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ほそみちシカゴの日記 [全606件]
昨日のBrianとの4時間半のぶっ続けのセッションは実は私にとっては予想以上にショックだった。 彼の圧倒される音楽理論、それに基づいて出てくるスケール。 私はそんなものに溺れてしまっていた。 極端に言うと、私のこれまでの人生を否定されたような気分になっていた。 めちゃくちゃ疲れていたが、そんなことを考えると朝の6時まで寝られなかった。 今日はアメリカの休日なので日曜日の夜にそんなことができるのだ。 逆に言うと朝の6時には寝られたのである。 つまり結論を見出すことができたのである。 ジャズってそこまで難しい音楽だったのか?ジャズに対して基本的な考え方が間違っているのではないか? 彼にレクチャーしてもらった未消化の音楽理論が私の頭の中に渦巻く中で、そこまでの音楽理論を知らないとジャズという音楽を演奏できないのか?そんなはずはないという素朴な疑問が段々と大きくなっていったのである。 「この世の中の全てものは単純なはずである!」これは単にアインシュタインの名言をもじったものではなく、私のこれまでの人生経験から悟ったことである。 私が新しく担当している仕事では液体を超高速で制御する開発であるが、今までのレーザーを制御するものと基本的なものは同じで、単純な自然の法則に基づいている。 それと同じで、ジャズも極単純な自然の法則に基づいているものに違いないという大きな疑問な根本的にあり、膨大な音楽理論を覚えようとしている私自身に不自然さを感じていた。 そして午前5時を少し過ぎた頃に私の考えは正しかったことを悟った。 やはりジャズも極単純な自然の法則に基づいているものだったのだ。 Brianはいつも説明してくれる時に「楽譜をもっとちゃんと読め!」と言って私に楽譜を見させてテーマのメロディを何回も弾かせるのでるが、それは理に適った説明であり、全ての鍵はそこにあったのだ。 ツーファイブが連続していない難解なジャズ曲であってもテーマのメロディを丁寧になぞっていくと芋づる式に彼が教えてくれた難解な理論の必要性が完全に理解できた。 単純なものだったのだ。 私はこのコード進行ならこの私のプレーズが使えるぞ!という考えで私の頭の引き出しから抜いてきたフレーズを当てはめるようなことをしていたようなものであるが、丁寧にテーマのメロディをなぞっていくと私のメロディックマイナースケールを基にした得意のフレーズが不自然であるのがよくわかる。 音楽理論のことなどは全く何も考えず、ただ単にテーマのメロディを丁寧によく聴き、それを基に自分なりに少しづ少しづつついじっていけばBrianが説明してくれた難解な音楽理論にほとんど沿ったフレーズになっているではないか! なんじゃそれ! ちゃんと無意識にアボイドノートも避けているぞ! ジャズは決して難しいものではなかったのである。 英語とよく似ているところが多くあると思う。 シカゴダウンタウンの南部にある駅の近くの橋の上に屯している乞食だって完全な英語を話すのであるが、例えばThe clock struck ten.(時計が10時を打った。)とThe clock has just struck ten.(時計がちょうど10時を打った。)という文法を無意識にちゃんと使い分けている。 その乞食に後者の方は「現在完了形」なんだという難しい文法であることなんか勿論知らないだろう。 勿論ジャズは英語と違うところが多くあり、ジャズはある程度の最低限の知識を持っていないと出来ない音楽であるのは間違いないが、決して難しいものではなかったのだ。 私のように自分の得意なフレーズを聴かせたいという傲慢なプレイをするのではなく、テーマのメロディを良く聴いて自然にプレイすれば自然に「現在完了形」のフレーズになっていくものであることに気付いた。 これはDNAに刻まれている人間本来の持っている能力である。 しかし早くその技を習得したいので「それはどうやってやるんだ?教えてくれ!」と訊いてしまうから彼にとっても「現在完了形にしなければならない。」という難しい単語で説明するしかなかったのであり、私がその難しい言葉に圧倒されてしまっただけである。 Brianは私が求めない限りは理論的な説明はしないで、先ずいつもテーマのメロディを弾いてみろという意味がようやく分かった。 数学の問題のようにすぐに彼からクリアな回答を私が直ぐに求めてしまうので、「現在完了形にしなければならない。」という難解な答えを私の方が彼から引き出していたのである。 彼がいつも言う通りに素直にテーマのメロディに身を任せていたら、ここまで音楽理論で悩む必要はなかっただろう。 弾いた後で、これって現在完了形という文法だったのかと知るのが自然なジャズの勉強方法だったのである。 それに現在完了形という難しい言葉を知らなくてもちゃんと生活できることを証明してくれているのがシカゴダウンタウンの橋の上に屯している乞食である。 やはり、この世の中の全てものは単純なものである! つまり...神様は頭の良い者にしか楽しめないようなものをこの世に創造していないものであると私は勝手に解釈している。難しいものに見えても実は単純なものの積み重ねである。 わざわざ難しくしているのは自分自身であることを今回思い知らされた。 私にとってはこれはジャズだけではないだろうな。 もっと言えば、日本政府の生活保障制度じゃないけれど、神様もこの世で生活できる最低限の能力や音楽のような楽しみを味わえる最低限の能力を予めDNAに組み込んでくれているので、人間なんかが考え出した理論書に頼るよりも先ず神様に授かった能力に頼る方が賢い選択であることを言っておく。責任は持てないが...
