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いなかの猫の天邪鬼部屋

第24話

OnAir~シーズン2・第24話~

#火曜日、<記憶>撮影場

ギョンミン : オソク!

オソク : はい、監督。

ギョンミン : (シナリオをむしり取るように手に取る) ユン作家に電話してくれ。(シナリオを注意深く見る)

オソク : はい。(電話する).... もしもし?ユン作家、少々お待ちください。監督、どうぞ。

ギョンミン : (手を出して電話を受け取る) もしもし?ええ、お聞きする事があるんです。6話のシナリオをちょっと確認してください。.... はい.. 5番シーンです。....はい...そこのキョンジュの台詞はどういう意味ですか?分かっていて問うのか、分からなくて問うのか。 ....はい....後の部分の内容を把握出来ればいいんですが...

セア : (電話の向こうの声) 監督、それでは私が現場へ行きます。そこはどこですか?


#<ブロードキャスティング>撮影現場

放送局内場面撮影中。チェリーとソン・ユンファが衝突する場面。

ノ監督 : NG!あー、まったくもう....。もう一人は台詞がスラスラ出て来るのに、どうしてそこでつまずくんだ?

チェリー : 申し訳ありません。もう一度やります。

ソン・ユンファ : (チェリーの背中をトントン叩いて) 緊張しないで。私の台詞が早いからテンポを合わせにくいのよね。でもあなたは自分のペースを逃しちゃダメ。(チェリーを見て笑ってやる)

チェリー : はい...ありがとうございます、先輩。

ノ監督 : その前の台詞からまた行くよ。(カメラを見て) バストショットで行く...

(ヨンウン、スタジオの中に入って来る。立って俳優たちの演技を見守る。撮影が進行して...)

助監督 : 午前中はここまでです。お昼を召し上がってまた集まってください。1時30分までです。

(チェリー、セットから下り、カメラの後ろのヨンウンを発見。)

チェリー : あ、ソ先生~

ヨンウン : (情けないというように笑う) うん...

チェリー : (はにかむ)見ましたか?私の演技...

ヨンウン : その調子で無事でいられるかしら?スンアが来たんだけど、あなたの演技を見たら今すぐやめろと言うかもね。

チェリー : (驚いて) スンア先輩がここ来たんですか?(きょろきょろ見回す)

ヨンウン : いえ、国内に帰って来たという事よ。韓国にね。

チェリー : あーあ。私、またアガっちゃった。(舌を出す)

ヨンウン : 上手くやってちょうだい。今更変える事も出来ないんだから。

チェリー : (寂しそうに) 変えるだなんて~

"作家様、こんにちは。"

ヨンウン : (頭を回して見る) ああ、ユンファさん。大変ですね、台詞がとても多くて..

ユンファ : (明るく笑う) いいえ、大変だなんて...。面白いです。久しぶりにストレスが解消されるような気持ちです。

ヨンウン : (申し訳ない笑い) ユンファさんは性格がいいから、私は安心です。(チェリをー見て) 若い後輩に教える事もあるから、大変でしょう?

ユンファ : 彼女は上手じゃないですか。

ノ監督 : (近付いて) ソ作家、いらしてたんですか?

ヨンウン : (ノ監督を見る) ええ。今まであまりお伺いしていませんでしたから。申し訳ありません。

ノ監督 : (ほろ苦そうに、独り言で) ..ま、こちらが何も言わなくてもよくお分かりでしょうから..

ヨンウン : え?何ですって?

ノ監督 : いいえ~、何でもないですよ~。


#<記憶>撮影場

(昼休み、弁当を食べるギョンミンとセア、対座している。)

ギョンミン : それが...分かっている状況なのかそうでないかによって画面の感じが違って出るんですよ。うまく伝達出来ず蓋然性がない、ちぐはぐな場面になる事もあり得ると思うんです。

セア : でも..まだそこまでは考えていなかったんですが...。分かっているかもしれないし、分かっていないかもしれないし...

ギョンミン : (セアを見て) ...今、何話まで書かれたんですか?

セア : 10話です。

ギョンミン : (考える).... ドラマが始まる前までに脱稿は可能ですか?

セア : ドラマが始まる前ですか?そうですね...そうしなければなりませんか?

ギョンミン : 出来るなら...そうした方がいいと思います。こういう話は特に危険要素が多いんです。

セア : 危険要素ですか?

