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碁法の谷の庵にて

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2007年06月20日
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 ちなみに今日はあの差戻判決からちょうど1年目ですね。

 この記事は、本当は第2回公判が始まってから別記事とまとめて公開する予定だったものですが、私の知っている弁護士のブログが炎上するという事態を見かねたので今日一部分を切り離し、別部分を加えた形で公開します。

 なお、公判が始まったら私の知る8つの弁護士ブログ(炎上したブログもその一つ)での安田好弘弁護士らの弁護やそのバッシングに対する反応を記事にする予定です。このうち2つは検察官出身の人たちのブログですし、「俗にいう」人権派系の人もいますし、バラエティにはそこそこ富んでいると思います。
 もちろん、全弁護士ブログを見ているわけではありませんし、コメント欄などを全て押さえているわけでもありませんけどね。

 また、関西の「たかじんのそこまで言って委員会」の該当部分を見ることに成功。なんというか、仮にも知識人といわれている人たちが、あんな事をよく臆面もなく語れるな、と。弁護団の言い分はあの記者会見の文章以外は、東京新聞特報も年報死刑廃止も全く見ていないのがバレバレのことばかり言っていて、はっきりいって、「言ってはならん」といってやりたいところです。去年はまだ紀藤正樹弁護士が押さえをやっていたらしい(それさえ茶髪弁護士や他のパネラーがつるし上げたという)が、今年はそれもなく言いたい放題になったようです。放送法はメディアの政治的中立性を要求してましたけどねえ。
 他にも、弁護団の主張を「すばらしき主張」とか言ってまるまる写す人。主張が被害者を傷つけるとかバッシングしている人たちがどうして多数の目に触れるところで主張をわざわざ開陳するわけですかね?相手を批判するためにどうしても必要ならつまらない皮肉は慎むべきでしょうに。これだけでもお里が知れるというものです。



 さて、弁護士が508人で懲戒請求に抗議するという手に打って出たみたいです。
 でも、文面が十分に伝わってきませんが「懲戒請求自体いけない」といっているならちょっと勇み足では?どこぞの茶髪弁護士の見解が弁護士として当然の見解だというような一人歩きを防止するにはいいと思うけど、焼け石に水どころか火に油を注ぎかねないのでは・・・という気もしますが。
 もう懲戒請求が出てしまっている現在、主張が不当なら日弁連や弁護士会が迅速に判断して(だらだらしていると国民も醒めたり忘れたりしてしまい判断に全く感銘力がなくなってしまうかもしれないので、この件は早期に判断すべきだと思う)ピシャリとはねて、ついでに会長声明とか談話とか、場合によっては要望やら勧告でも出せばよいような。

 ただ一つだけ可能性を述べるなら、裁判員制度を前に放ってはおけないという発想があったのかもしれませんね。
 確かに裁判員が弁護・検察の役割や立場を理解しないとなれば、裁判員裁判は憲法さえ打ち壊すような、恐怖の暗黒法廷になりかねないし、裁判員教育をするといったって、長い時間は取りようがないでしょう。
 裁判官がその辺を何とかしようとする(裁判官と裁判員が決裂したり、思想信条で選別したり)のでは、裁判員制度の自殺になる可能性も低くはありません。ちなみに3年前、ゼミで裁判員制度を論題にしてゼミ見学者に見せたとき、「私は無実だというとき裁判官と裁判員どっちに裁いて欲しいか」と見学者の学部生に問うた所大多数は裁判官と答えました。



 さて、私は、以前懲戒請求が不法行為になる判例(判決文はこれ)を掲げましたけど、あくまで熟考を求める趣旨、無責任にしていい物ではない事を伝える趣旨のもので、熟考・調査した上でなお請求するのを否定はしません。弁護団のやり方がよくないものであるというのも、可能性として否定できないため、懲戒請求自体を一切いけないとはいうことは私には不可能です。(ちなみに、本件懲戒請求を離れて言えば、最高裁も懲戒請求者に厳しい事をいうなあという感想を抱いた実務家もいるようです)
 もちろん、今のところ私の手元の諸々の資料では、懲戒に該当する事由は見当たらないと思っていますが。

 ただ、個人的に言わせてもらえば、この件に関する懲戒請求サイト(リンクを引く気は起こらないので各人で検索してください)の用意した文面ははっきり言ってどうかと思います。
 死者の尊厳を傷つけた・理解できないというような抽象的で法律の根拠を欠く独自の見解や、裁判遅延狙いというような推測を「非行」という抽象的な言葉に当てはめるような懲戒請求は、かえって自分の請求に法律的な根拠がないと自白するにも等しい事。弁護が「法律的におかしい」というのを具体的にはっきりさせるように書くべきでしょう。
 懲戒請求者としては、基本的にその懲戒請求書がからぶったら後は相手の言い分に反発できるとは限りません。一応懲戒委員会の審査に際して補足で資料や説明をする機会が与えられる可能性があるようです(本村氏も出てました)が、確実ではありません。また、丸写し懲戒請求では、せっかく機会が与えられても資料や説明をちゃんと出せる人はいないんじゃないですか?
 そして、仮にそれができないというのならば、懲戒請求は止めた方がよいでしょう。