一般のサラリーマンが4時間半のぶっ続けのセッションをやるか? 途中、コークを1/3ほど飲んだだけの2分ほどのブレーク。 しかも私の演奏はボロボロ、最悪だった。 会社の同僚(と言ってもポシションは随分上だが)のウッドベースのBrianとDUOを始めて以来、私は暇な時間が全くなくなってしまった。 ジャズの宿題が多すぎる。 自分で言うのは何だが、私もそこそこジャズの勉強は今までしてきた。 若い頃には高いお金を出してジャズスクールにも何年も通った。 貧乏暇なしのエンジニアなので演奏自体は下手なのは仕方ないが、理論だけは素人と演奏するには十分な知識を持っていると思っていたが、それが同僚の素人の彼に見事にひっくり返された。 彼にソロをまわすとギターの私よりもギターらしいソロをやってくれるのである。 ジョンスコ並みのアウトしたソロをやるので、彼の頭の中でどの様なアイディアでそんな音が出てくるのか訊いてみた。 彼の理に適ったアプローチを方法を聞いて、どれだけ私が音楽に無知であるかを知らしめられた。 ここでその詳細を書いても読者が退屈するだけなので簡単に一例を話すが、例えば私がオー!と歓声を上げた彼のフレーズは私がC7を弾いていた時に彼の頭の中にはA7をイメージしていたという。 A7のコードトーンにはC7の美味しいテンションノートが含まれているぐらいは私も理解しているが、私の周りでそれをちゃんと使いこなしている奴に会ったのはBrianが初めてであった。 彼はテーマのメロディや前後のコードの流れから何故A7のコードトーンを選んだのかを解説してくれた時は目から鱗が落ちた。 じゃ実際にやってみよう!と彼は言ってくれて、30分ぐらいC7のコード一発を続けてくれた。 こんなフレーズを私が弾けるようになるなんて非常に嬉しい。根っこから理解して演奏すると実に気持ちがいいものだ。 しかしそういう機械的なフレーズは私の性に合わないので私のソロには多分使わないとは思うが、彼によってジャズをより深く理解できたことは感謝している。 私のジャズの原点はパーカーのビバップなので、それ以降に見出されたジャズアプローチは私にとっては聴くものであり、やるものではなかった。 「枯葉」や「All the things you are」のようにツーファイブの連続で構成されているジャズ曲は演奏の上手下手があっても私なりのソロが奏でられる。 しかし綺麗にツーファイブになってないジャズ曲になると自分の好みのフレーズを弾いていても間違いな音になっていることが私にはある。 例えばマイナー曲でのアドリブの場合、3種類のマイナースケールがある。 ナチュラルマイナー、ハーモニックナイナー、メロディックマイナーであるが、場合によってはドリアンを弾かなければならない時があることを今日知った。 今日私がメロディックマイナースケールのお得意のフレーズを弾いたら、彼はドリアンの方が合うと思うので試してみろという。 ドリアンも私が弾いたメロディックマイナーもたった一音だけが半音違うスケールだが、考え方が異なってくるものであり、彼にはそれが耳につくのである。 「えっ、Cmのキーの曲の最初の一発目のCmコードでいきなりドリアン?」 彼は実際に弾いて違いを示してくれただけでなく、なぜドリアンが一番合うのかを楽譜に書いて説明してくれた。 理論だけなら仮に言い負かすことができたとしても、実際に弾かれてしまうと彼の言うことが正しいことがはっきりと分かってしまう。 参った!降参である。 いきなり最初に使用するスケールの間違いが判ってしまえば、今まで練習してきた私のフレーズの組み立て方を根本的なところから変えなければならない。 次回への宿題にさせてくれとお願いし、次の曲にしてもらった。 彼は高校の4年間のジャズバンドの部活で毎日ジャズ理論を徹底的に議論してきた経験が非常に役立ったと言う。 彼の聡明なジャズの理解を誉めたら、それは聡明なんかじゃなく、高校時代に全てのスケールや、どれだけ使える音があるのかを全て何度も確かめてきた経験があるからだと言う。 こういう奴にはとても適わない。 実は金曜日に会社を休んで練習していたのは昨日の土曜日に彼のジャズバンドがダウンタウンにある小ホールでコンサートのリハをやっていたからである。 