ギョンミン : 結末がアンドロメダになるという事です。放送中にはありとあらゆる圧力が全て入って来ます。一番恐ろしいのは視聴者掲示板です。愛情や関心という名前でドラマの制作意図まで変える事が出来る、大変な力を持っています。化け物みたいなものですよ。

セア : (怪しそうに) 視聴者掲示板....視聴者と呼吸するという意味では良いものなのでは?

ギョンミン : 悪くはありません。でも、ドラマの中心が搖れたら、それは困るじゃないですか。元から主題がなけりゃ構わないけど...ドラマも話中心の文学範疇に及んだら、主題はありますよ。そうじゃないですか?

セア : (目を下に向ける)私たちのドラマ...主題はありますよね。

ギョンミン : 大きな主題では困ります。小さなエピソードの連結が大きな主題に進み得るんです。御存知だとは思いますが。あなたの専門分野じゃないですか。

セア : はい...。ですが、ドラマの流れを視聴者の好き嫌いを考慮して作る事が、どうして悪いのかが分かりません。

ギョンミン : (セアを見る) 初めから自分の路線を確かにしなければ全て奪われるのがこの作業です。俺が知っている作家の中には、そんな部類が多いです。とにかく始めてみよう...そうすると、周りからアイディアという名の麻薬を得て、その度ごとにシナリオ作業をします。一、二回は見ていられるけど、繰り返されれば...一体ドラマなのか遊びなのか分からないゴミになってしまいます。 俺たちが今作っているこのドラマは、下手するとどっちつかずな結末になり得るんです。放映に入って行くと撮影スケジュールはもっと忙しくなるわけで...そうなるとシナリオを検討する時間を作るのは難しいんです。だから放映前に脱稿した方がいいんです。12月中旬までにシナリオを書き終えられればいいんですけど。

セア : ....

ギョンミン : (セアを見る) 難しいですか?

セア : (弱気になるが) やってみます...

ギョンミン : (申し訳ない) ....少し急き立てたでしょうか?申し訳ありません。戸惑われているようですね。

セア : (にっこりと笑う) ...私は何を勉強して来たのかと思います...

ギョンミン : え?

セア : 最近、監督に学ぶ事が多いです。最初の作品だから当然学んで行きながら作るのだけど...こんなにも底が浅いとは思いませんでした。

ギョンミン : ...俺の言い方が度が過ぎていたら謝りますよ。ユン作家は底が浅くはないです。

セア : (ほろ苦い笑い) ...慰労の言葉もけち臭いんですね...

ギョンミン : ...(困り果てる)...

セア : (ギョンミンを見る) ...監督はとんでない偏愛主義者です..(視線回す)

ギョンミン : え....?

セア : (寂しい笑い)...誰かにはとても良い人だけど、誰かには ....

ギョンミン : .......!!

セア : (立ち上がって) 帰ります。帰って作業します。

ギョンミン : はい...お疲れ様です。


#ヨンウンの家、午後

(オキシム、居間に座って洗濯物を畳んでいる。チュニ、玄関に入って来る。)

オキシム : お帰りなさい。疲れたでしょ?

チュニ : 大丈夫。いつもしている事だもの。

オキシム : (チュニの言いぐさに笑う) ....


#撮影場、夕方頃

(撮影の装備を集めるスタッフ。ギョンミン、電話する。)

ギョンミン : 俺。何してた?

ヨンウン : 今日は午前中撮影場をちょっと覗いて、お昼を食べて帰って来て、それからずっと作業していたわ。そっちはもう終わった?

ギョンミン : (疲れて)ああ...

ヨンウン : 疲れてるの?声がくたびれてるけど...

ギョンミン : うん....疲れた...

ヨンウン : じゃあ今日は帰って休んで。寂しいけど...

ギョンミン : ....

ヨンウン : どうしたの?

ギョンミン : そっちへ行って休んだらダメか?

ヨンウン : (内心嬉しい) ここ....?そうすると....

ギョンミン : 1時間掛かるけど。

ヨンウン : 分かったわ。運転気を付けてね。

ギョンミン : ああ...


