テーマ:囲碁全般(745)
カテゴリ:囲碁~碁界一般編
本因坊戦第一局は、黒番・高尾紳路本因坊の半目勝ち。
高尾紳路がタイトルを持っている間世界戦で全く勝てず、依田は農心杯の奇跡をはじめまあまあ戦えているので世界戦マニアとしては依田応援という人が多いですかね。 棋譜はここからどうぞ。 二間高バサミに対し二間に飛ぶのは常道。この場合白も二間に飛ぶとか、一間に飛んで断点を狙ったり、5の5の位置につけて切断含みで打つのかはいろいろだが、白が選択したのは辺の大ゲイマ。これもある手です。石田芳夫だったかは邪道とは言わないが権道と言ってましたが。 9手目のつけは策のある手段。誰が打ち始めたのかよく憶えていない(秀行先生だったか?)が、後ろ側を決めてかかった石は捨て気味に打つ作戦ということである。ちなみに、9手目で4-7につけた実戦例もあった(CSK杯の依田-董彦戦とか)が、これは手を抜いて上辺に手を戻すと、黒がはねても白が厚いといわれる。外側からのつけならそうもいえないだろうというわけだ。 16までの分かれは気合というものか。17は二子について既に捨ててさばくという方針を明らかにした手。白も薄く、25まではこんなものか。 26で左下にかかったのは足は早そうだが足早党の私でも、この場合は足が遅くとも左上に手を入れるけどなあ。手を抜くと左上の黒に微妙にキキが生じるし、大きそうに見える。すぐさま切られて後手をひくのはちょっと白辛そう。ヨリツキが発生しそうだし。 白としては左辺の黒4子を攻める対象にしたいわけだが、37,39とつけ伸びられて攻めに多くが望めなくなり、勢いで40から46と下辺を噛みとって左辺を黒の処置に任せ、左下の脅しとの関係で左辺を生還させた。 だが、89までと下辺を塗りつけたのはやや甘い気がするもののこの時点で白大変な印象。左上にはまだ微妙にヨリツキが狙える意味もあるし、白どうするんだろうと思っていたら、なんと94のキリ。単騎突入にしてもかなり大胆な手に属するのではないか? 黒は当然のように攻めかかったのだが、どうもここで白の作戦に引っかかった気配。104のキリはなかなかうまい手。本当は一路右にかかえたい所なのだが、11-13と切って伸びだしにまくるという手があり崩壊してしまうのだ。106の押しに107は多分当然。ここを受けて中央を備えられると左辺の黒が怪しくなってくる。しかし4子を捨て右上に回ってはとにもかくにも白立ち回ったが、周辺の白も安普請で優位を簡単に奪える形ではない。 右上のカカリに115の手は微妙。右辺狙いつつ受けたということなんだろうけど、主義主張がはっきりしない、微妙な手である。116と上辺模様狙い。出切って反発してくるのを予想していたが、おとなしく受けたのは形勢に自信ありということなのだろうか?128までとなって上辺は手広い大模様。黒が入って生きるのは高尾なら訳ないとしても、それだけで勝てる形勢では既になくなった感じ。 129,131のコンビで黒は侵入。 138のツギが現ナマで巨大。切りは右辺のトビコミが残っていても実利としても大きいし、中央を突破する手が生じるので上辺のいじめを放置してもということだろう。黒としては上辺で白を切断していじめながらヨセ勝負に入りたいところだが、149のカケツギに150ノゾキ、152ツケと機敏に打ちまわし、一気に白地が増えた。黒としては下手に反撃すると先手を奪われて右上のノビコミに回られてしまうので抵抗できない。 しかしこれで形勢を見ると白が厚いとは思うもののかなり微細で難しい。2ちゃんねるでは白優勢とはいわれていたがその差は僅かであるというのが通説だった。ということはやっぱり黒が優勢だった? 160手目、私なら先に17-11に打ったけど。160は左下が生きている事もあり、あんまり大きい感じがしない。163の押さえがでかく、さらに右上をかみ取ると形勢はむしろ黒逆転?と思ったけど白僅かながら優勢がまだ通説だったはずだった。武宮陽光とかも普通に白優勢とか言ってたし。 ところが、ここで高尾が厚ーい上に下辺にコウ材が多い碁形を生かして右上をハネ一でヨセるという大技を披露。 黒のコウ材が多すぎて見事にがんばりきられてしまい、ぴったり黒の半目勝ち。あぜん。 高尾はこと挑戦手合では半目勝ちすることが多いかな。依田は最近半目勝ちが増えている感じであったが、高尾の半目勝ちの多さにはかなわなかったようだ。 しかし、この碁に関して言えば依田の布石にうまさが感じられなかったのも事実。勝負型にしたのは確かにすごかったが、左上の形は正直納得が行かない。 ましかし、依田は黒番のほうが強いとも言われているし、2局目以降にとりあえず期待するとしよう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年05月11日 20時19分40秒
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