彼は今では小さなジャズバーで演奏するのではなく、彼のジャズバンドは200人ぐらい集められる人気のバンドになっているので、月に一回程度の小ホールで演奏する。 彼のバンドはコンサートで得た収益の全てを学費がなくて音楽大学にいけない貧しい家庭の高校生への奨学金にしている。 彼の演奏を聴きに来る人達は単にジャズ好きな者だけでなく、将来有望なミュージシャンを育ててやろうと思う人達である。 彼が卒業した高校のジャズ倶楽部のOB達などが多いそうだ。 ホーンセクションだけでも5人もいる大所帯バンドであり、そのバンドではベースの彼にはソロをやれる機会がほとんどないので、その鬱憤を私とのDUO演奏で解消しているようなものである。 ギターが出張などで演奏できない時には私に代わりに出演してほしいと言ってくれるのは嬉しいのであるが、失敗できないバンドで演奏するのは私にとっては苦痛の何物でもない。 所詮私とのDUOは片手間の遊びであることは初めからわかっていたことであるが、私にとっては彼とのセッションがこれほど面白いものだとは想像をしていなかった。 できればもう少し遊び感覚でやってほしいのであるが「いやいやここはドリアンだろう!」とマジメな顔して言われてしまうと私が困ってしまうではないか。 Brianは嫁さんが作ったうどんを2杯おかわりして満足して午後の10時前に帰っていった。 これだけ頭を使う演奏は彼との演奏が初めてである。 私の脳みそが捻挫を起こしそうな4時間半のぶっ続けのセッションであったが、かなり面白かった。 4時間半もぶっ続けにやってると自分でも感動するような私のソロが一つや二つぐらい飛び出てくる嬉しいアクシデントがある。 それをもう一度やってみろと言われてもどうしても出来ないのが私の悲しいところなのだ。 なぜあのソロが飛び出てきたのかをじっくり思い出して研究する必要がある。 ベースとのDUOは逃げも隠れもできないので非常にストレスのかかる演奏になるが、こんなに面白いものだとは思ってなかった。
ジャズの相棒であるウッドベースのBrian、今日は突然に会社を休んだ。 今日は週末にやるセッションの曲のリストをもう見直す約束をしていた。 いい加減な奴ではないので何かあったのだろうと思っていた。 体の具合が悪かったら無理せずにセッションを中止しようというメールを彼に送った。 実は私にとってはセッションを中止する方が都合がいいのだ。 私は全く準備ができていないのである。 練習をしていなかったわけではないのだが、約束した曲の半分もままならない。 何故かイパネマの娘のVampのたった二つのコードにハマってしまい、一週間そればっかりやってしまっていた。 やればやるほど哲学的なフレーズが思い浮かんできて、調子に乗って自分の音を追求していったら、最後の方には違うキーでやっているみたいな気持ち悪いものになってしまった。 中途半端なジャズ知識を持っている駄目プレーヤーの典型的なものである。 普通にリディアン7thスケールでまとめた方がいいのは自分でもわかっているし、それ以上にいじるだけの実力が私にはないことも十分に分かっている。 でも止められないのである。 Brianから直ぐに返事のメールが返ってきた。 約束通りの時間に行くと言う。 文面から察すると病気でも何でもないみたいだ。 じゃ今日は何故会社を休んでいるの?って訊いたら、私のせいだと言う。 実は2日前に私がやりたい曲のリストを彼に送っていた。 ちょっとマニアな曲が混じっている。 彼がそのリストを見て、ヤバイと思ったのだろう。 彼は今日は会社を休んで練習していると言うのだ。 ちょっと待ってくれ! 私がやりたい曲のリストは確かに送ったが、やれるとは言ってないぞ! 何とか週末に間に合うと言われても私が非常に困ってしまうではないか... ブルースだったらどの曲でもキーさえ1秒前に聞いておけば何とでもなる音楽だが、ジャズはそうは行かない。 ジャズも所詮ツーファイブの連続じゃないかと思っていた時期もあったが、彼とやり始めてからはそれだけではない緻密な深さがあることを学んでいる。 金曜日の夜はレンタルビデオ店で借りてきたどうでもよいバカな日本のTV番組を観るのが習慣であり、非常に楽しみにしているのであるが、返ってきた彼のメールを見てそれがひっくり返されたではないか。 