2012/2/19付日経社説から
重要な政策課題をめぐる与野党の話し合いが進まない。社会保障と税の一体改革で自民、公明両党が協議に応じず、政府・与党は消費増税関連法案を単独で国会に提出する公算が大きくなっている。衆参両院の選挙制度改革などでも不毛な対立が目立つ。
政府は17日に一体改革の大綱を閣議決定した。消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げる方針を明記。消費税を財源とする「最低保障年金」の創設なども盛り込んだ。
政府・与党は1月6日に一体改革の素案を決定し、これを基に与野党協議をして結果を大綱に反映させる方針だった。しかし自公両党は年金制度の将来像の曖昧さなどを指摘し、「国会外での裏取引には応じない」と主張した。
社会保障など安定性が重要になる制度は、与野党が合意した大枠に沿って設計が決まることが本来は望ましい。国会審議を通じた法案修正は確かに透明性が高いものの、議論の自由度は狭くなり、合意のハードルも高い。
自公両党は国民に痛みを強いる改革で共同責任を負うことに及び腰だ。選挙戦略を最優先する姿勢が見え隠れする。
衆参両院の選挙制度改革をめぐる協議も停滞感が強い。もともとは10年の大規模な国勢調査を受けて、衆院小選挙区の区割りを見直す決まりだった。昨年3月には最高裁が09年の衆院選の格差について「違憲状態にあった」とする判決を下した。
与野党は今月25日に迫っている衆院選挙区画定審議会の勧告期限を取りあえず延期する方向で調整している。違憲、違法に近い現状を少しでも早く是正するという意識の希薄さに驚かされる。
争点である議員定数の大幅削減や現行の選挙制度の抜本改革も重要な論点には違いない。だが党利党略はひとまず横におき、民主、自民両党が格差是正に向けて一致した小選挙区の「0増5減」などの実現を急ぐべきだ。
長引いていた国家公務員の給与削減をめぐる協議は、民自公3党が17日に合意にこぎ着けた。11年度の人事院勧告を完全実施し、この削減分を含め12~13年度は平均7.8%引き下げる内容だ。
給与削減の地方公務員への波及や労働基本権の付与問題など火種はなお多い。それでも今回の合意を他の政策に生かし、真剣に接点を見いだす努力をしてほしい。