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2011.01.14
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カテゴリ:環境問題
昨日の続き、なのですが、実は当ブログでは、これまで地球温暖化問題を何度も取り上げてきたため、この本に対する批判は、大半が過去の記事と同じ内容の繰り返しになってしまうことに気がつきました。

1.縄文海進について

以前から何度も書いていますが、現在は地球の歴史全体から見れば寒冷期(氷河時代)であり、氷河時代の中では、比較的温暖な時期(間氷期)にあたります。氷河時代の特に寒冷な時期(氷期)には、現在より更に大陸氷河が拡大しており、つまり海の水が陸上に氷という形で固定されていたため、現在より海水面が大幅に低くなっていました。約2万年前の最終氷期最寒冷期には、今より100m近くも海水面が低下していたのです。
約1万年前、氷期が終わると、地球は急激に温暖化し、カナダとスカンジナビアの巨大氷床が融解したことから海水の量が増え、海岸線が上昇します。7000年前頃、つまり日本の縄文時代にあたる時期には、現在よりもっと海水面が高くなり、関東平野のかなり奥地まで東京湾が拡大していたことが知られています。この状態を縄文海進と呼びます。
その後、海水面は次第に低下して(低下した高度はほんの数メートルですが)、現在の海岸線に落ち着きます。この縄文海進について、広瀬隆はこんなことを書いています。

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江守(引用者注:国立環境研究所の江守正多、地球温暖化問題の専門家の一人で、反温暖化論を強く批判している)のすり替えの代表例が、縄文海進である。彼は日経エコロミー(2009年11月27日)掲載記事に「7000年前頃にかけて海面が上昇したのは、氷期が終わって氷床が大量に融けた、つまり地球全体が温かくなったせいです」と書きながら、その当時の気温が現在より遙かに高かったという事実を認めていない。そして縄文海進後に海面が低下したのは、地球全体が寒くなって氷床が増えたからではないと、無関係の海面低下の話にすり替えて、いきなり「縄文海進の頃は地球が今よりもずっと暖かかったのですから、今の温暖化も異常ではない、というような説明に出会ったときも、是非注意していただきたいものです」と、とんでもない結論を書く。(P.44-45)
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最終氷期が終わって、温暖化により氷床が融けたから海面が上昇し、縄文海進が起こった、これは間違いなく事実です。
問題は、その後海水面が再び低下した原因は何か、ということです。広瀬隆は、どうやら気候が寒冷化して氷床が再び増加したから海面が低下したと思っているようです。
しかし、事実はそうではないのです。

確かに、縄文時代はその後の時代より気温が高かったと思われますが、「今よりずっと」暖かだったかどうかは分かりません。日本に関しては、花粉分析により、縄文時代は今よりかなり暖かだったことが分かっています。しかし、これは日本という局地的な現象であり、地球全体がそこまで暖かかったわけではないようです。グリーンランドと南極の氷床コアの分析からは、この時期の気温は現在と大差がなかったと推定されています。
そして、氷床の氷の量は、縄文海進の時期の方が現在より多かったと考えられています。つまり、最終氷期が終わって縄文海進の時期までは氷床はものすごい勢いで融けた。それ以降、融解速度はは急減速したが、融けなくなったわけではない、というわけです。

さて、氷は融けたのに海水面の低くなったとすると、その分の水はどこに消えたのでしょうか。

巨大な氷床がなくなったカナダと北欧では、地面を押さえつけていた重しが消失したため、現在地面が急激に隆起しています。
ということは、逆に、融けた氷床が流れ込んだ海は、今までより重くなったわけです。
つまり、今までより海水が重くなった分、海底はその重みで沈み込んでいるわけです。海底が沈み込めば、当然海水面も低下します。ただし、氷床は融ければ短期間のうちに海に流れ込むのに対して、地球の岩盤は固いので、海水や氷が重くなったり軽くなっても、それに応じて隆起したり沈下したりするまでには、かなりの時間差が生じます。

これが、縄文海進の時代に現在より海水面が上昇し、その後再び低下した原因なのです。
従って、消失した氷床の下や周辺の地域(ヨーロッパ中北部や北米北部)では、縄文海進の時期でも現在より海水面は高くなっていません。これらの地域は、前述のとおり氷床という重しが取れて地面が隆起している(=海水面が更に低下している)からです。

2.原子力発電の温排水

全般的に言って、地球温暖化否定論を切り離せば、それ以外の部分では広瀬隆の主張は、そんなに間違っているとは思いません。
私も、原子力発電にはきわめて懐疑的ですし、原子力発電の効率の悪さ、停止か全力運転かしかできず、出力調整ができない取り回しの不便さ、稼働率の低さ、そしてもちろん事故を起こした場合の危険性と、放射性廃棄物を半永久的に保管し続けなければならないという問題点は、まったくそのとおりだと思っています。

ただし、原子力発電に対する批判は批判として、それは正当な根拠に基づくものであるべきだ、とも思います。
広瀬隆は原発の膨大な温排水が周辺の環境を破壊していると主張しています。それは、おそらくそのとおりだと思います。ただ、彼はこのようなことを書いています。

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日本の大河である一級河川は109ある。(中略・109の川の名が羅列されている)全土の原発が捨てている熱量を合計すると、以上すべての一級河川の流量の水を3.1度上昇させる熱量になる。今日本全土で、それだけの海水温度を上昇させているのだ。これをまったく議論しない地球温暖化論とは何か、と私はすべての学者に尋ねているのである。(P.152-153)
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広瀬隆は、本書の中で繰り返し、「地球は温暖化していない」と力説しています。それが事実だとしたら、原発の温排水だって、廃熱という意味でははたいしたことはない、という結論になるわけで、上記の文章とは明らかに矛盾します。

また、別の言い方でいうと、日本中の一級河川は、確かに日本の中では大河ですが、世界の中で見れば微々たるものです。
信濃川(長さ日本一の川)の平均流量は毎秒518立方メートル、利根川(流域面積日本最大の川)の平均流量は265立方メートルです。一方、世界最大の川アマゾン川の平均流量は毎秒22万立方メートルですから、信濃川の400倍、つまり日本の一級河川すべての合計より遙かに大量です。
ところが、そのアマゾンでさえ、海の広さに比べれば取るに足りないものなのです。地球上の水の中で、淡水で液体の水(川や湖の水)はたった1%を占めるに過ぎません(その中でも日本の一級河川の占める割合は、更に何十分の一です)。大陸氷河、つまり氷が2%、残り97%は海水です。
そして、もちろん日本の原発は、すべて海岸沿いに立てられており、温排水も川ではなく海に捨てられています。それが問題ない、とは言いません。局地的には大きな環境破壊につながるでしょう。しかし、地球規模で温暖化を招くには、少なすぎる熱量といえます。

他にもいろいろあるのですが、広瀬隆の主張に対する直接的な批判は、この辺りまでにしようと思います。





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最終更新日  2011.01.15 09:26:18
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