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DrHTの日記 [全73件]
6月15日の日本老年学会では死の臨床的問題についてシンポジウムが設けられ討議されました。私も出席し刺激されてきました。 高血圧になると臓器合併症が進行し生命予後がわるくなります。その進行を抑止することが大事な訳です。しかしヒトは死が避けられません。本邦においては死についての教育が十分ではないようです。ドイツなどではDeath Educationが行われ、小学校の頃から死について語る授業があることも聞いたことがあります。死は生き物であれば受容せざるを得ないものです。英国の聖書には”In the midst of life, we are already dead”〔生のさなかにあって我既に死したり〕という有名な一節があります。生きる過程そのものが死に行く過程であるということを言いえているように思います。死についての議論は家庭、学校、社会、医療においてもっと自覚し意識してなされるべきと思います。 ヒトは癌、感染症、事故以外は、メタボリック症候群を基盤にした動脈硬化性病変による臓器不全により死に至るように思われます。死についての議論がなされる疾病基盤はすでに日本にも十分あるわけです。
肥満を基盤にしたメタボリック症候群の疾患概念が確立しようとしている。内臓の大型脂肪細胞からのアディポサイトカインの生成異常が、糖尿病、高血圧および高脂血症の原因となるとの考えである。これれらの根底にはインスリン抵抗性が共通した基盤として存在している。肥満の原因としてはカロリーの摂取過剰があるが、同時に嗜好添加物としての食塩の摂取も過剰になっている可能性が指摘できる。腎機能低下は高血圧と関連があるが、この更なる低下にはインスリン抵抗性が増悪因子として相関していることが非糖尿病高血圧患者においていて指摘されている。またインスリン抵抗性の存在する2型糖尿病においては、食塩摂取が腎障害の指標であるアルブミン尿の増加と血圧上昇に関係しており、インスリン抵抗性が食塩感受性や腎血行動態(糸球体血圧)に影響を与えている。腎障害が軽度~中程度ではインスリン抵抗性はBMI、中性脂肪値、血中アデイポネクチン値、年齢と相関しているが腎機能とは相関が無いことが示されている。またこの対象で心血管イベントが過去に存在する患者においては、インスリン抵抗性が大型脂肪細胞由来のアディポサイトカインのアディポネクチンの血中レベルの低下と相関している。インスリン抵抗性は腎障害の早期から存在し、とりわけメタボリック症候群に見られる低アデイポネクチン血症が腎障害時の心血管病変に独立した因子として関与している。アデイポネクチンが腎機能調節にいかに関係が深いか今後の検討が必要である。メタボリック症候群の疾患概念が確立しつつあり、これを構成する各コンポーネントの複合が腎機能障害の増悪因子になっていることが知られている。高血圧の発症・維持には腎臓での食塩代謝代謝が大きく関係しているが、メタボリック症候群に見られる肥満とそれに関与した分子がこれにいかに関係するか今後の研究に期待される。臨床的にはメタボリック症候群を理解し、早期に血圧を含めた異常を改善してゆく指導が重要である。
糸球体前血管抵抗調節は高血圧の発症や維持に深く関係するが、これらについて酸化ストレスを介した機構が明らかになりつつある。すなわち、酸化ストレス生成は反応性活性酸素群(Reactive Oxygen Speices, ROS)の生成をもたらし、なかでもスーパーオキシド(O2-)は一酸化窒素(NO)を非活性化する。糸球体前血管抵抗調節に関係する輸入細動脈およびマクラデンサ細胞は酸化ストレス(O2-生成)に関するNADPHオキシダーゼのすべてのコンポーネントを有している。一方、マクラデンサ細胞にはタイプ1型の一酸化窒素合成酵素(NOS-I)が発現しており、また輸入細動脈には内皮型NOS(eNOS)が発現している。マクラデンサ細胞においてNOSはNaトランスポーター(Na-K-2Cl共輸送体)によって活性化されNOの生成を介して輸入細動脈の拡張反応を媒介しているが、酸化ストレス(O2-生成)によってNOが分解されこの拡張反応が障害される。また、マクラデンサ細胞のNaトランスポーター刺激によってATPおよびその類縁産物のアデノシン生成が刺激され、これらが輸入細動脈の収縮性反応をもたらしている。このようにNaトランスポーター機能とNO生成によってTGFは調節されているが、それにさらに影響をもたらす因子として酸化ストレスが位置づけられている。輸入細動脈の筋原性調節にも内皮機能を介した調節においてNO、アデノシン、O2-生成の相互作用が関与するものと考えられる。 高血圧の発症には糸球体前血管抵抗調節異常が根底にあると思われる。実際に前述した分子の遺伝子ノックアウトマウスによる研究においてそれらは明らかになっている。高血圧の遺伝子異常素因については広く知られているところであるが、尿細管ー糸球体フィードバックないし糸球体前血管抵抗調節に関する遺伝子発現異常が環境要因(食塩摂取、肥満)と複合して高血圧の発症・維持に関係している可能性が考えられよう。 以上は本日私が学問的総説を書いた一節ですが、大変難解であると思われます。この論文が終わらなければ時間が取れないのです。あしからず。