Brianの会社でのポストはトレーナー達のマネージャーであり、元々エンジア達を教育する先生なので人前で何かをするのが大好きな人間である。 いつまでも観客のいない場所で演奏するタイプの人間ではない。 彼とのDUOがそこそこサマになってきたら、彼のことだから色んな場所で人前で演奏したがるのは間違いなく、今後更にどれだけ練習をしなければならなくなるかと考えると末が恐ろしい。 私の場合は、人前で演奏するよりも、今のところは誰もいないところで実験的な音を試したいという欲望の方が強い。 今の私の演奏能力では人前で演奏するとなると、冒険するよりも失敗しない無難な音の方に傾いてしまうので自分自身が楽しめないという事情がある。 私の場合、アウトしても帰ってこれない時があるから困ったものである。 Brianは演奏中にもっと行けもっと行けと合図するが、調子に乗るとロストしてしまうことが少なくない。 ジャズに興味のない人達には何のことだが分からないかもしれないので少し簡単に説明すると、落語家が調子に乗ってどんどんその場でアドリブの話を入れて膨らせてしまったら最後のオチを忘れてしまったという恥ずかしい話である。 でも段々とアウトして行ってる感じがたまらなくいいんだなあー。 どこで解決してやろう(解決できるのかな?)とどきどきするあの感じが何か悪いことをしているみたいでたまらなくいいのだ! これがブルースとは違うジャズの醍醐味であると思う。 ただしアウトしてもちゃんと帰ってこないと成立しないのが音楽であり、落語家がオチを忘れては人前に座る資格はない。 50歳を過ぎたおっさんが針金をこすって音を出して喜んでいる。 こんなことばっかりやって人生が終っていくのかなぁと思うと少し悲しい気分になる時があるのだが、うちの会社の私とさほど歳も変わらぬ事業部長のように、ミシガン湖にある自分のヨットの上でワインを飲んでいるのと同じぐらい私は人生を楽しんでいるぞ!と信じているのは、やはり負け惜しみになるのだろうか。 しかし一度ぐらいは彼のヨットに誘ってくれてもいいのではないか!と内心思っているのも事実である。 まぁ私のボスのボスのボスのボスだから仕方ないか... あかん、ブログを書いてる場合じゃない。練習する。 Brianにぶっ殺されそうだ。
アメリカの医療費は世界一である。 統計によると、家を取り上げられた人達の1/3は病院に治療費を払えなかった人達である。 半年ほど前だったか、日本のウェブニュースに旅行でアメリカに遊びに来ていた人が盲腸になって入院したら約300万円の請求だったので非常に驚いたという話が掲載されていたが、アメリカに住んでいる者にとっては普通のことである。 私自身も嫁さんの二時間半の心臓の手術で約900万円の請求書をもらった経験がある。 企業としては会社の保険に入っている社員達にはなるべく病院には行ってもらいたくないので、どの米国企業も日頃の社員達の健康管理に注目している。 近年、米国企業は健康保険会社に支払う金額を少なくするためには社員達の健康管理を改善することが非常に効果的であることに気付いた。 そして一番手っ取り早いのはメタボを治すことであるみたいだ。 メタボは万病の元らしい。 その為に社員達に歩くことを奨励している。 「ほそみち! お前、毎日昼休みにウォーキングしてたよな? そうか、OK! お前は俺のチームメンバーだ!」 「身体のサイズは?」 同僚に訊かれたことに返事をしただけで、ウォーキングチームに入らされてしまった。 身体のサイズを訊かれたのはウォーキングチームのお揃いのTシャツを注文するためだった。 会社は5人一組のウォーキングチームを組ませて、各自に万歩計を携帯させ、社内でそのカウントを競わせるゲームを来月から始めるのだ。 基本的に参加は自由であるが、各部署から参加者がいないと社内が盛り上がらないので、人事部としてはメンツをかけて参加者をスカウトするのが恒例である。 今年は何組のチームが参加するのかは知らないが、上位3チームには旅行券か何かの賞品がもらえるらしい。 何年か前に同僚のチームが優勝してイギリスに行ったのを覚えている。 私が属するR&D(研究開発部)ではそのゲームに参加する者が今年は誰もいなかったので、一人で毎日昼休みにウォーキングしている私をR&Dの代表メンバーの一人として無理やり参加させられてしまった。 