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テーマ:就農準備(185)
カテゴリ:就農準備
愛媛遠征3日目。
内子町の自然農法実践者、中谷さんの農場を出たのが夕方4時半を過ぎていた。天気が悪く既に暗い空の下、山間の町大洲を後にした。 翌日に備えてこの日は更に南にある次の目的地、鬼北町(きほくちょう)へと移動しておく予定だった。鬼北町の農業支援センターの仲介により放し飼い養鶏をしている農家で2泊3日の農業体験することになっているのだ。 厚い雲↓ 大洲を出る時には例のセンター長氏のお陰で愛媛全体から拒絶されている感じがして気が滅入っていた。まさに空と同じく暗い気分。 大洲で一旦途切れている松山自動車道に乗り南下。長いトンネルを抜けると空は雲が切れ明かりが見え始めていた。 そして松山自動車道の最終地点、西予宇和で高速を下りる頃には嘘のように雲が消えて美しい夕陽が見えた。 いつの間にか気分もすっきりと晴れ、いつも通り前向きさを取り戻していた。よーし、次行ってみよーっと。 因みにこの南下ルートは所々遍路道とかぶっており、西予宇和ICの近くには43番明石寺があり、ICを出てすぐに左折して暫くはかつて歩いた遍路道を逆行して行った。 5km位走るとナビが右折の指示。曲がるとすぐに鮮明な記憶の景色が目の前に現れた。 それは歯長(はなが)峠を越えた後にある歯長休憩所↓ 一瞬でこの先にある歯長峠の山道を思い出した。歯長峠の遍路道は42番仏木寺の後すぐに越える峠。登りは案外大したことないのだが下りがウンザリするくらい長く感じるのだ。膝が弱い人はガクガクになる恐れありだ。 峠道を懐かしく思い出しながら既に薄暗くなった歯長峠を車で越えた。しかし車だととても短く、それほど険しくもないように感じた。なんとも車という道具は思い出を壊す虚しい乗り物だ。 42番仏木寺、41番龍光寺を通り過ぎ鬼北町に着いたのはすっかり日が暮れた後。この日の目的地、隣町にある日帰り温泉施設、森の国ぽっぽ温泉にはすぐに着いた。 森の国ぽっぽ温泉↓ このぽっぽ温泉という名前はハトポッポからつけたのではない。 もちろん、このぽっぽでもない↓ 汽車ポッポなのだ。(電車なんだけど)ともかくJR予土線の松丸駅構内にあるという訳だ。 これが中々温くて長湯できるいい湯だった。この日も車泊。お陰さまで良く眠れた。 翌朝もこの温泉に朝一で入る。朝と言っても10時開店だけど。こんな時間に風呂に入っているのは若干人生計画の狂った俺みたいなヤツか、すんごいじーさん達かのどちらかだ。 この日は晴天。露天風呂で秋らしい天高い空を眺めながら、秋だな、と目を細めているとそのジーサンズたちから代わる代わる声を掛けられた。「どちらから?」 きっとここの温泉に入っている人は私以外全員顔見知りなのだ。「千葉からです」と答えると色々な地元の観光地を親切に教えてくれた。ま、観光じゃないんだけど。 ともかく田舎ってのは人間関係が密だから人嫌いじゃなければ住みやすくていいよね。 昼過ぎに鬼北町の道の駅森の三角ぼうしで農業支援センターの都さんと待ち合わせていた。 この人はとても親切で、問合せの時にどうせ来るなら2泊3日の農業体験の制度を利用すれば宿泊場所を無料で提供できると勧めてくれた人だ。お陰で今晩から2日間は旅館に泊まれることになっていた。 この日の予定は町の農業施設などを見学しながら国道320号線を北上して行き、鬼北町の最北端に近い山奥にある放し飼い養鶏農家の渡辺さん宅に行くことになっている。 まずは役場から5分ほどの農業研修施設を見学↓ やたら立派なガラスハウスの中ではイチゴが高設栽培されていた↓ 幾らなんでもお金かけ過ぎでしょ。ここの新規就農希望者は2年に1人位らしいから。