訪問看護 〜最終「男泣き」〜
訪問看護の世界に飛び込み3年目の春の出来事。所長から「夏前に退職する」と話があった。衝撃過ぎて「えっ・・・」と頭が真っ白になった。やっとキツい指導から解放される・・・という考えにはならずもう指導してもらえないのかよ・・・何を目標に頑張っていきゃいいんだよ・・・もっと学ばせてくれよ・・・と悔しい何とも言えない気持ちになった。月日は流れ所長の最終勤務日に送別会が開かれた。送別会の帰りに最後の所長からの挨拶で他のスタッフは涙を流す。ここではまだ全く涙腺は緩んでいなかった。比較的近所に住んでいたこともあり、私は所長の荷物を所長の自宅まで運んだ。帰り際に「ありがとうございました。」と最大限の感謝を込めて頭を下げた。今も思い出すだけで涙が込み上げてくるが所長からの返答は予想もしないものだった・・・。「こっちこそ、厳しい指導についてきてくれてありがとう。ついこれるはずと思ったから厳しくしたし、同じ男性看護師としてどこに行っても通用する一級品の戦闘力を持った訪問看護師になって欲しかった。」「これ(所長代理時の報告書)だって1年前よりこんなに簡潔明瞭に書けてるでしょ?最初は何もできなかったけど、こんなに成長してるじゃん。」「もうどこ行っても大丈夫。あとはどんどん経験を重ねて引き出しを増やしていきな。」所長代理時に作った報告書を全て保管して最後に手渡すなんて卑怯すぎる・・・もう完全に男泣きでした。こんなに優しい表情をした所長を見るのは3年間で初めてだった。何年経っても私の中で不動の№1訪問看護師であり師匠であり最高の上司。最初に出会った訪問看護師がその人にとっての訪問看護の指標になる。だからこそ私は「この人から学びたい」「この人すげぇ・・・」と思ってもらえる圧倒的な存在になり、そんな存在で居続けたいと今でも強く思っている。今でも心の底からありがとうございましたと感謝しています。