 法律的に正しい管轄に訴えたことに対する依頼人の感情的不満に対して、「品位を損ねる非行だ」と主張して弁護士が懲戒請求したら、法律の素人の依頼人(事業活動はやっていたようですが)も含め不法行為になったのが、この記事で紹介した判例です。根拠は欠くけど感情的な不満を抱いたのは事実だろうから請求を認めないといった高裁の判決は是認できないものとしているわけです。
 確かにこの事件は特殊かもしれませんが、一般論の部分は他の事件に使われる可能性が高い(ご丁寧に最高裁自身が線まで引いている)ですし、また法律に詳しい、懲戒請求した弁護士に限定されず、素人の依頼人も含めて不法行為になっていますから、私は法律なんか知らない、というような言い分は、考慮材料にくらいはなるかもしれませんが決定的なものにならないと考えられます。しかも、弁護士が依頼人に教えた可能性が高いですから、それでも簡単な調査を怠った依頼人は免責されないという考え方もあるかも分かりません。(これは想像ですが)
 弁護人依頼権があることは中学高校までで習う事ですし、被告人に不利益な弁護を行ってはならずむしろその利益のために最善の活動が求められるというのは刑事訴訟法や法曹倫理の教科書に普通に書いてあります。裁判例・実務その他が採用していない独自の見解を主張したところで、それを盾に自分は正当な根拠があると思ったという言い分が通用する保証はできません。

 正直、感情的に納得できないという理由や推測だけを並べ立てて「非行」を主張するようでは、不法行為にならない保証はできかねます。

 なお、勝手な憶測を書き連ねたりすると、最悪の場合虚偽告訴罪になる可能性があります。弁護士会の懲戒請求も虚偽告訴になりえますし、もしかしたら違うかも・・・くらいの認識でも虚偽告訴罪は成立するという判例もあります。(学説の批判は有力ですが)


 そもそも、具体的に法律的根拠が全く上がらない、感情的不満や一方的推測を並べ立てただけの懲戒請求は不法行為だなんだ以前に説得力からしてゼロです。懲戒請求にとって何の役にも立たない自己満足に堕するでしょう。
 それどころか、せっかくまともな懲戒請求があっても、それを覆い隠してしまうおそれだってあるのです。きちんとした懲戒請求1通の方が、いい加減な懲戒請求50通より効果があるでしょう。1通でも50通でも弁護士会は調査するのですから。



 きちんと本腰をすえて理屈を作り、懲戒請求をしようという人たちはこんなことは当然やった上で理由ありと考えて懲戒請求しているか、あるいは理由がないと考えて懲戒請求を諦めているはずでしょうから、不法行為だの虚偽告訴罪だのに脅える事もないでしょう。   

 そして、もし今後懲戒請求をなさるなら、ただ抽象的な推測・感情的不満を並べ立てるだけでなくきちんと彼らの弁護活動が「法律的」にどこがいけなかったのか説得的に論証する事を目指す事をおススメします。そのためには、法曹倫理や刑事訴訟法の知識も多少は必要になってくるかと思います。もしそれもする気がないなら、懲戒請求などしないことです。責任を問われたり、本当に大切な懲戒請求が埋もれるかもしれませんよ。





 
※※※※※※※※追記※※※※※※※※


 ネット上で弁護団の508人アピールに対する非難が高まっていますね。はっきり言えば私も勇み足の臭いを感じていますし、賢い手法ではないと思います。
 懲戒請求を弁護士会か日弁連がはねて、会長声明や談話が出るかもしれませんからそれに乗る形で、あるいは独自に主張していけばよいかと思います。

 ただし、「被告の弁護を受ける権利を否定する言動だ」というのは大多数においてその通りであるように思います。
 彼らは口をそろえて「弁護人がつくことを否定してはいない、論点ずらしだ」と言っていますが、では被告人があれに近いことを主張してきた場合、あるいは証拠上あれが疑われる場合にどう弁護すればいいのかという点について全く示していません。
 どう弁護するのか、「使い物になる」代案を示せている人がいないのです。多くの弁護士があまり強力に批判に踏み切れないのも、あれが有効な可能性もあることやほかに方法がないのでは…という視点も少なくありません。
 形だけ弁護人をつければいいというのでは何のための弁護制度か分かりません。もし仮に弁護団が「被告人は死刑相当」なんていったら不法行為成立&懲戒処分でしょう。 そんなことをすれば裁判所があの弁護団とは別の国選弁護人をつけると予想されます。準備のためにあと何ヶ月遅れるか分かったものではありません。本件の上告審での弁護人変更は私的都合によるものだし一応前任弁護人が活動していたから伸ばさないということも可能だったかもしれませんが、別の国選弁護人選任でそれをやることは不可能でしょう。

 彼らは自分の頭では弁護手法を批判しているつもりなんでしょうが、実は弁護そのものを封殺してしまっているのに気づいていないのではないでしょうか。


 
※※※※※※※※第2次追記※※※※※※※※


 例の懲戒請求サイトが消えました。弁護団から損害賠償請求がくるのを慮ったという説がまことしやかに囁かれています。
 懲戒請求が国民一般に認められているのは、「懲戒すべき人を発見するための手段」であって、「権利」とは性質が違います。だからこそ、通常の民事訴訟より懲戒請求は不法行為成立の余地が広いのです。
 一部の弁護士からも、今後弁護が不当とされる事情(捏造的誘導等)が発覚して懲戒処分が下されるようでないと、本当に不法行為になりかねないという説が出ています。
 
 懲戒請求は一度出したら取下げられません。
 責任ある請求をしたいなら、数日後の公判くらい待ってみてはどうでしょうか。
 
 なお、懲戒請求と不法行為の成否の詳しい検討としてこちら





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最終更新日  2007年06月23日 13時01分09秒
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