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pax mundiの日記 [全9件]

2006.09.12楽天プロフィール Add to Google XML

[日本発]日本の現状(2)~日本の石油備蓄量  (73)
[ 日本の政治・経済 ]  

少し間が空きましたが、日本の現状を示す数字を確認しておくシリーズの2回目です。今回は石油の備蓄について見ていきたいと思います。私たちの生活の多くは石油によって支えられています。エネルギー源としては、原子力によるものなども増えてきてはいますが、現在の日本のエネルギー消費量の46.9%、つまりほぼ半分は石油なのです。しかし、30年ほど前のオイルショックで経験したように、その石油の供給は中東地域の情勢にかかっているのです。

堺屋太一さんの『油断!』(日経ビジネス文庫 2005)は、今から30年ほど前の1975年に出版された本ですが、正に中東情勢が緊迫した中でホルムズ海峡が封鎖され、日本に石油が入って来なくなるというシミュレーション小説です。小説の中では当時の石油備蓄量が平均消費量の65.7日分となっており、もともとこのような事態に備えて調査を行なっていた主人公のチームでは、この状態が200日続けば300万人の生命と全国民財産の70%が失われるとの計算結果が明らかになります。ただ石油が止まっただけで、まず経済における影響が大きく、ドルが買われ円は急暴落、それに連動するように株価も大暴落し、為替市場も証券市場も取引停止となり、会社経営は困難に、失業者が街に溢れ、暴徒と化していく様が実にリアルに描かれています。また、工業だけでなく、農業もエネルギーを必要とする産業なのであって、農業生産も困難になり、食糧も絶対的に不足していく……。当時大蔵省にあって、あらゆる資料を手に入れて書くことができただけに、具体的数字を挙げながらの展開は説得力があり、ゾッとします。昨年出た上記文庫版のまえがきで堺屋さんは、現在は備蓄が進んでいるので、このようなことは起らないと書いていますが、しかし、日本人の精神構造そのものには、堺屋さんがこの本を書いた当時と変わっていないように思えず、万一このような事態となってしまったらと考えるととても恐ろしく感じます。

それでは、実際には、日本の備蓄は今どのくらいあるのでしょうか。日本石油連盟のサイトにいろいろと資料が出ていますので、これを見ますと、2005年12月現在で、国家備蓄が91日分(4,833万キロリットル)、民間備蓄が79日分(4,184万キロリットル)で、合計170日分(9,017万キロリットル)ということになっています。まぁ、半年分くらいはあるということですね。1978年当時で90日分位でしたから、その頃から比べると倍にはなっています。しかし、堺屋さんの『油断!』に描かれたように200日間もホルムズ海峡が封鎖されたとしたら……! それはもう、ギリギリの数字ですね。

因みに、世界の他の主要国の備蓄はどうなっているのでしょうか。同じ石油連盟のサイトにある資料を見てみますと、フランスが95日分、ドイツが90日分となっており、アメリカは10億バレルと言いますから、約1億5,900万キロリットル相当の備蓄を目標にしています。これは大体50日分位の量でしょうか。こうした国々に比べると、日本の備蓄は十分あるように思えます。しかし、同時に、日本はこうした国々と比較した場合、石油依存度がダントツに高いということ、そして、世界の石油消費量の4分の1をアメリカが消費しているということ、日本は中国に次いで第3位の石油消費国であることも考えておかなければなりません。アメリカがイラクやイランに執着し、一方、原子力エネルギーの開発を急いでいるのも、有事の際のエネルギーの危機を感じているからなのでしょう。

とりあえずは大丈夫そうですが、何れにしましても私たち日本人は、石油に代わる新たなエネルギーを開発する必要、そして、石油産油国である中東地域が平和であるような努力をしていかなければならないでしょう。繰り返しになりますが、私たちの生活は世界の平和にかかっているのですから。

それでは、今日の数字です。

●日本の石油備蓄量: 9,017万キロリットル(約170日分)





