安定になることが一番の問題だと言う。
英語も日本語もあるレベルまでは話せても、普通に日本で暮らしている小学生が話す日本語レベルに達してしなければ、自分の感情を全て母親に伝える言葉そのものを学ぶ機会を失う。
それが子供のストレスが溜まる原因になる。

関西弁でも東北弁でも熊本弁でも何でもいいのだが、我が家の場合は息子に「学校はどうや?」と訊いたら「まあまあかなぁ。」と答えるのと「まあまあや。」と答えるののとでは少し意味が異なることを嫁さんは判る。
「別に」と答えたら何か遭ったのだろうと気付く。
しかし息子が「Not much!」と答えたら嫁さんは息子の状態に気付かないことがあるだろう。
何れにせよ、体育会系の嫁さんは息子が何を言おうとも「そんなことでは死にはせん!」ばかり言っていた記憶があるので、息子も母親に話しても無駄だと悟っていたと思う。

シカゴの日系企業の駐在員家庭は自分の子供達が日本語を段々と忘れて行って、変な日本語を使うようになったことや簡単な漢字を読めなくなったことを自慢している者達が少なくないことを先生はとても残念に思うと話すのだ。
それは子供達からのSOS信号だと受け取っても大袈裟ではない。
子供達の思考回路は母親に如何に上手く嘘をついたり誤魔化すかによっても発達するものなのだ。

そういう変な日本語を使うようになった子供や簡単な漢字を読めなくなった子供に限ってちゃんとした英語も出来ないケースが多いのだ。
それは大学受験時になって顕著に英語の成績にもその弊害が現れるのは前述した通りである。
10歳辺りでアメリカ人の友人達と少しぐらいペラペラと英語を話すようになったからといって英語がNativeレベルになったと勘違いするのは危険かもしれない。

カウンセラーの先生によれば親の変なプライドによって子供達が犠牲になっているケースがある。
自分の子供がアメリカ仕込みの綺麗な発音で英語を話せば親が自慢できるかもしれないが、幼い子供達本人にとっては親と密接にコミュニケーションできる母国語の日本語が一番なのだ。
学校で英語を覚えてくると親が嬉しい顔をするので子供達もその気になってしまうらしいが、それが子供達本人にとって本当に良い事なのかを変なプライドを捨てて考えて欲しい。

子供の脳の発達を研究している者にとっては母国語である日本語を確立される人生で一番大事な時期に英語の世界に放り込むことは今まで培ってきた思考能力を低下させる非常に勿体無い行為になる。
我々の時代では英語を学ぶのは中学生からであるのは日本の政府が子供の脳の発達を考慮しているからであり、ちゃんとした科学的な理由があるのだ。

日本はオイルや広大な農地もない資源のない国、日本人の優秀な頭脳で作った物を世界に売ることでこれだけの豊かな暮らしが出来ているのであるが、それは日本企業の駐在員達の働きがあって成り立つものである。

NYやカリフォルニアやシカゴといったアメリカの大都市の場合は日本人学校があるが、アメリカでも多くの地域では日本人学校はない。
そういう地域での現地校に子供達を通わせると子供達の学力が低下してしまうのは避けられない。
会社の命令だからといって海外に赴任すれば自分の子供達の学力が低下してしまい、日本の厳しい受験に通用しなくなることを初めから判っていながら辞令を引き受ける社員はいなくなる。
それでは日本経済は成り立たないのである。

だから日本政府は帰国子女には一般受験と異なる簡単な受験システムを設けることでそういう問題を解消しているのである。
但し企業の海外赴任の辞令ではなく、単に海外で子供達を育てたいから海外で暮らした者達には帰国子女の特別受験の資格は与えられない。
第一に自分達の子供を現地校に行かせたら学力が下がってしまうことを防ぐ為に海外に進出した日系企業が日本人学校を設立したのである。

そういう基本的なものを理解した上で自分達の子供をあえて現地校に行かせるならそれでいいと思う。
現地校に行かせても日本語と英語の両方が完璧に話せるパーフェクトなバイリンガルの子供が世の中には幾らでもいるのを私は知っている。
正しい子供の育て方なんて各家庭にそれぞれあるのだから、私がこの日記で話したことがどの家庭にも通じるなんて傲慢なことを言う積もりは決してない。
それと同時に私が話したことが間違っているという批判のコメントも一切受け付けないことを言っておく。

