誤用の慣用句「中高年ほど誤用の慣用句」このほど文化庁から、「国語世論調査」をもとに、 中高年ほど慣用句を誤用していると発表された。 自分ももしや、と思わなくもないが。 確かに近年、言葉の乱れも目に余るものがあり、 時代と共に変化するものだとは言われながらも、 このまま行くとどうなるのか、とひとり危惧を覚える。 先の発表によれば、「青田買い」を「青田刈り」に、 「汚名返上」を「汚名挽回」に、 「伝家の宝刀を抜く」を「天下の宝刀を抜く」に、 「他山の石」は、「他人の良い言行は自分の行いの手本となる」の誤答が、 「他人の誤まった言行を自分の行いの参考にする」を上回った。 「枯れ木も山のにぎわい」は、単純に「人が集まればにぎやかになる」の誤答になり、 「つまらないものでも無いよりはまし」の正答を若干上回り、 「世間ずれ」では、「世の中の考えから外れている」 との誤答が32.4%もあるのには全くもって驚きである。 しかも、その誤答率が中高年に行くほど高いといわれて、 不思議に思われる人も多いだろうが、 日頃から、そういう類の誤用や言葉遣いを頻繁に耳にしているから、 むしろ、やはりそうだったか、と納得する。 若い年代の中にも勿論 無知で誤用する者も多いが、 年長者が誤用するのだから致し方のないことでもある。 最近は、学校の授業で取り扱うことも多くなったようだから、 知識として習得した若者の正答率が上がったのだろうと思う。 二十代位の若い女性から、 「ご苦労様でした」といわれて驚いたけれど、 もうそんなことは日常茶飯事だった。 「お疲れさまでした」と声を掛けて帰る人が増えただけまだまし、 高校生でさえ、明るく元気にみんな揃って声を掛けてくれる。 「おつかれさまでした~」 ある日、たまりかねて、 「ありがとう は?」と笑顔で催促してみると、 またまた爽やかに「ありがとうございました~」と返って来た。 そこで、「ご苦労さま」「お疲れさま」について説明。 自分がお世話になった時には、 「お疲れさま」の労いの言葉よりも、 「有難うございました」の、感謝の言葉の方が相応しい、と説く。 以来、両方の言葉で送ってくれるようになり、 気分良く帰途につけるようになった。 が、問題は中高年である。 敬語と丁寧語の誤まった混用が多くみられ、 謙譲語の使い分けも余りできていないように感じられる。 丁寧な言い方だと思っていることが、 実は、相手にとっては、 逆の作用をしていることに気付いていない場合が多々あるのである。 時代と共に「言葉」は変化するものではあるけれど、 その場に相応しい言葉を使い分けられることの方がいい。 仲間同士のカジュアルなお喋りの場でなら問題はないだろうが、 仕事やプライベートにかかわらず、 きちんとした場所では、顰蹙(ひんしゅく)を買ってしまうことにもなり、 責任ある仕事は回ってこないようになる、と思う。 言葉の使い方ひとつでも、 会社やその人の信用を左右することにも繋がる、 そう思うのは行き過ぎだろうか |