メタボリック症候群における腹囲の基準は何を表しているかについて簡単に解説しましょう。内臓肥満細胞は皮下脂肪細胞とは異なり内分泌細胞として炎症性のサイトカイン(炎症性ホルモンでアディポサイトカインと呼ばれる)の分泌が盛んで、これが多くあると動脈硬化性病変が進行します。腹囲の基準(男性85cm以上;女性90cm以上)は病的内臓肥満である断面内臓脂肪量100cmxcmを目安として設定されています。この腹囲以上あればアディポサイトカインの分泌が病的になり、さらに血圧や血糖の高値や、脂肪代謝の危険因子も加味されて動脈硬化に陥りやすくなります。
いわゆる生活習慣病である高血圧、糖尿病、肥満、高脂血症など複数の症状があると、心筋梗塞や脳卒中などの恐ろしい病気を起こす動脈硬化症への進展の危険性が非常に高いことがわかっています。この状態は「メタボリック症候群」とよばれています。メタボリック症候群は、肥満度や血圧、血糖など個々の検査データはそれほど悪くないものの、内臓脂肪型肥満傾向、血糖値、血圧、中性脂肪またはコレステロールなど生活習慣病と深く関わっているデータが複数にわたって注意を要する方は心筋梗塞や狭心症などの心臓疾患リスクが健康な人の2倍になるという報告があります。 日本動脈硬化学会、日本糖尿病学会など8学会がまとめたメタボリック症候群の診断基準は、内臓脂肪が蓄積した結果、皮下脂肪の蓄積に比べ、糖尿病や高脂血症などの病気とのかかわりが強く、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが2倍近く高まることがわかってきました。 脂肪には、皮下脂肪と内臓脂肪の2種類があります。 内臓脂肪がたまると血圧、血糖、中性脂肪が高くなるといわれています。それを示すのがウエストの幅です。 内臓脂肪型肥満が疑われるウエスト85cm以上の男性、ウエスト90cm以上の女性が対象で 1、空腹時、血糖が110以上 2、血圧が最大130以上または最小値85以上 3、中性脂肪150以上またはHDLコレステロール(善玉コレステロール)が40未満 のうち、2つ以上該当する場合、メタボリックシンドローム(代謝症候群)に該当するとされています。 メタボリック症候群はその該当する項目が増えるごとに心血管障害が起きやすいと報告されています。アメリカのデータでは項目の増加が腎障害の危険因子と成っていることが示されております。腎臓は健康寿命を保つ重要臓器ですので、早期からのメタボリック症候群の治療介入が必要なのではないでしょうか?そのためにも、この疾患概念を意識し自己管理が必要と思います。
先週末、大学の同窓会があって特別講演の建築家・安藤忠雄氏「可能性を探る」を聞きました。一時間ほどの講演でしたが、興味深く最後まで飽きることなく拝聴しました。氏の言いたいことは(私の判断するところによれば)“よりよき次世代”を作るために何ができるかを個人がよく考えるということだろうと思いました。そのためには、ヒトが感性を高め、想像力を豊かにできる環境を整備することが重要です。安藤氏は建築を通して行ってきたその“可能性を探す”作業を話されました。緑豊かな生命の躍動感を感じる街づくり、古いもの(文化)を現代環境に生かす生かし方、多様で多面的なものの見方など。 医学においても同じことが言えると思います。想像力豊かな、しなやかな感性を持った学生の選抜、そして医学部および研修病院での、将来を見据えた医師の育成計画が大事でしょう。 高血圧の臨床について言えば、高血圧疾患を血圧という数値でのみ診断したり治療するのではなく、患者個人の事情を想像し、患者とともに喜びながら高血圧の個別の臨床を実現したいものだと思います。
アルファ2受容体アゴニスト:交感神経末端にあるアルファ2受容体を刺激することで、神経末端での分泌アドレナリンの再吸収が促進され神経刺激が抑制されることにより血管拡張がもたらされます。この受容体を活性化することでこの薬物は作用を発揮します。中枢性にも働き作用します。多剤で降圧効果が出ない場合、使用すると効果がある場合があります。副作用として口渇感、傾眠、立ちくらみなどみられます。傾眠効果があり就寝前に投与される場合が多いと思います。中止すると逆に急速な血圧上昇を来たすことがあります。 アルファメチル・ドーパ:これも中枢性降圧薬です。やはり副作用として口渇感、傾眠、立ちくらみなどみられ、降圧効果は多剤に比して十分ではありません。妊娠時高血圧には比較的安全性があり使用されることが多い薬剤です。 ヒドララジン:古典的な血管拡張薬です。妊娠時高血圧には比較的安全に使用されます。 これらのお薬は古典的な降圧薬で、より効果がある新薬に取って代わられています。副作用が多く、降圧効果が一般的でないのが短所です。しかし、アルファメチルドーパやヒドララジンは妊娠時の降圧薬としては必要性のあるお薬となっています。 |一覧| |