メンバー5人は同じTシャツを着て歩かなければならないのである。 勘弁してくれよ! 会社の周りにあるウォーキングロードを一人で気ままに歩くのは気持ちがいい。 しかし話好きのアメリカ人4人で一緒に歩くと、一人で考える時間が全くなくなるのは目に見えている。 それに昼休みのウォーキング時間は唯一私の頭が日本語で考えることができる貴重な時間なのである。 「俺達と一緒にウォーキングするのがそんなに嫌なのか? いつも一人で歩いていてもつまらないだろう? どうしても嫌だったら他を当たるけど...」 4人の同僚に囲まれてウォーキングチームに誘われてしまうと、それを断って、いつもの様に一人で歩いていたら、私は確実に「嫌な奴」になってしまうのは言うまでもない。 そういうNOが言えないのがサラリーマンであり、日本もアメリカも全く同じである。 そのウォーキングのコンテストは8月の終わりまで続く。 万一優勝してしまったりして、チーム5人でイギリス旅行なんかに行くことになったら私は盲腸にでもなって入院することにしよう。 イギリスは出張で十分だ!出来れば二度と行きたくない国である。 チームネームは何にしよう?って訊かれたけど、私は全く迷惑な話である。 そのチームネームをお揃いのTシャツにプリントするなんて、会社も余計なものに金をかけるものである。 社員数は確か5万人に近かったと記憶しているが、参加する者はその内の何十分の一とは言うものの相当な人数になるので、会社のロゴとチームネームが入ったお揃いのTシャツを作る費用があるのなら、先月リストラされた社員達をどれだけ救えただろうと考えると虚しくなってしまう。 来月からお揃いのTシャツを着て、皆と下らぬ事を話しながら一緒にウォーキングしている私の姿を想像すると病気になってしまいそうである。 毎日のウォーキングが必ずしも健康に良いとは限らないのである。
嫁さんが非常に驚いている。 なぜなら10日ほど前に私が真夜中に騒いでいたことが今になってニュースになっているからだ。 10日ほど前の午前1時過ぎ、私は二階の寝室に行ってベッドに横たわり、寝ようとした瞬間に何か外で異変が起きている気配がした。 ふと顔を上げて二階の寝室の窓から外を見ると我が家に面するPlum Grove道路(シカゴ郊外にある)で何かの工事が行われているらしく、200mぐらい離れた場所で非常に鮮明な明かりが見えた。 日本では夜中に道路工事が行われるのは珍しくないが、シカゴではどれだけ交通渋滞を引き起こそうとも工事は昼間に行われるのが普通なので私は珍しく思った。 そして寝ようとして一旦は目を閉じたが違和感が残った。 ちょっと待てよ! 私はベッドから飛び起きて窓の外を見た。 私の違和感は道路工事の為の照明が余りにも鮮明過ぎたこともあったが、照明の高さである。 あの高さは高層ビルのぐらいの高さであり、大型はしご車でも使わなければ出来ない高さである。 これは明らかに工事の為の照明とは違うぞ!と思って今度はメガネをかけて真剣に鮮明に光っている物体を見たら、それはUFOが浮いていたのだった。 TVのUFO特集でよく見る円盤型のUFOではなく、白い幽霊のような形だったので実際のところはUFOかどうかはその時は確信を持てなかったのだが、私は隣で熟睡している嫁さんを「UFOが浮いているぞ!カメラは何処?カメラは何処にやった?」と言って起こしてしまった。 デジカメは嫁さんが管理している。 嫁さんは目も開けずに「うるさい!馬鹿!静かに寝ろ!」とだけ言うと反対側を向いて寝てしまった。 それから私は何度か嫁さんを起こそうと試みたが、一瞬だけ嫁さんは窓の外で光っている物体に目をやり「もう!馬鹿!ヘリコプターやろ?静かに寝ろ!」と言われたのを最後に嫁さんは私の呼びかけに全く反応してくれなくなった。 こんな真夜中にヘリコプターが近くで浮いていれば、どれだけの騒音になるか...常識で考えろよ! 結局デジカメが何処に仕舞ってあるのかを聞けなかった私はiPhoneのカメラで何度も撮ったのだが、ズームも何もついていないので単なる光の点でしか映っていなかった。 「明日には新聞やニュースでこのUFOが大々的に流されるぞ!お前は絶対に後悔するぞ!覚えておけよ!」と何度も寝ている嫁に話した。 