年金生活者はすることがないからテレビを何となく見ていることが多い。今日の昼過ぎテレビ画面に加ト吉のうどんのコマーシャルに伍大夏子が出ていた。
僕「相変わらず別嬪やなあ。」
妻「若いころの絵やわ。」
僕「何で分るん?」
妻「10年前と同じ着物で出てる子供も変らへん。」
僕「よう覚えてんなあ。ところでこの人の亭主は見かけんなあ。」
妻「ひと頃大阪新歌舞伎座に毎年出てたのにい。」
僕「確か、芝居して歌も歌ってたよ。」
妻「すきま風」
僕「テレビで昔遠山の金さん、右門捕り物帳で妙な流し目で有名やった。」
この間懸命に名前を思い出そうとするも顔は分かっていながら出てこない。約五分の沈黙あり。
妻「最近は朝の芸能ニュースにも名前が出んわね。」
僕「この男もう60超えてるはずやなあ。こんな倍も若い嫁はんで身体保んかい?」
妻「下衆の勘ぐりやわ。まだ62、3の若さや。現役よきっと。」
年取ると嫁はんも際どいこと言いよる。現役やて。こちとらは退役済み。
僕「確か前の嫁はんに子がおったで。」
妻「山田純太。こないだ大和の男たちで水兵してた。」
僕「芸能ゴシップは嫁に訊けやなあ。感心するな。さてこの親父の名前は?」
妻「あんたが喋るさかい忘れてもうたわ。」
なーんや嫁はんも思い出せんかったんか。とたん!。
妻「何とか良太郎やっ。」
僕「杉。スギ。杉良太郎やったんや。」
名前が出たのは話し始めてかれこれ20分後であった。やれやれ。