Last updated 2006.09.13 01:04:11
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2006.09.06

[日本発]日本の現状(1)~日本の債務
[ 日本の政治・経済 ]  

随分長いことこのブログも休んでしまいました。もともとこのブログは、なかなか普通には接することのない世界の情報をお伝えする目的で始めたのですが、最近は、世界でいろんな事件が起る中で、日本が危ないと感じています。何がどう危ないのか、ただ漠然とした不安を持っていても仕方がないので、まずはその日本が置かれている現状を客観的に見ておきたいと思います。現状がわからなければ次に何をしていいかもはっきりとしてこないからです。そこで、暫くは、その現状を示す数字をいろいろと拾って整理しておきたいと思います。

今日は、まず最初に、昨今話題になっている日本の債務について知っておきたいと思います。800兆円とも1,000兆円とも言われる日本の、国としての債務はどれだけになっているのか、その数字が持つ意味は何なのかを整理しておきたいのです。

まず、その800兆円とか1,000兆円と言われる根拠は何なのか、ちょっと調べてみました。いろいろと議論はあるでしょうが、結局は財務省が出しているデータを元に考えるしかないでしょう。

財務省の「国および地方の長期債務残高」によると、平成18年度末(予算ベース)の国の債務残高は605兆円程度となっており、このベースでの国と地方合わせた長期債務残高は775兆円となり、有名な「債務残高の国際比較(対GDP比)」なども、それを基に計算されているようですが、実際には、長期債務残高の欄外の注にあるように、「財政融資資金特別会計国債」、つまり、特殊法人などが発行する「財投債」が141兆円あり、更には、「政府短期証券」、つまり、短期の債務が142兆円あり、これらを全て合わせると国の債務は888兆円あることが、同じく財務省の「平成18年度末(見込)の国債・借入金残高の種類別内訳」という資料を見るとわかります。先の「国および地方の長期債務残高」の国の債務の数字を605兆から888兆に読みかえると、1,058兆円となるわけです。これを内閣府のページで公表されている今年の速報ベースのGDPである510兆円で割ると207.5%という恐ろしい数字になります。ちょっと想像してみて下さい。自分の年収の倍の借金を抱えていて、それを返さなければいけないとしたら……。わが国は今そんな状況にあるのです。あまり大き過ぎてピンと来ないかもしれませんが、この数字を日本の人口1億2,770万で割ると、国民一人あたりの負担は約830万円になりますね。自分の借金だけでも手一杯なのに、更にこれだけの国の借金を何とかしなければならないとは!

因みに、こうした数字が世界的にはどのレベルにあるかを見ておくことも必要でしょう。先の「債務残高の国際比較(対GDP比)」によると、これでは160%という計算になっていますが、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダと主要先進国と比較する中で、2位のイタリア(126.8%)を遙かに引き離してダントツ1位。財政で苦しみ、その影響が対外政策に出ていると言われるアメリカは、何と6位で63.8%なんです。アメリカって大変な国なんだなぁと思っていたら、日本はそれどころじゃない。160%とか207%とか、あり得ない数字ですね。世界2位の経済大国とか言っても、実は大変な借金経営だったんです。どおりで経済大国の実感が湧かないわけです。直接見ていないのでこれはまた聞きなのですが、世界経済フォーラムの「2005-2006年世界競争力報告("Global Competitiveness Report 2005-2006")によると、日本の総合順位は12位のようですが、政府債務部門では、117の国と地域のうち114位にランキングされているらしいです。これはひどい。とても経済大国なんて言ってられません。世界的に見てもそんなにひどい状況にある債務を国は一体どうしようと考えているのか? 増税? それにしたって、国家予算は82兆円という規模ですから、どんなに大幅な消費税や所得税の増税をしたところで追いつかないでしょう。

この時よく引き合いに出されるのが個人金融資産、つまり私たちが銀行などに預けているお金の総額です。これは、一般的には日銀が発表している資金循環統計を参照することが多いですが、その日銀の「資金循環」のページから2006年3月末の速報データをダウンロードして見てみると、約1,115兆円とあります。まさか、政府はこのお金を当てにしているのではないでしょうね。つまり預金封鎖。もしそんなことになったら日本中が大パニックになるでしょう。

何れにしても、この事態は近い将来、私たちの生活に重くのしかかってくるはずです。私たち国民ひとりひとりに、何かできることはあるのか……?