今から考えると恐ろしいことだが、その時は少し興奮していたので冷静さが欠けており、我が家の近くに住む同僚の携帯に電話しようかどうか迷ったのだが、午前1時過ぎに同僚をたたき起こして、それが気象観測か何かの装置が浮いている物であったらとんでもない迷惑をかけてしまうので止めておいた。 もしその発光物体がはっきりと円盤のような形をしていたら間違いなく他の知り合いにも電話をかけまくっていたが、白い幽霊のような円盤型の発光物体が高層ビルの高さ辺りで浮いているだけだったので私自身もそれがUFOかどうかは確信がなかった。 もうとっくに午前1時を過ぎていたので、明日の仕事のためにもう寝なければならないと思って一旦は目を閉じたが、どうしても諦めきれずにその発光物体の麓まで行ってみる決心をした。 その決断をするまでに約5分。 ベッドから飛び起きて窓の外を見ると既にその発光物体は何処かへ消えていた。 こんなチャンスは一生に一度だけ。 私のこれまでの人生の中でここぞという時のチャンスを全て逃してきた。 私は決して運が悪い男ではなく、そのチャンスを自ら逃していたということを今回も再確認した。 幸運の女神はいつまでも微笑んでくれるわけではないのだ! 翌日も翌々日もその夜に私が目撃したUFOのことは全くニュースでは流れなかった。 同僚の携帯に電話をしなくてよかったと安堵していたら、今日のニュースである。 日本のニュースサイトまで掲載されているではないか。 誰かが今頃になってYoutubeに投稿したのがきっかけで今回それが話題になったみたいだ。 私が見たのは真夜中であるが、投稿された動画は白昼の午後3時。 しかし嫁さんはニュースサイトでその写真を見て、あの時に私が説明したものと同じような物だったので驚いてしまった。 私も嫁さんが見せてくれたニュースサイトでその写真を見たが、私の見た物はもっと横に長く、円盤ともとれるのような形をしていた。 あそこまで縦に長い白い幽霊の形はしていなかったが、基本的な形は同じである。 それに殆ど動かなかったと思う。私が窓から身を乗り出したりしていたので、上下左右に少し動いたように思ったが、それは私が動いていたからだだろう。 ニュースサイトの写真と大きく異なるのは、白い発光体がギラギラに輝いていることである。 だからちょっと見る角度を変えると物体が変形したように見えてしまう。 嫁さんは今日のMSNニュースでそれを見て、なぜあの時にもっと真剣に私を起こしてくれなかったのかと責めるが、十分に私は真剣に何度も起こした積もりである。 あの時嫁さんは単にヘリコプターだと言ったじゃないか! もしあの時に嫁さんが素直に起きてくれて、我が家のデジカメを渡してくれていたら、私はその発光物体の麓まで行ってデジカメのズーム機能でその発光物体を鮮明に撮ることができたかもしれない。 その一枚の写真がもしかしたら世界をひっくり返すものになったかもしれない。 私が目撃したものは本当にUFOかどうかは今更確かめることはできないが、そういうチャンスも逃がしたことだけは事実である。 大体こういうものは十中八九何かと勘違いしているものであり、私が何か不思議な円盤型の物が浮かんでいたのは確かに見たが、あの距離で、あの暗さなら何に間違えても不思議ではない。 しかも仕事柄、私の眼は眼鏡をかけてもかなり悪い。 最近でも同僚が購入した新車にナンバープレートに%があったので、最近ではナンバープレートに記号も使えるようになったんだと話したら、そんな記号なんか無いと言う。 近づいてよく見たら%ではなく96だった。情けない... 私自身もUFOが存在して欲しいとう希望はあるが、実際に私が見たものがUFOである可能性は限りなくゼロに近いと思っている。 今回のチャンスは少し変なものであったが、これまでの私の人生の中で神様は普通の者よりは多くの色々なチャンスを与えてもらっているにも関わらず、自らそのチャンスを逃していたということを再確認したことが悲しいのである。 今回に限らないことだが、あの時もベッドの中でモタモタしていたからシャッターチャンスを逃してしまったのである。 もしあの時にiPhoneを持って一目散に飛び出していくような人間であれば、私の人生はもっと違ったものになっていたのは言うまでもない。 もう一度言う。幸運の女神はいつまでも微笑んでくれるわけではない!
