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テーマ:ニュース(99408)
カテゴリ:法律関係
NHKが受信料不払いへの対策として、不払い契約者への法的手続きの是非を検討しているらしいとのこと。
簡易裁判所の支払督促を使うのではないか,と報じられています。 http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20050901AT1D310A001092005.html この支払督促というのは,かつては支払命令といって裁判官が発していたのですが,申立書に貼る印紙も訴訟の半分の額だし,証明が要らず,書面審査だけで発令される簡易な手続なので,申立が多く処理が追いつかないため,裁判官を解放し,書記官に出させるようにしたのが,この督促手続です。 当然,ハードルは低くなりました。 もっとも,この督促には異議申立用紙が同封されていて,□にチェックをいれたりして簡単に異議申立ができます。 異議申立をすると,普通の裁判に移行することになります。 NHKがどれだけの件数についてこれを利用するのかは分かりませんが,場合によっては沢山の訴訟をかかえることになりかねません。 また,訴訟に移行すると,残り半分の収入印紙や切手も納めないといけないし,裁判に出頭する手間や費用がかかります。控訴されればさらに費用がかかるでしょう。 また,最終的に勝訴判決を得たとしても,相手が任意に払わなければ,強制執行の手続きがあるにはあるのですが,訴訟とは別の手続ですので,さらに費用がかかります。 このような結果になった場合,請求額が数万円であるなら,確実に費用倒れになってしまうでしょう。 また,費用負担を相手方に命じる判決を勝ち取ったとしても,費用部分の確定にはまた「確定処分」という手続が必要になりますので,これにも費用がかかります。 この処分に対する不服申立があればさらに・・・ これらを考慮した上で,どれだけの額を不払いにしている相手に対して,何件の申立をすべきか,判断するのでしょうが,かなり難しい判断になるでしょう。 莫大な額の費用倒れを出してしまったら,納付者からのさらなる批判も免れないでしょう。 かといって,放置すれば不公平感が日に日に増幅し,不払い者が増えることになりかねないでしょうから,何らかの手は打たなければならないのは火を見るより明らかです。 法務担当者として同情を禁じ得ません。 話は変わりますが,私は例の騒動のときに,この問題をシリーズで取り上げていた某週刊誌をよく読んでいたのですが,NHKの方がこの雑誌の記者に対してかなり横柄な口のききかたをし続けていましたね。 雑誌記者だと思って見下していたのでしょう。 この雑誌は,総合週刊誌の売り上げで1,2を争う雑誌です。 その記者の背後には多くの読者がいたことでしょう。 危機管理部門との提携業務もある法務担当者として,反面教師とさせて頂きます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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