とりあえず、今日の数字をまとめておくことにしましょう。

●日本の国と地方の債務残高: 1,058兆円
●日本のGDP: 510兆円
●債務残高の対GDP比: 207.5%
●年間の国家予算: 82兆円
●個人金融資産残高: 1,115兆円

それでは、今日はこの辺で。




Last updated 2006.09.06 06:53:31
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2006.03.02

[イランより]そもそもの発端
[ 国際情勢 ]  

3月1日付の「Iran Daily」は、IAEAのモハメド・エルバラダイ事務局長が、イランの核関連施設に平和利用からの逸脱は認められず、核拡散防止条約に抵触しないと発言したことをトップで大きく取り上げています。

実は、前から不思議に思っていたのですが、一連の国連安保理への付託や経済制裁論議など、最近の急な動きのきっかけとなった今年の1月10日のイランの核開発の再開は、日本などではイラン側が国際世論を無視して勝手に行なったように報じられていましたが、当のイランでは、この再開はIAEAによって認められたものである、という認識を示していました。この報道のされ方の違いの大きさに私は戸惑ったわけですが、イランとしては、IAEAが認めているのだからいいじゃないか、というところでしょうし、一方日本やアメリカは、認めていたって、国際社会は不安を感じているのだから、そういう不安を無視するというのはいかがなものか、というスタンスなのでしょうか。

何れにしても、イランが開発を再開したのは、IAEAの立ち会いの下であるということがあまり伝えられていないようなので、この1月10日当日の国営イラン通信(IRNA)の記事を2つ翻訳・転載しておきたいと思います。


     *   *   *


IAEA、ナタンツの核施設を封印解除

【ウィーン発1月10日=IRNA】国際原子力機関(IAEA)は10日火曜日、同機関がナタンツにあるイラン核施設の封印を解除したと発表した。

IAEAの報道発表によると、ナタンツの核施設にあるパルス・タラシュとファラヤンド・テクニークという貯蔵施設の封印は明日1月11日に解除されるという。

IAEAによれば、イランは去る1月7日、ナタンツ核施設の封印を解除してもらえるよう同機関に依頼してきたという。

イランは核開発計画信頼回復のための方策として、2003年に自主的にナタンツの核施設での活動を停止した。

イランは核拡散防止条約(NPT)の付属文書に調印しており、イランの核開発計画は民間目的から逸脱しない旨の「客観的保証」を国連の機関であるIAEAに与えている。

IAEA憲章はNPTの付属文書を、加盟国の核開発計画が軍事目的に転用されないことに対する「客観的保証」であると明記している。


     *   *   *
     
     
イラン、核の研究開発を再開

【テヘラン発1月10日=IRNA】イランは10日火曜日、国際原子力機関(IAEA)との合意に基づき、核の研究開発を再開した。

これはイラン原子力エネルギー機構(IAEO)のモハメド・サイエディ国際担当次官が火曜日にテヘランで明らかにしたもので、同次官は記者団に対し次のように述べた。

「核の研究開発は、IAEA査察官の合意を得た各施設で正式に活動を再開した。

「我々は核技術の研究開発は核燃料の生産とは別物であると考えている。わが国での核燃料の生産は引き続き停止したままである。

「IAEOは核の研究開発を再開するために、賢明で論理的な方法がないかを真剣に模索してきた。今回はIAEAの前向きな対応のおかげでこれらの方法が功を奏した。」サイエディ次官はこのように述べ、核開発問題に関してイランがヨーロッパ諸国と論理的な枠組みの中で合意に達し、あらゆる懸念が払拭されることに期待を表明した。




