「低脂肪ダイエットは影響が小さい」 科学雑誌natureに載ったダイエットに関する論文
原文http://www.nature.com/news/low-fat-diets-have-low-impact-1.18678訳文低脂肪ダイエットは影響が小さい68000人が参加した53の減量に関する研究の分析はその人気に反して、低カロリーダイエットが高カロリーダイエットと比較して長期間の減量にはそれほど効果的ではないと結論づけた。さらに、どのタイプのダイエットも特に優れているわけではないという。ダイエットを開始して1年後に53の研究の患者は平均で5kgしか減量できていなかった。「それは決して印象的なものではありません」米国のMaryland州Bethesdaにあるアメリカ国立衛生研究所の生理学者Kevin Hall氏は語る。「これらのダイエットに関する処方の全てはどちらかと言うと長期的には効果的でないということです。」この研究は The Lancet Diabetes and Endocrinology誌に掲載されたが、数十年に渡る医学的なアドバイス全てに反するものであり、広く支持されてきた低脂肪ダイエットが間違っているという意見を補強することになる。Natureはなぜ低脂肪ダイエットがそれほど人気で、ダイエット専門医たちは次に何を処方すればよいかに迫った。この新発見は驚きなのでしょうか?低脂肪ダイエットが優れているかは長い間謎だった。「数十年我々は口うるさく低脂肪ダイエットが減量には良いと言い続けてきましたが、肥満は増えていました。」この論文の主な著者で、Massachusetts州Bostonのブリガム婦人病院に勤めるDeirdre Tobiasは話す。それは低脂肪ダイエットが良い方法ではないと示す証拠です。」臨床データの中にはこの結果に逆行しているものもある。しかしTobiasの研究はその規模、着眼点ともに個性的である。その研究は長期間の結果だけに焦点を当てており、どれほどそのダイエットが厳格であるか、ということにも注目している、とHallは言う。この結果は低脂肪ダイエットと高脂肪ダイエットの間に統計的に意味がある差が存在しないことを示している。さらに、この結果は炭水化物を抑えた高脂肪ダイエットに若干、1kg程度の効果があることを示しているが、これは医学的に無意味であるという。でも多くの店は現状脂肪の少ない商品を宣伝しています。結果が届いていないのではないでしょうか?調整された食べ物や料理、それに一部の患者が低脂肪な食品による減量に期待し続けている。しかしTobiasはそれが変わり始めることを望んでいる。アメリカでは一つの重要な変化が今年の下半期に農業省が国のダイエットに関する指針を発表する際に来るだろう。これは医療のアドバイスから給食に至るまでの全ての方向性を定めるものである。今年初めには、農業省への日々の脂肪摂取量の制限撤廃を提案する科学的なレポートが提出された。なぜ最初脂肪は批判されたのでしょう?たとえダイエットがどういう方法であるとしても、体重を減らす鍵は摂取カロリーより多くのカロリーを消費することである。脂肪は1gあたりでタンパク質や炭水化物の2倍以上のカロリーを含んでいる。論理的に見て、脂肪を減らすことがカロリーを減らすことになるように思われる、とHallは言う。誰もこの戦略がなぜ失敗するのかを知りません、とTobiasは言う。しかし大抵これらの脂肪はダイエット中の人が空腹を解消できるようにより多くの軽食を摂取することで炭水化物に置き換わっているのだ。では脂肪はメニューに戻ってきますか?体重不足に悩んでいる限り、論文はオリーブやアボカド、魚の脂身といった不飽和脂肪酸を制限する必要はない。しかし他の健康への心配には関係なく、また不飽和脂肪酸は心筋梗塞や心不全に関係しているとされている。なぜ多くのダイエットが長期間に渡ると上手く行かなくなるのでしょう?ダイエットをしている人は始めた時には厳しく意識している傾向があるが、すぐに古い生活に戻り始めるとHallは言う。6週間までにダイエットをしている人は彼らの最低の体重に到達するが、ダイエット以前に近い量のカロリーを摂取し始めてしまう。そして彼らの体重は元通りになる。生理的なカロリー摂取に関する指示系統についての論文ではその人がカロリーを減らしていると報告している時点からすでにこれら全体の食事パターンが操作されているように見えた。体重を減らしたい時ダイエットは無意味ということでしょうか?そうではない。これらの結果はあくまでも平均である。論文調査の中の何人かは確かに1年間で大幅な減量を続けており、また体重を増やしてしまった人もいるだろう。「体重を減らし、低炭水化物、低脂肪の生活を継続している人もいます。」Hallは言う。「上手くいっているだろう人もその先はどうなるか分かりませんが。」栄養士は一つの栄養素に注目することから食生活全体を見る方向へシフトしている。地中海ダイエット、つまりフルーツや野菜を多くしたメニューは一つの例だ。それはとても複雑な一般人の健康へのメッセージであり、臨床研究ではより難しくなるが、Tobiasはつまるところダイエットは個人の問題だと話す。「冷めた言い方をすれば、ダイエットに王道なし、です。絶対の方法はありません。」