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proud じゃぱねせ

proud じゃぱねせ

ハウス・ニグロとフィールド・ニグロ

私は次のことに言及してから席に坐りたいと思う。

奴隷制時代には二種類の黒人奴隷がいた。
年寄りの家事労働に従事する“ハウス・ニグロ”と、
野良仕事をやる“フィールド・ニグロ”である。
そして“ハウス・ニグロ”は、いつでも主人の見張り番を勤めていた。
“フィールド・ニグロ”の働きぶりが限界に達すると主人は彼らを取り締まった。
限界に達した“フィールド・ニグロ”は容赦なく農場に送り返された。
“ハウス・ニグロ”は“フィールド・ニグロ”よりもより良い住居に住んでいたため、
何をするにも余裕があった。

“ハウス・ニグロ”は、うまいものを食べ、よりよい着物を着、より立派な家に住んでいた。
彼は主人のすぐ側に――つまり屋根裏か地下室で暮らしていた。
彼は主人と同じものを食べ、同じ着物を着ていた。
そして彼は主人とまったく同じように正しい言葉で話すことができた。
そして彼は主人以上に自分の主人を愛していた。
こんな調子だから彼は、主人が不機嫌になることをのぞまなかった。

もし主人の機嫌が悪くなれば彼はこう言うのである。
「ご主人、どうなされました。病気ではありませんか?」と。
主人の家が火事になれば、彼は火を消す事に全力をあげた。
彼は主人の家が焼け落ちる事をのぞまなかった。
主人の財産が危険に陥る事を彼はのぞまなかった。
そして彼は主人以上に主人の財産を守り抜こうとした。
これが“ハウス・ニグロ”の実態であった。

しかし、一方の“フィールド・ニグロ”は、
粗末な小屋に住み、失うべき何物も持たなかった。
彼らは最悪の衣服を着ていた。
彼らは最悪の食べ物を食べていた。
そして彼らは地獄のドン底に叩き込まれていた。
彼らはむちで打たれる思いをしていた。
彼らはこの地上を憎悪した。
彼らが何をしたかおわかりだろうか?
彼らは主人が病気になると主人の死を願った。
主人の家が火に包まれるとさらに強烈な風が吹いてくれる事を祈った。
これが“ハウス・ニグロ”と“フィールド・ニグロ”の相違であった。

そしていまもなお、“ハウス・ニグロ”と“フィールド・ニグロ”が存在している。

私は後者の“フィールド・ニグロ”である。



マルコムX「いかなる手段をとろうとも」現代書館 より


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