Last updated 2006.03.02 01:40:15
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2006.02.28

[イラン発]イラン核問題の行方
[ 国際情勢 ]  

さて、イランの核問題であるが、3月7日の安保理の決議を前に、ロシアとの間で詰めの協議が行なわれたり、外相が日本を訪れたりと、急な動きになってきています。BBCなどでは昨晩、「イラン、ロシアでのウラン濃縮案に合意」と大見出しで報じられ、その影響を受けてか、今朝のNHKニュースも、イランはロシア案に基本的に合意した、と、イランが譲歩したように報じられました。が、夜のニュースでは、イランはまだ自国でのウラン濃縮を諦めていない旨が伝えられていました。そこで今日は、この問題についての、イラン側の発表を見ていきたいと思います。まずは、改革派系国営イラン通信(IRNA)が発行するインターネット英字新聞「Iran Daily」2月27日のトップ記事から。


     *   *   *


核問題、ロシアで成果が出る見込み
――新しい原発を2箇所建設の予定

【ブシェール発2月26日】イランは日曜日、核問題に関するロシアとの協議はこの後も続けて一両日モスクワで行なわれると発表、この協議において具体的な成果が出るだろうと強調した。

ゴラムレザ・アカザデ・イラン原子力エネルギー庁長官はセルゲイ・キリエンコ・ロシア連邦原子力エネルギー庁長官との会談を終えて、IRNAに対し、両国ともこの交渉が向かっている方向に満足していると語った。

「イランとロシアはこの2日間、ロシア側の提案について徹底的に議論した」とアカザデ長官。更に、イランのウランをロシア領内で濃縮するというロシアの計画は、他の様々な要素と共に検討されるだろうと付け加えた。

「両国は合弁会社を設立することについて基本的に合意した」とアカザデ長官は語ったが、同時に、この動きには、今後議論される多くの条件が必要となるだろう、とも述べた。

「議題は単に合弁企業の話ではないのです。他にも話し合わなければならない政治的問題がいくつかあるのです」同長官はこのように述べ、あくまでも具体的な成果は次の協議で明らかにされることを強調した。

また同長官は、「ロシアが国際社会で影響力のある骨折りをしている」ことに謝意を示した。

一方、ロシアのキリエンコ長官は日曜日の午後ブシェール原子力発電所を訪れた後記者団に対し、「ロシアはイランの核問題を外交的に解決するため、あらゆる努力を惜しまない」と語った。

長官はまた、イランの核問題は、国連の核問題についての番犬である国際原子力機関(IAEA)の枠内で解決されると信じている、とも述べた。

「この可能性がまだ残されているからこそ、私たちはあらゆる手段でこれを実現させなければならない」同長官はこのように述べ、ロシアがイランの核エネルギーに対する無条件の権利を認めると共に、同時に核兵器の非拡散ということが守られるという保証を国際社会が得られなければならないと考えていることも強調した。

キリエンコ長官は、今回の2日間にわたるイランの原子力長官との会談に満足していると表明。両国は、様々な分野での二国間協力についての議定書に調印したことも強調した。

この日、アカザデ長官は記者団に対し、1,000メガワットの原子力発電所を更に2ヶ所建設するための提案書が来月にもまとめられるだろうと語った。

「このプロジェクトには勿論ロシアにも参加してもらうことになるが、他の国からも入札があることを期待している」同長官はこのように述べ、建設業者選定の過程において、イランとロシアの友好的な関係が優先されることを強調した。


     *   *   *


この記事では、あくまでも具体的な結果はモスクワに先送り、ということを強調していますが、新しいプラントの計画については、ロシアとかなりの話が進んでいるのではないでしょうか。

