橘八朔の相場道をゆけ!!為替&商品&株式

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ジム・ロジャース予測

ジム・ロジャース氏に投資戦略を聞く(日経金融新聞2月6日)
~商品投資に妙味~中国の成長続き需要拡大

ジョージ・ソロス氏と共にヘッジファンド「クォンタムファンド」を作ったことで知られる投資家ジム・ロジャース氏が商品先物投資に力を入れている。1,998年8月に独自の商品先物指数「ロジャース国際商品指数」を開発し、同指数を基にした富裕層向けのファンドの運用を開始、スタート以来約105%(昨年末時点)の収益率をあげている。投資戦略について聞いた。
――今、世界で最も魅力的な投資先は?
「商品だ。理由は中国の成長がこれから本物だからだ。これからの成長過程で後退期もあるだろうが、中国が長期的に成長するのは間違いない。中国はニッケルを生産しない。昔は輸出していた原油も銅も今は十分ではない。穀物にしてもそうだ。高速道路やビルの建設など経済成長が進む上で中国の商品需要はますます高まる一方だ。」
「商品はここ数年、お金を運用するのに最高の対象だったし、これから数年間もその傾向は続くだろう。商品のなかでもコーヒー、砂糖は値上がり率がまだ高くなく、最善の投資先だ」
――中国への投資は。
「今の中国は50年前の日本、100年前の米国だ。人々は収入のかなりの部分を貯蓄や投資に回し、夜明けから日暮れまで必死で働いている。政府の出す数字は信じないが、単純にみればあと10-20年で中国は米国を国内総生産(GDP)で追い越す計算になる」
「個人的には中国の電力会社など大型株を15銘柄ほど保有している。今は(相場が)過熱気味なので一度は手放すかもしれないが、再び買う為にうるだけだ。中国の時代に備えて生後7か月の娘のために中国人の女性を住み込みで雇い、中国語を教えているし、一家で上海への移住も考えている」
――投資先としての日本はどうみるか。
「円は優れた投資先だ。日本は対ドルで円の上昇を抑えているが、いつまでも続かない。長年の経験から学んだ事だが、中央銀行とは常に反対のことをやるべきだ。年内ではないかもしれないが、円は対ドルで25%から30%上げるだろう」
「個人的には日本株を12銘柄前後買っている。松下電器産業、住友金属、昭和シェル石油、東京工業品取引所の会員の商品先物ブローカー、経口避妊薬の会社などだ。ただ長期的にみて日本は深刻な問題を抱えている。出生率は低下し人口が減る一方で移民を増やそうとしないし、政治家は将来のことなど考えていない。巨額な財政赤字をどう賄っていくのかを考えれば悲観的になる」
――米国はどうか。
「ドルは準備通貨としての地位をいずれ失い、今後10年間で主要通貨に対して30-50%価値を下げる。米国は今後5年から10年の間に最悪の経済状態を経験し、グリーンスパン米連邦準備理事会(FRB)議長の能力のなさがそのとき明白になるだろう。グリーンスパン氏はゾンビのような企業や銀行の整理をしろと日本を責めるが、米国も来年ぐらいから深刻な情勢が明らかになり始め、銀行の倒産などが起きるだろう」
「米政府は物価は落ち着いているというが、とんでもない。価格が上がっていないのはコンピュータぐらいのものだ。数年のうちに物価上昇は激しくなり金利も大幅に上がるだろう。米国にとって一番プラスなのは移民がいることだが、今後もっと移民が増える必要がある」
――日本の投資家に助言をひと言。
「自分が確実に理解できるものだけに投資することだ」




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