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2009年12月23日 楽天プロフィール Add to Google XML

深夜2時までチェックインOK――ホテル五龍館のお客さま視点 国内旅行どこに行く?(232504)」
[ 旅行最新ニュース ]    

昨今の不況や新型インフルエンザの影響で、旅行業界に元気がない。日本旅行業協会が発表している「旅行市場動向調査」によると、旅行業の景気動向指数は2年前から連続して下降が続いている。シニア層の旅行機会は改善の兆しがあるものの、ファミリー層やOL層などは、まだ横ばいのまま低迷中だ。

 一方、お客さま側の旅行ニーズとしては、比較的低価格でこぢんまりと楽しめる「日帰り旅行」や「1泊2日の近場ツアー」派が増えているという。

 近場旅行といえば思い浮かぶのが、東京の「はとバス」。はとバス広報担当の方に聞いてみると、「ここ3年ほどは売り上げ好調」とのこと。やはり、お客さまの最新ニーズに合わせて、自在にツアー内容を組み替えられるのは、はとバスの強みになっているようだ。そして、その組み替えに対応できる添乗員の「実行力」も忘れてはならない重要な要素の1つである。

●「チェックイン」だけでも差をつけられる!

 さて、そんな旅行市場で、ユニークなアイデアでお客さまを呼び込んでいるホテルがあることをご存じだろうか?

 スキーの名所、あるいはオリンピックのジャンプ台で有名な、長野県白馬村にある白馬八方温泉「ホテル五龍館」がそれだ。このホテルの強みは、はとバス同様、お客さまのニーズをつかんで、ビジネスとして確実に実行に移しているところ。

 例えば、最終チェックインの時間がユニークだ。一般の“リゾートホテル”では、遅くとも24時くらいまでにはチェックインしなくてはならないのに対し、このホテルでは金曜の夜は深夜2時までチェックインを受け付けてくれる。

 実はこれ、仕事が終わった金曜日の21時30分に、クルマで東京や名古屋を出発しても、チェックインに十分間に合う計算(片道3.5~4時間程度)になるのだ。Webサイトを見ると、社員のコメントでその理由が次のように書かれている。

五龍館で働くまでは会社員で仕事が終わって出発し、夜中にスキー場に到着して車で寝て滑ってました。でも、いざ、滑るとなると、体がだるくて思うように滑れない。怪我をしそうになりました。お客様からは金曜の深夜2時まで待ってくれたら夜中に着けるんだけど・・・と沢山の声を頂いておりました。お客様とボクの体験をもとに、金曜は深夜2時までお待ちします。高速1000円(ETC割引)も利用下さい(ホテル五龍館公式Webサイトより)

 完璧である。「深夜2時までチェックイン可能」という言葉を出すだけなら、どこのホテルでもできるだろう。だが、この告知の仕方の良いところは、「なぜチェックイン時間を深夜2時まで延長したか」という理由を明確にターゲットを絞って伝えているところにある。しかも、お客さまのインサイト(潜在的な欲求)に十分に応える形で。

 また、告知のすぐ後には、具体的なクロージング(宿泊予約提案)も用意。次の2つのプランを用意している。

1.金曜の深夜に到着 → 土曜に滑って帰る=1泊朝食プラン

2.金曜の深夜に到着 → 土曜に滑る → 日曜も滑って帰る=2泊3食プラン

 金曜の深夜に到着するっていいなあ~と思ったお客さまに、余計なことを考える間を与えないクロージングの早さなのだ。

●チェックアウトでも差を付ける

 さらに、チェックインだけではなく、チェックアウトのアイデアも秀逸だ。

 一般の温泉ホテルに泊まる際、本当は「朝風呂にゆっくり入りたい」のに、例えば朝食の時間が7~9時と決められているがゆえに、朝食の前に急いで入ったり、朝食後に入る場合でも、チェックアウトの時間を気にして、ゆっくり入れなかったりしたことはないだろうか? 朝風呂の時間を確保するために、朝食を急いで食べたり……という経験のある人も少なくないはず。せっかくリゾートホテルにくつろぎに来ているのに本末転倒。最悪の場合は、寝坊してチェックアウトで精一杯→朝食を食べ逃した、なんて人もいるかも。

 特に女性の場合は化粧をする時間も必要なので、ゆっくりと朝風呂を楽しめる時間が実はほとんどないのだ。

 その点、このホテルは「朝食はゆったりと11時までいつでもOK!(チェックアウトは10時)」となっており、朝にゆっくり温泉に入れるし、もし寝坊しても、チェックアウト後に朝食をとれるので、「朝食に間に合わなくて損した」なんてこともない。

 ここでも、「チェックアウトは11時まで」と単に告知するだけではなく、チェックアウトが11時になることによって、「朝食がゆっくり食べられる」というベネフィット(お客様の便益)を伝えているのが秀逸だ。

 日常生活であれば、朝食が7~9時というのは普通かもしれない。その流れで朝食の時間帯を決めれば、ホテル側は食事の準備や後片付けなどをまとめて行うことができ、従業員の労働計画も立てやすい。しかしそうした食事時間の細かな設定などは、「ホテル視点の発想」とも言えるのである。

 ここで改めて、お客さま視点で考えてみたい。お客さまはリゾートホテルに“非日常”を味わいに来ているわけで、「できるだけゆっくり過ごしたい」「自分のペースで過ごしたい」というのが本音だろう。

 「朝、ゆっくり過ごしたい」というお客さまの欲求に対し、次のお客さまのために部屋の清掃など、「準備を始めなくてはならない」ホテル側の業務。この2つを共存させるための仕組みこそが、「チェックアウトは10時→でも、朝食はゆったりと11時までOK!」なのである。

●答えはいつもお客さまの中にある

 チェックイン・チェックアウトのような、ホテルとしては最も基本的な業務でさえ、お客さまをじっくり観察して、そのニーズをつかむと、新しいサービスのヒントが見えてくる。

 お客さまの視点に立ったこの2つのサービスは、言われてみれば「誰でもできそう」なのに、なぜか「誰もがやっているわけではない」サービスなのである。そしてそのことは、結果的に、他社との差別化を生む一要素になっている。もちろん、探し出したヒントを「実行」に移す力も大切であることは言うまでもない。

 これまで述べてきたことは、1つ1つを見れば、そんなに大きなサービス改革ではないかもしれない。しかし、「リゾートホテルとは何か」を考えさせられる良い事例だと、筆者は感じている。

 逆に、これがビジネスホテルであれば、「朝、ゆっくりくつろぎたい」欲求よりは、「チェックアウト時、フロントの混雑の中で待たされるのが嫌だ」など、より実務的な欲求が強くなってくるのではないだろうか。

 ワシントンホテルグループや、ダイワロイネットホテルグループが採用している、カードを通すだけでチェックアウトができる「自動チェックアウト機」は、まさに、そんなビジネスパーソンの欲求をつかんだサービスである。

 その意味でも、不況でモノが売れないと嘆いている人は、もっともっとお客様の視点で、次のサービスのヒントを探してみてはどうだろう?

 成功のヒントと売れる仕組みのアイデアは、きっとそこら辺にごろごろ転がっているはず。そう、「答えはいつもお客様の中にある」のだから。

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最終更新日  2009年12月23日 04時46分31秒
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相変わらず、的確なご案内ですね。   shishosanさん


メリクリ♪   ピッコロ企画さん


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