先週うちの会社の中国の工場から緊急のメールがあった。 発売間近の新製品がその工場で生産されているのだが、出来上がった製品の約6%に不具合が発生しているとのことである。 工場長はその新製品の製造の一時中止を決断した。 このまま製造を続ければとんでもない損害になってしまうし、製造を中止しているだけでも毎日の損害は発生する。 0.1%ほどであれば慣れない新製品の製造工程で何らかの手違いがあったと考えられるが、6%となると明らかに設計ミスであるのは免れない。 シカゴ本社からは製造技術のそれぞれの専門家が現地の工場で最初のロットが完成するまで立ち会っているので変な間違いはない。 すぐに数十台のプロトタイプでその不具合を再現してみたが、全く問題が起こらない。 シカゴと中国では何かの条件が違うのであろうか? 電圧? 温度? 湿度? 電源の質(ノイズ)? 気圧? 重力?世界中同じじゃボケ... いやいや、そういう常識で考えられる全ては既にうちの実験室で何度も確認済みである。 共産党の一党支配だから? チベット・ウィグル問題? そんなの関係ない! 恐らく常識では考えられないとんでもないものに違いない。 何が違うんじゃー! 我々研究開発部のメンバーは頭を掻き毟って悩んでいた。 困った事になったぞ。 家に帰れないじゃないか! 最終的に私は製造している中国人の手の平から悪い「気の力」を発している以外に考えられないという結論に達したのだが、さすがにそれを皆の前で口にするのは止めておいた。 そして大ボスの雷が落ちた! 「ここでごちゃごちゃ考えているより、明日中国へ飛べ!今から直ぐに領事館に行ってVISAを取って来い!」 私が担当する分野では二人の内の一人が現地に飛び、もう一人は詳しい情報を送ってもらうことでシカゴ本社のラボで不具合を再現し、修正する。 できれば中国は行きたくない私はもう一人の相棒にお前は中国に行ったことがないので一度は行っておくべきだと説き伏せた。 その相棒は中華料理が大好きであるのを知っていたので、本場での中国料理の良さは絶対にシカゴでは味わえないと嘘八百話してやった。 私のボスが私のところに来て、お前も後から直ぐに行かなければならないかもしれないので、一緒にVISAを取って来いと言う。 ボスに私は日本国籍だから中国を訪問するのに2週間以内ならVISAは要らないと話した。 お前はまだ日本国籍だったのか?と言われたが、アメリカ市民になる気持ちは今後も全くない! しかし私の頭の中でぼんやりとその不具合の原因が浮かんできているのを感じていた。 その気配は分単位でに段々強くなっていった。 それが何とははっきりとは言えないが、確かに頭の隅に何かが引っ掛かっているのは事実だ。 私は大ボスに本社からの調査団を現地に派遣するのを1日だけ待ってくれと申し出たんだが、お前の頭の隅に引っ掛かっている何かが不具合を発生させる原因の特定に100%確実であれば待ってやると言われたのだが、99.9%であればダメだと言われた。 とりあえず行くメンバーにはこれから直ぐに領事館に行ってVISAを取りに行かせるから、私が正午までの約3時間で原因が100%特定でき、私がここでその問題を再現できたら調査団を現地に派遣するのは中止するということで話がまとまった。 いらん事を言ってしまった! 現地派遣メンバーの6人が「ほそみちだけが頼りだからな!期待してるで!」と何度も言われて彼らは領事館へ向かった。 メンバー中には少年野球クラブのコーチをしている奴がおり、週末の試合に出られなくなるのは絶対に困る!と凄いプレッシャーをかけられてしまった。 彼らが領事館から帰ってきたのは午後3時過ぎだったが、私は原因を特定することが出来ず、Secretary(秘書)からEチケットを受け取った彼らは身支度をするために家に帰って行った。 翌日の早朝のフライトで彼らは中国に飛ぶ。 私の相棒はこれで本場の中華料理を楽しむことが出来るようになったと私を慰めてくれた。 私はその日、どれだけのプレッシャーの中で働いていたことか! 勿論私は昼飯も食わずにラボで頭を掻き毟っていた。 そしてその日の午後6時前に私は原因を特定し、不具合も100%再現できた。 本社のエンジニアが手作りで製作したプロトタイプと工場で製作された物とでは凄く小さな違いであったが確かに存在しており、現地の作業員にエンジニアレベルの目を要求するのは間違いである。 そういう状況に対処していなかった我々設計部隊のミスである。 まず間違いなしに日本人の工場作業員ならそういういい加減な仕事はしないだろうと思うが、給料が何倍も高いので世界で競争できる価格にはならないのが現実である。 