カテゴリ:事件・裁判から法制度を考える
同人や古物などのショップとして有名な「まんだらけ」が、
万引き被害に遭ったことを公開し、名乗り出なければ顔を出すぞ!!とやったとのこと。 これについて、人権上の批判とそれに対する反論が渦巻いていますし、そこにも思う所があるのですが、私は、ここであえて犯人の人権の点以外からまんだらけの手法に対し批判をしてみたいと思います。 私がまんだらけの顧問弁護士だったら、例え顔を公開しても適法であるという判例が出ていたとしても、多分まんだらけが今回取った手法を勧めないだろうと思うのです。 大体この手の万引き犯と言うのは、また店にノコノコとやってくることが多いと考えられます。 まんだらけの場合、今回は東京だったようですが各県に一つとか二つしかないことが多い(私のいる県は一つしかない)上、マニア心くすぐる商品が多く、一般の店では代替が効きづらいという性質があります。私も、この手の商品ってまんだらけでも行かないとないよなーと思いながらまんだらけを探したことは何度かあります。 加えて、本件でもマニアックな商品が盗まれたということなので、なおのこと犯人が万引き目的か否かを問わず再度やってくる可能性は高いと言えるでしょう。 だとすれば、店の方で犯人の顔を店員に周知させ、またやってきたらそこを捕まえる、というのが非常に有効な作戦だったと考えられます。 警察に通報するのはもちろんですが、それと併用して使える、と言う意味でも非常に有効と言えるでしょう。 例えまた来た時に万引きをしていなくとも、盗むシーンの画像が既にある、と言うことなので、人違いでなければ動画とセットで逮捕令状くらいは取れるでしょう。 それで家宅捜索をかけて、家から盗まれた品が出てきたりすれば簡単に有罪立証・処罰できます。 ところが、大々的に「被害を把握した!!名乗り出ろ!!」とやってしまったら、犯人がよほどのマヌケか、犯人がたまたまその情報に接していないか、良心的な(?)犯人であったということでない限り、犯人が再度来るはずはありません。 結果として、犯人が捕まる重要な可能性の一つを、まんだらけは自ら潰してしまった可能性が高いということになるのです。 ある程度それをやって待ってみてうまく行かないから、と言うのならいざ知らず、被害に遭って翌日にこれを公開したということが、ますます持ってその失策の度合いを高めていると言えるでしょう。 また、万に一つよく似た顔の人が通報され冤罪に巻き込まれるなどと言うことになれば(実際ありがち)、まんだらけサイドの道義的責任も問われかねません。 脅して「出てこいや!!」とやるよりも、罠を張って待ち構える方が、捜査の手法として断然有効である。 人権問題云々も軽視できるものだとは思いませんが、この点を無視したままに対応するのは、せっかく犯人を捕まえる機会を自ら逃してしまうということを考えるべきでしょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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