#ヨンウンの仕事部屋

(食卓に座った二人。)

ヨンウン : (ギョンミンの顔を見て) 今日は随分大変だったようね。 本当にくたびれて見えるわ。

ギョンミン : (にっこりと笑い、片手で頬杖をついてヨンウンを見る) 魔法が全部解けちゃったみたいだよ。

ヨンウン : ??...(にっこりと笑う) 食事でもしてちょうだい。ね?

(ギョンミン、笑って箸を持つ。)

(ソファ-に座ったヨンウン。ヨンウンの膝を枕にして横になったギョンミン。)

ヨンウン : 今日、何かあったの?

ギョンミン : (ヨンウンの目を見る) ...どうして?

ヨンウン : 顔に書いてあるわ。'頭・が・痛・い'...ってね。

ギョンミン : (にっこりと笑う) どうして俺が望む内助はしてくれないのに、無駄な気付きだけは早いんだ?

ヨンウン : どういう意味?

ギョンミン : ...

ヨンウン : ....無駄な気付きって....?

ギョンミン : 俺の事を偏愛主義者だと言う人がいて...

ヨンウン : え?誰が?

ギョンミン : ユン作家が...

ヨンウン : !!!!!.....

ギョンミン : (固まったヨンウンの顔を見て、むっくり起きて座る。ヨンウンの顔を見ていたずらっぽく笑う)君が言うには、俺には魅力があるんだろ?

ヨンウン : (深刻な顔。ギョンミンを窺う)......

ギョンミン : (ヨンウンを見て、笑うのをやめて)....そう怖い顔をするなよ。君が心配するかと思ったから、言わないでおこうかとも思ったんだけど...

ヨンウン : だったら言わなけりゃいいのに。

ギョンミン : ...... 今日俺がどうしてこんなにくたびれたのか、分かるか?

ヨンウン : ...どうして?

ギョンミン : この話を君にするべきかやめるべきか、悩んでいたんだ。

ヨンウン : ......

ギョングミン : それでなくても心配性な俺の女に、無駄な心配を一つ増やすのかと思って、黙っていようと思ったんだけど...でも...

ヨンウン : でも?

ギョンミン : 君にはどんな隠し事もしたくなかったんだ。それに....

ヨンウン : それに?

ギョンミン : 君が一番嫌がるユン作家の事だから。(にっこりと笑う) 俺も洗脳されたみたいだよ。君がえらくユン作家を警戒するから、どうって事ない言葉も、えらく恐ろしく聞こえるんだ。

ヨンウン : (ギョンミンを見て何も言わない)...

ギョンミン : (ヨンウンの反応が憂わしい)....

ヨンウン : 誰を偏愛してるの?

ギョンミン : え?.....それは...

ヨンウン : 彼女は、ただ偏愛主義者と言っただけ?

ギョンミン : ....誰かには良い人だけど、誰かにはそうじゃない...

ヨンウン : 何?それ。

ギョンミン : ....(ヨンウンを見て) 安眠島で君と電話していたのを聞いたらしいんだ。自分にはよそよそしいのにと言っていたから...多分その話だと思う。

ヨンウン : (唖然とする) 彼女、ヘンなんじゃない?それって全部の女と親しくなれって事?イ・ギョンミンはカサノバか何かだとでも思ってるのかしら?

ギョンミン : ....

ヨンウン : 自分の女に話すのと他の女に話すのとを、同じようにして欲しいのかしら?彼女は自分の彼氏が他の女にヘラヘラしたら、それが嬉しいのかしら?あの女、ホントに...クソかミソかの区別も出来ない女なんじゃないの?

ギョンミン : (興奮したヨンウンを見守る).....

ヨンウン : (急にギョンミンを睨む) 私が冷たいとでも言ったんでしょ?指輪もしないし、自分の彼女だとは思えないって。

ギョンミン : (そろそろヨンウンの血圧が心配になる) ...やめろ..

ヨンウン : (声がますます高くなる) 何をやめるの?あなたのせいよ!男なんて信じられないわ。自分も男だって、あなた自身が言ったでしょ!、自分を信じられないと言う男を恋人にしているソ・ヨンウンが可哀相だわよ!!!!!!!!!!

ギョンミン : (言わなけりゃ良かった)....

ヨンウン : コノヤロー~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!

ギョンミン : (両手で耳を塞いで) 助けてくれー~~~~~~~~~~~~!!!






(原作出処:sonkhj1116さんのブログ



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