100年経っても絶対に元が取れないと思うんだけど・・・・ 20分ほど車を走らせ次はキジの養殖施設を見学↓ 更に30分ほどでもう一つの道の駅、日吉夢産地(ひよしゆめさんち)に到着↓ 私の宿泊する旅館、梅の屋さんはこの近くだった。そこから更に渓谷のような川沿いの道を走ること10分。 こんな道↓ ようやく2日間お世話になる渡辺さんの農場に着いた。そこは目の前に四万十川の上流の清流が流れ、1000m級の山に囲まれた絶景の地だった。 農場北側の山↓ 美しい川↓ 棚田↓ この渡辺農場は私の理想と極めて近く、鶏舎はハウスで建てられており、更に広い運動場があり、そこには柚子の樹が植えられていた。 広い運動場↓ ↑黒いネットで囲われているのは若い柚子の樹。3年目位までは囲わないと葉っぱを全部食べられてしまうそうだ。 3年以上経った柚子の樹と鶏↓ う~ん。なんともいい眺めだ。これぞ放し飼い。私の理想。ここで飼育されているのは媛っこ地鶏という愛媛で改良された肉用鶏だった。1月に150羽ペースで出荷しているとのこと。 若い媛っこ地鶏↓ 鶏舎の中もこの密度↓ 健康的な感じ。 採卵鶏と違って肉用鶏は卵を拾って洗ったりという手間がないので楽なのだそうだ。それに採卵鶏が150日くらい飼育してから産卵するのに対して肉用鶏は90日の飼育で出荷できる。 なるほど。複合的な農業を志すなら肉用鶏の方が労働時間を省けるので良いかも知れない。ただ、問題は販売先の開拓と加工品開発だな。卵と違って肉用に解体処理しないと一般家庭ではさばけない。 その他養鶏に関することばかりでなく、農場を囲う柵の作り方、ハウスの資材はどうすれば安く手に入るか、農業資材や機械の使い方から購入方法まで、ありとあらゆることを2日間で教えて頂いた。 この渡辺さんも元々岐阜でサラリーマンをしていて、10年程前に辞めて実家に戻り就農したのだそうだ。そして鶏を飼い始めたのは7年前のこと。 だから私のような境遇の人間の不安も分かるし、必要な情報も良くわかっている。養鶏を始めるに当って準備が必要なことについて資料まで用意しておいてくれた。 渡辺さんは養鶏の他、ハウスでのトマトや葉物野菜なども栽培している。 トマトのハウス↓ 基本的に何でも自分で作る。これは温度管理が必要なヒヨコを育てる設備を準備しているところ↓ 熱源は古いコタツを利用している。村の人が捨てるのをもらってくるのだそうだ。 こういうリサイクルのアイデアを多用してコストを削減している。機械だって最低限しか買わず当然新品は買わない。最近の新規就農者が何千万もの借金をして農業を始めるのとは訳が違う。 渡辺さんはもちろん初年度から黒字だ。これに対し昨今の新規就農者の多くは莫大な初期投資の借金を返済し終わるのに10年も15年もかけ、更に年間数百万の農業資材などの経費を使うため5年くらいは赤字なのが当たり前だ。 困ったことにこういうハイリスク・ローリターンの農業を行政が推奨している。そろそろ農業支援センターの悪口ばかりを言うのも気が引けるけど、彼らには農業で生計を立てた経験がないのだ。これは致命的だろう。 それに経営に関する知識もない。農業というのは個人事業主と同じで一人一人が経営者だから経営の知識が絶対に必要なのだ。今のところこれは自分で勉強するしかない、ということになっている。 ということで今回の愛媛遠征は終わってみれば良い先輩と知り合いになれ、中身の濃いものになったのでした。 第一回愛媛レポートおしまい。長くなってスマセン。 「ねはんの里」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.10.31 11:33:42
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