数年前に前のブログで「シカゴ在住の駐在員さんと大口論!私は途中で席を立つ。」という日記を書いた時は賛否両論あり、アクセス数が凄かったが、私の日記に反論する批判的なコメントにいちいち対応するのは疲れた。
私が間違ったことを書いたと思うのなら単に無視してほしい。
私は電子機器のエンジニアであり、教育者ではないのだから、専門家から聞いたものを自分なりに理解したことを書いたまでである。
誤解していることもあるかも知れないが、それを覚悟で書いた。

私が大口論したSさんの子供の様に現地校に行かせたからといって日本人学校で日本語で勉強させた子供よりも英語の成績が良くなると単純に考えてしまうのは危険かもしれないことを知ってほしい。
そして自分の子供達が日本の小学生なら誰でも読める簡単な漢字を変な風に読んしまうようになったことを自慢するのは勝手だが、そうかと言って英語がその分だけ上達したとは決して言えない現実があることを知ってほしい。
子供達の日本語が低下してきたことは親との距離が遠くなってきたというサインでもあるのだ。
幼い子供達の脳の発達は生活の中で一番身近な親との会話によるものが大きいことを忘れないでほしい。

もし機会があれば「ESLクラスの罠」という日記を書こうと思う。
現地校では英語が母国語でない子供達は入学時に英語のテストを受ける。
多くの日本人の子供達はESLクラスで勉強することになる。
渡米してきた外国人の子供達がESLクラスに集められ、勉強することになる。
多くの日本人が住んでいるシカゴ郊外の学校のESLクラスではメキシコ人が多い。
子供達を現地校に行かせればNativeの英語が自然に身につくと考えれば大きな間違いになるケースがある。
そして優秀な頭を持つ日本人の子供達の大半はESLクラスの授業レベルの低さに退屈してしまう。

それが現地校へ行かせた子供達の学力が必然的に低下する原因の一つである。
親達はESLクラスでの取った子供達の優秀な成績を見て喜んでしまうのであるが、Sさんの様に日本へ帰国した時に驚くことになるケースがあるのだ。
それを私は「ESLクラスの罠」と呼ぶ。
私の息子も勿論ESLクラス出身であり、その辺のことは全て経験している。

私はSさんと大口論をし、駐在員独特の変なプライドを持つSさんとは友達にはなれないが、Sさんは基本的に子供の将来を真剣に考えていた良い父親であるのは間違いないのだ。
あれだけ子供の教育に熱心だったのに子供達が普通の公立中学の授業にも付いて行けない現実に直面した時のショックは辛かったと思う。
こういう内容の話しを書けば前回の様に批判のコメントを頂く事になるのを覚悟で書いた。
余計なお節介であることは十分判っているが、Sさんの子供達が受けるプレッシャーを考えてみた時にこういう話しが少しでも参考になればと思った。

最後の最後にもう一度言うが、この日記の内容に異論がある読者は無視してくれ!
決して私を違う理屈で説得しようとするのは無駄だから止めてくれ。
それでも私にあえて反論するということは自分が信じているものがぐらついている証拠でもある。
あなたはあなたで正しいだろうし、私は私で正しいものを信じてこれまでやってきた。
私は自分の方法が失敗したとは思っていない。
繰り返しになるが、現地校に行かせても英語と日本語を完璧に話せるパーフェクトなバイリンガルなんて幾らでもいる。
それぞれの家庭にはそれぞれの正解がある。

くどくどとこんなことを書いて申し訳ないが、前回の様な避難の嵐になるのは避けたい。
ほんの少しでも参考になったなら私は嬉しいが、異論があるならこの日記は無視してほしい。

因みに日記に登場したTさんやSさんの実際の名前は頭文字はTでもSでもないし、有名私立中学に合格したSさんの会社の駐在員の同僚はシカゴ在住ではなく、他の都市に住まわれていた方である。
私は日記に登場した人物を特定出来ないように細心の注意を怠っていない。
前回と同様に日記の登場人物に関する問い合わせにはSNSで幾ら親しい方であっても一切お答えしないことを言っておく。

次回からはまたドローンやジャズやアンティークのつまらない話しに戻る。

人間誰でも一日は24時間しか持っていないので、子供に何をさせるかは親次第である。
どれだけ頭が良い子供でも親が間違った道を進ませれば本来その子供が持っている才能を台無しにしてしまう可能性があることを最後に言っておく。





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最終更新日  2019.01.07 02:23:04
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