私は直ぐに大ボスの携帯に電話し、状況を説明したが、彼の答えはNOだった。 約束は午前中までだったからだ。 それに一日でも製造が遅れたらどれだけの損害が発生するかを考えれば、大ボスの判断は正しい。 設計者が現地に行って確認するのがベストである。 その不具合は幸いにもFirmware(ハードウェアを制御するためのプログラム、装置内部に格納されている。)でも対処できるので、私は深夜までかかって不具合の修正をし、それを中国の工場に送った。 一件落着であるが、それでも翌日に彼らは中国に飛ばなければならないことを思うと申し訳なく思った。 15時間かけてシカゴから中国の工場に飛んで行くのだが、現地の工場にに着いた頃は現地作業員が私の送った修正プログラムの全ての確認作業を終えているのはわかっており、無理やり行かされた割には大した仕事はが残っていないのはその時点で判っていた。 まぁ折角中国に行ったのだから「食の中国」を楽しんで欲しいと思った。 先週の金曜日の出来事である。 昨日の月曜日には私の修正が完全に問題を解決したという報告を受けたのだが、火曜日の今日、またもや中国の工場から緊急連絡があった。 また何か別の問題が発生したのかと思ったが、私の相棒が工場近くの中華レストランで食事をした後にホテルで腹痛で倒れてしまい、病院に入院したという知らせであった。 詳しいことはわからないが、現在は点滴を受けており、翌日には退院できそうだという話だった。 その相棒がシカゴに帰ってきたら、何を言われるかを考えると頭が痛くなる。 私は本場の中華料理はシカゴでは味わえない美味しさがあると言って確かに彼に興味を持たせたのは事実であるが、安心できるレストランを選べとまでは言わなかった。 正しく今回発生した不具合みたいな出来事だった。
今日は町内一斉のガレージセール。 家の中の要らない物を格安の値段でガレージで売る。 中には新品の靴下などの品物を5つだけ並べて$1で売っている家もあった。 まぁ町内の小さなお祭りみたいなものですな。 ![]() 今週末はあちこちでこういう看板を見かける。 近所に住むホンダゴールドウィングに乗っているマイクさんは3年前に奥さんを癌で亡くし、現在は一人暮らし。 奥さんのサンディーが集めていたティディーベアーのぬいぐるみを今までは部屋に大切に保管していたが、気分を一新するためにティディーベアーのぬいぐるみを今回のガレージセールで全て売りに出すので来て欲しいと言われていた。 お節介焼きのマイクさんには特にこの冬はお世話になった。 我が家の雪掻き機を嫁さんが勝手に使って調子が悪くなった頃があり、雪が積もった日の朝早くマイクさんがカート式の大きな雪掻き機で我が家のガレージ前をやってくれていたので嫁さんが起きた時に驚いたことがある。 嫁さんはティディーベアーのぬいぐるみなんか全く興味はないと言ってたが、私は興味はなくても幾つかは買ってやれと命令した。 嫁さんによるとかなりのレア物もあるみたいだが、そのどれもが二つで$1で売っていた。 それに嫁さんと私の顔を見ると、これはサービスと言っていくつものティディーベアーをくれる。 言うまでもなく、彼はティディーベアーのぬいぐるみを売ろうとしているのではなく、捨てられなかっただけであるのは嫁さんでもわかったことである。 嫁さんが焼いたクッキーを持って行ったら、アンタの焼いたクッキーは世界一だとその場でムシャムシャと食べ始めたが、嫁さんが焼いたクッキーなんて、そんなに美味しくないのを私が一番良く知っている。 暑い太陽の下で、飲み物なしでクッキーを口にするマイクさんの優しさが嬉しい。 シカゴ郊外では日本の昭和みたいな近所付き合いがまだ残っている。 ![]() 嫁さんが選んでいる。 一週間ほどまえに彼の唯一の家族である猫のサーシャが夜になっても帰って来ないと我が家の庭まで探しに来たことがあった。 私も嫁さんも近所一帯を探してあげた。 探し始めて30分ほど経った時に彼はサーシャはバカな猫ではないので、お腹が減ったら帰ってくると思うのでもう家に帰ってくれと言われた。 それから1時間ほどして午後9時半頃に玄関をノックするマイクさんがいた。 サーシャを抱いている。 隣のボブさん家の庭で遊んでいたらしい。 泣きそうに嬉しがっているマイクさんがとても印象的だった。 当分は無理だと思うが、私も経済的にも時間的にも余裕ができたら、私もホンダの大型バイクを買って、マイクさんとツーリングに行く積もりをしている。 彼にとってはホンダを家族の一員みたいにしているのが日本人の私には嬉しい。 |一覧| |