もう一つ、モッタキ外相の来日についての記事を、今度はIRNAの同じ2月27日の記事から翻訳・転載しておきます。今晩のNHKのニュースだと、麻生外相は自国でのウラン濃縮を諦めるよう説得したものの、モッタキ外相は徹底してこれを固辞したと、この件についての話し合いは物別れに終ったようです。IRNAの記事は、実際の会談より前に書かれたものですが、イラン側の期待が溢れた内容になっていると思います。


     *   *   *


イラン外相、日本に到着

【東京発2月27日=IRNA】イランのマヌーチェフル・モッタキ外相は月曜日、日本政府の要人との会談に臨むため、3日間の予定でここ東京に到着した。

モッタキ外相は、成田国際空港で、モフセン・タライ駐日イラン大使や日本の外務官僚に迎えられた。

来日中に外相は、小泉純一郎首相や麻生太郎外相と会談を持つ予定。

外相はまた、二階俊博経済産業相やイラン日本友好議員連盟のメンバーとも会う予定。

日本の外務省によると、モッタキ外相と日本の首脳とは、今回の訪問中に、二国間の関係や、最近の地域情勢、国際情勢の幅広い議題について協議することになっている。

また同省はその声明の中で、今回の訪問がテヘランと東京の協力関係を更に発展させるものとなることを期待すると述べている。

また、同声明によれば、今回両国はイランの核問題についても協議するとのこと。

日本の外相は先週、イランのためにロシアがウラニウムの濃縮を行なうという提案を日本は支持しており、ロシアのこの提案は核問題を解決する糸口になるだろうと表明した。

同外相は、外相が「建設的だ」と表現したこのロシア案を受け容れることをイランに要求している。日本はその必要な石油のかなりの部分をイランから輸入しており、また、イランの油田の開発を契約しており、イランが核エネルギーを平和利用する権利を認めながらも、今回の核問題での行き詰まりを何とか打開したいと願っている。

日本政府は核問題を外交チャネルを通じて解決するよう強く求めてきた。

日本は現在イラン最大の貿易相手国であり、イランは日本の原油輸入国の第3位に位置している。

天然資源・エネルギー庁(ANRE)によると、2005年に日本はイランから2億1,216万バレルの原油を輸入している。

また日本は2004年2月に、世界最大の油田の一つであるイランのアザデガン油田開発の契約に調印した。

今回の訪問はモッタキ外相が2005年に就任して以来初めてのもの。

外相は1995年から1999年まで、駐日大使を務めている。


     *   *   *


尚、実際の麻生外相との会談の後の記事は、「モッタキ外相、日本の外相と会談」としてでていますが、今日はこの辺で。




Last updated 2006.02.28 02:18:30
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2006.02.25

[米国]アメリカが臨界前核実験を実施
[ 国際情勢 ]  

前回このブログを書いてから随分時間が経ってしまいました。アメリカはイランの核開発を批判し、自らは核実験を行なっていないと表明しているけれども、そのアメリカは「臨界前核実験」なるものを行なっているではないか、ということについて触れ、その臨界前核実験について詳しく述べるつもりだったのですが、この間、イランの核開発についても大きな動きがあったり、そして、何と、つい先日アメリカがその臨界前核実験を2年ぶりに行ないました。そこで今日はこの実験についてのアメリカ側の公式な発表を翻訳、転載しておこうと思います。これはネバダ核実験場(Nevada Test Site)2月23日の報道資料からです。


     *   *   *


臨界前核実験「クラカタウ」を実施

米英共同の臨界前核実験「クラカタウ(Krakatau)」が、2006年2月23日午後12:00に行なわれ、成功した。この実験はネバダ核実験場のU1a複合施設で行なわれた。イギリスの原子兵器研究所(Atomic Weapons Establishment)とロス・アラモス国立研究所によるこの実験が行なわれたのは、両国が有する核兵器の安全性と信頼性を維持するのに重要な情報を提供する科学的データを、地下核実験を行なわずに収集するためである。

「クラカタウ」はこれまでに行なわれた臨界前核実験の22番目のものに当る。前回の臨界前核実験「アーマンド(Armando)」は、2004年5月25日に実施された。また、米英共同の臨界前核実験は「ヴィトー(Vito)」と呼ばれるもので、これは2002年2月14日に行なわれた。「クラカタウ」はこの「ヴィトー」に続く実験である。

臨界前核実験は、高性能火薬によって引き起こされる力によって大きな衝撃を受けた時のプルトニウムの反応を調べるものである。臨界前核実験によって基礎的な科学データと技術情報を得ることができ、これらのデータが貯蔵核兵器の安全性と信頼性を維持するのに使われる。この実験が「臨界前」と呼ばれるのは、臨界質量が生み出されないからで、従って核分裂の連鎖反応は起こらず、これによる核爆発も起こらない。

ネバダ核実験場のU1a複合施設はラスベガスの北西約135kmの所に位置し、これらの実験を安全かつ確実な環境の下で行なうために設計されたもの。地下290mの垂直坑を拠点として掘られた、小さな実験用の小部屋を有する横長のトンネル状の地下研究施設である。


     *   *   *


因みに、「クラカタウ」というのはインドネシアにある火山島の名前ですね。アメリカの臨界前核実験には何れもニックネームがついています。ここでご参考までにアメリカの臨界前核実験の記録をニックネームと共に記しておきます。

第1回 1997年07月02日 「リバウンド(Rebound)」
第2回 1997年09月18日 「ホローグ(Holog)」
第3回 1998年03月25日 「駅馬車(Stagecoach)」
第4回 1998年09月26日 「バグパイプ(Bagpipe)」
第5回 1998年10月11日 「シマロン(Cimarron)」
第6回 1999年02月09日 「クラリネット(Clarinet)」
第7回 1999年09月27日 「オーボエ1(Oboe 1)」
第8回 1999年10月10日 「オーボエ2(Oboe 2)」
第9回 2000年02月06日 「オーボエ3(Oboe 3)」
第10回 2000年03月22日 「サラブレッド(Thoroughbred)」
第11回 2000年04月09日 「オーボエ4(Oboe 4)」
第12回 2000年08月18日 「オーボエ5(Oboe 5)」
第13回 2000年12月14日 「オーボエ6(Oboe 6)」
第14回 2001年09月26日 「オーボエ7(Oboe 7)」
第15回 2001年12月13日 「オーボエ8(Oboe 8)」
第16回 2002年02月14日 「ヴィトー(Vito)」
第17回 2002年07月07日 「オーボエ9(Oboe 9)」
第18回 2002年08月29日 「マリオ(Mario)」
第19回 2002年09月26日 「ロッコ(Rocco)」
第20回 2003年09月19日 「ピアノ(Piano)」
第21回 2004年05月25日 「アーマンド(Armando)」
第22回 2006年02月23日 「クラカタウ(Krakatau)」

「バグパイプ」や「オーボエ」、「ピアノ」といった楽器の名前がついているのは平和的なイメージを出そうとしているのでしょうか。「マリオ」とか「アーマンド」という男の人の名前も多いですが、「ヴィトー」はやはりどうしても映画『ゴッドファーザー』の主人公を思いだしてしまいます。

それでは、今日はこの辺で。





Last updated 2006.02.25 13:23:51
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2006.01.16

[米国]アメリカは核開発をしていないのか?
[ 国際情勢 ]  

イランが核開発を再開したことに対する欧米の態度や発言に、イラン側が反発しているという記事を紹介してきました。イランは自分たちが行なっているのは平和利用のための開発だ、と言っているわけですが、欧米はこれに納得していないようです。こうなると誰でも気づくのが、欧米には核兵器があるよね、欧米では核兵器の開発は行なわれていないの? ということではないでしょうか。

そう言えば、つい先日の「日経ビジネス」にも「ウォール・ストリート・ジャーナル」誌の記事が翻訳・転載されていて、アメリカに更なる核兵器開発は必要か、という議論がなされていました。この記事でふと気になったのが、アメリカは1992年以来核実験を行なっていない旨が書いてあったのですが、これは正確とは言えないでしょう。確かに、核爆発を伴う実験はやっていませんが、「臨界前核実験」なるものを行なってきており、これは更に続けられるようです。

「臨界前核実験」とは何でしょうか。「臨界」というのは英語では "critical" と言っています。そう、「危険」という意味の言葉ですね。核分裂の連鎖反応が起こる状態をこう呼ぶのですが、つまり「臨界」に達すると核爆発が起こるわけです。「臨界前核実験("subcritical test")」は、スーパーコンピュータを使って、アメリカで過去1,000回以上行なわれた核実験のデータをもとに、プルトニウムやウランなど放射性物質の臨界直前の状態をシミュレーションするものです。この実験の結果によって現在アメリカが保有している核兵器のメインテナンスや、新たな核兵器の開発ができるとされています。こうした技術を有するアメリカにとって、核爆発を伴う核実験はもはや不要であり、従ってアメリカは核実験を行なう国々に対して、地球環境を破壊し、世界の平和を脅かす行為だと、強い態度で批判することができるわけです。

アメリカは核実験をしていない――それは、核爆発を伴う実験をしていない、という意味に過ぎません。が、アメリカではこの「臨界前核実験」は核実験と見なされていないようです。実際、この実験に携わっているローレンス・リバモア国立研究所(Lawrence Livermore National Laboratory)のあるページの解説には "subcritical (i.e. non-nuclear)" という表現すらあります。"non-nuclear" は「核爆発を伴わない」という意味なのでしょうが、パッと見には「核でない」と読めますね。こういう記事を読んでいると、「臨界前実験」っていうのはいわゆる核実験じゃないよね、というのが常識になっていきます。また、核の管理をしている核安全保障局(National Nuclear Security Administration=略称NNSA)のニュースリリースなどでも、「臨界前実験」に関するものについては、"subcritical" という言葉すら使われず、"without testing(実験なしで)"という表現になっています。勿論実験はするのですが、「実験」と言えば誰もが核爆発が起こる実験を想像するからでしょう。こんなことから、アメリカは92年以降核実験を行なっていない、という先の「ウォール・ストリート・ジャーナル」誌の表現となるわけです。当然、この記事を書いた人は高い教養を持った人でしょうから、それがアメリカの常識を裏書きしているように思えます。

それなら、アメリカが「臨界前」であれ何であれ、核兵器開発を行なっているかどうか調べてみようではないか! 今はインターネットというものがありますので、すぐに調べはつきそうですが、これがなかなか大変です。反対運動のサイトなどでなく、アメリカ政府公式の発表を探してみようとすると、皆さんはどこを探されますか? ホワイトハウス? 国防省? いえ、実は、核兵器開発に携わっているのはエネルギー省(U.S. Department of Energy=略称DOE)なのです。そして、このDOE傘下にある3つの研究所、先に挙げたローレンス・リバモア国立研究所と、有名なロス・アラモス国立研究所(Los Alamos National Laboratory)、そしてサンディア国立研究所(Sandia National Laboratory)によって「臨界前実験」が行なわれています。実験が行なわれているのは「ネバダ実験場(Nevada Test Site=略称NTS)」の「U1a」という地下960フィート(292メートル)のところにある施設です。因みに、ネバダ実験場はカジノで有名なラスベガスの北約100キロ程度のところです。カジノで遊んでる人たちは、自分たちのすぐ近くでそんなことが行なわれてるなんて想像もしてないのでしょうね。

アメリカの「臨界前」核実験に関するニュースは、今挙げてきたようなサイトをあちこち見比べながら探すことになります。どうもわざと情報を分散してあるようですし、先に書きましたように、"subcritical" というような表現すら使われていなかったりもします。スーパーコンピュータ開発の記事だったり、発電施設の記事だったり、一見「核兵器」という言葉が使われてなくても、そうした記事が実はアメリカの核開発に関連していたりするのです。

今日は長くなりましたのでこの辺にしておきますが、これからそうした中から参考になりそうな記事をいくつか拾ってみることにしましょう。




Last updated 2006.01.16 01:52:22
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2006.01.15

[イランより]ドイツ「緑の党」もEUの対応に反発
[ 国際情勢 ]  

先日はイランの核問題についての、アフマディネジャド大統領の発言をとりあげましたが、同じ12日の記事に、大統領の他にラフサンジャニ元大統領とドイツの緑の党の発言が出ていましたので、これもご参考までにご紹介しておきたいと思います。

まずは、改革派系国営イラン通信(IRNA)の記事から。

     *   *   *
     
「ラフサンジャニ議長、植民地主義者たちによる禁止を突き崩すと発言」

【1月12日ラシュト発=IRNA】アクバル・ハシェミ・ラフサンジャニ・イラン公益評議会議長は12日木曜日、植民地主義者たちが押しつけた核エネルギーの平和利用の禁止を、イランは突き崩すだろうと語った。

元大統領は、記者団との短い会見の中でこのように述べ、この決定は公益評議会によってなされたと付け加えた。

「私には、西欧諸国がイランの核エネルギーの平和利用に反対している背景にあるのは、植民地主義的な発想が主な理由となっているように思える。」

「西欧諸国は、第三世界、特にイスラームの国々から核に関する技術を奪い去ろうと企んでいるのです。こうした国々がいつも西欧に比べて何歩も遅れをとり続けているようにするためです。」ラフサンジャニ議長は、平和利用を目的とした核エネルギーの開発は、何人からも奪われることのないイランの権利であることを強く強調した。

尚、現在ECの議長が北部ギーラン州の州都ラシュトを訪れており、バンダレ・アンザリーでの殉教者追悼の式典に出席し、ギーラン州の高官や学者たちと交渉を行なう予定である。

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イラン国内では、この核開発に圧力をかける欧米の態度に対して強い反発があり、IRNAが運営するオンライン英字新聞 "IRAN DAILY" でも、毎日のようにこの問題についての各界のリーダーの発言や社説が掲載されています。

更に、イラン国内だけでなく、EU内部からもやり過ぎではないかとの批判が上がっているようです。次は同じ日の保守系国営イラン放送(IRIB)の記事から。

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「緑の党、イランはNPTに違反してないと声明」

【1月12日ブリュッセル発=IRIB】欧州議会に議席を持つ「緑の党」は11日水曜日、EU(欧州連合)に対し、国連安全保障委員会に付託するとイランを脅すのをやめ、言葉の激しいやりとりでこれ以上事態を悪化させることがないよう要求した。

ドイツ「緑の党」の欧州議会議員で、欧州会議のイラン代表団委員会の委員長を務めるアンゲリカ・ベーア氏はこの日の午後、「ハビエル・ソラナEU上級代表との会合に先立ち、私たちはEU3ヶ国の外務大臣たちに、激しい言葉のやりとりで事態を悪化させるのを止めるように要求しました。」と声明した。

「交渉は失敗に終ったことを表明すると脅したり、国連安保理に付託すると脅したりすることは適切な処置ではありません。何故なら、現在に至るまで、イランがNPT(核拡散防止条約)に違反したという証拠は何ひとつ見つかっていないのですから。」と、ベーアは強調した。

「結局、こうした脅しは、EUの核拡散防止のための戦略をダメにしてしまうものなのです。」

「EUの3ヶ国とソラナ上級代表に対し、お互いが軍事路線を強化することにつながるようなものではなく、双方にとって受け容れることのできる新たな提案をすることを要求します。」声明にはこのように述べられている。

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今日のところはこの辺にしておきましょう。




Last updated 2006.01.23 16:07:34
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