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『犬の鼻先におなら』
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『犬の鼻先におなら』

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2009年05月02日 楽天プロフィール Add to Google XML

 紀里谷和明監督『GOEMON』を観た 最近観た映画。(186678)」
[ φ(..;)来た見た書いた ]    

チューカな美意識。無意味に重いメッセージ性で痛快さが台無し。

 痛快馬鹿映画(無論「馬鹿」はここでは誉め言葉)が観たくて、『GOEMON』を観てきました。
 当てが外れましたね(『キャシャーン』で懲りていない私)。

 
 (以下ネタバレは避けているつもりですが、白紙の状態で観たい方は読まない方が良いかもしれません)


 まず断っておきますが、この映画「時代劇」じゃないですよ。架空の国“日本”を舞台にした「アクション、ファンタジー映画」です。

 話自体は複雑なものじゃないです。天下の大泥棒、石川五右衛門が盗み出した小箱。なにやら時の権力者の秘密に関わりがあるらしく、五右衛門は刺客に狙われ、そこに彼の「お姫様」やら、「幼友達」やらが絡み・・・。
 冒険活劇映画ではよくあるパターンです。そして「よくある」から悪いというものでもないです。


 特筆すべきは、監督紀里谷和明氏の美意識
 なんとも奇妙で主張の強いハデハデ衣装や舞台です(笑っちゃうぐらい。例えば、城なんか屋根に何故かバッファローの角みたいなものがニュッと突き出ています)。
 私は“馬鹿な美意識(馬鹿と書いて「バ・ロック」と読んでね)”なんて呼んでます(^O^) 一寸気になる美意識感覚。 
 ここまで現実の日本の着物や調度品、建築物からハズレた設定ならば、いっそ小気味いい位です。
 これが、この映画最大の呼び物なんじゃないでしょうか。そして恐らく制作者が一番したかった事でもあるでしょう。

 ただこれ、日本の伝統的美意識(「侘び寂び」でなくとも、例えば「婆娑羅」ね)の流れとは無関係でしょうね。
 「“チューカ”風」という言葉が一番合うんじゃないかと思います。

 「中華料理」嫌いじゃないですよ。美味しいですよね。
 でも、延々「中華ばっかり」って油が腹にもたれませんか。

 この映画も、同じような気分にさせられました。
 映画の前1/3は、確かに独特の美意識から来る映像が物珍しく、如何にも絵空事の、そのワクワク感が楽しいのですが、中盤以降はげんなり。寧ろ、ゴテゴテと目障りな気さえしたのです。
 この辺りは各自の“胃袋”によるのかな、とも思います。でも、正直私には“アグリー”とすら感じられるカットさえありました(例えば、五右衛門の前で踊る遊女の群舞シーン。着物風コスチュームで太腿むき出しのくせに袖だけは長い。その上踊りも淫蕩腰ふりクネクネ風ダンス。あれは“チューカ”の趣味でしょうね)。

 どうも紀里谷監督は映像をゴテゴテ作り込み過ぎているんじゃないでしょうか。
 「CG」偏愛趣味

 実際、“偏愛”の謗りは免れないと思います。
 例えば、五右衛門と霧隠才蔵が野原で対決するシーン。CGで野原の草が風になびいている映像を作っているのですが、その「なびいている草」が明らかに不自然なんです。
 これCGで態々作る意味があるんでしょうか。近所の空き地で撮れば良いんじゃない(^o^)。

 その他、CGで作っている為に不自然、安っぽい映像になっているカットが幾つもあるのです(五右衛門がジャンプしつつ逃走するカットなんかも、悪い意味で重さが感じられません。ペラペラに“薄い”感じ。あれはギャグとしか思えん)。
 やっぱりCGにはまだ技術的な課題(金銭的なのかな)があるのではないでしょうか。

 「CGを使うためのカット」のではなくて「カットの為のCG」であるべきでしょうね。



 ただ、本映画最大の欠陥「無意味に“湿っぽい”、重いメッセージ性」です。
 “不潔”なメッセージ性。

 「戦争反対」だの「復讐はいけません(死刑反対運動でもあるまいに)」だのの“湿っぽさ”が、せっかくの豪華絢爛な“馬鹿馬鹿しさ”を台無しにしています(こうした“感傷趣味”倫理の問題を論じる際には、大変“不潔”なものなのです)。

 (念の為書いておきますが「メッセージの内容」が“不潔”なのではなく、「メッセージ性」が“不潔”なのです。「戦争反対」大いに結構)

 紀里谷監督が何で「この映画」でこうした事を主張したいのか意味が判りません。
 いや、と言うより、紀里谷監督は本当にこうした事に興味があるんでしょうか

 実際、この映画は“醜悪”なまでに捻れた構造になっています。

 我らが主人公は、「復讐放棄」を強く人に勧め、また愛する人が復讐などせぬように尽力します。また、「平和」の素晴らしさを説き、その為に行動します。

 が、当人自身は「大量虐殺」しちゃんだよねぇ(^O^)。
 しかも、いとも簡単にキャベツみたいにバッサバッサ、撫で斬り状態。躊躇なく大根みたいにバッコンバッコン、斬り捨て状態。
 もう完全に敵対者は人間扱いされていないの。

 そういう映像表現のカットが延々続くんですよ(ある意味CG技術の発達って怖いよね。人間を野菜みたいに扱っちゃう映像が撮れるという事は)。

 主人公の「台詞」は「戦争反対」「復讐放棄」。しかし「映像」は「大量虐殺」、人間をただの「物体扱い」
 なんて、捻れた構造なんでしょう。“醜悪”なまでに捻れてる。
 (『風の谷のナウシカ』なんかも「反戦平和」だったけど、ナウシカは下級兵士一人殺しただけで大ショックだったでしょ。また誤解のないように言っておきますが、別に「主人公が人を殺している」から駄目、と言ってないですよ。英雄豪傑の千人撫で斬り『三国無双』状態大いに結構)。


 恐らく紀里谷監督は「戦争反対」なり「復讐放棄」なりに、心の底では本当は興味がないと思います(興味があると思っているのは当人の勘違い(^O^)。
 興味があるのは、「陽気なお祭り騒ぎ」。「陽気なお祭り騒ぎ」でお客さんをハッピーにさせる事に興味があるのではないでしょうか。

 だからあり得ない程に強いヒーローの「陽気なお祭り騒ぎ」として、「並居る敵をバッタバッタと薙ぎ倒し」というカットを延々撮ったのでしょう。
 (「台詞」は意識の極表層的な部分だけ書けますが、「映像」は無意識な部分がどうしても露出しますからね)


 では何故この映画に、“不潔な”感傷的メッセージ性を帯びさせたのか。

 「スノビズム」だと思います。

 坂本龍一になりたいのです(^O^)。

 恐らくエンターテイメント業界は油断をすると“サカモト型スノッブ”菌に感染してしまうのではないでしょうか(いや、私だって気をつけなきゃ。「誰の心の中にもいる“サカモトリューイチ”」)。


 制作者に本当に心の底から訴えたい事があれば、意識せずとも(台詞や主人公の「いかにも」の行動が無くとも)、メッセージって伝わるものだと思いますよ(逆に言えば、「伝えたくない事」でも露出しちゃう事もあるんだよね)。

 紀里谷監督は料金に見合った“絵空事”の楽しみを観客に与える事に徹した方が良い方だと思います。
 次回作に期待します。


 おまけ。
 出演俳優は実は無意味に(^o^)豪華だったりする。平幹二朗氏や奥田瑛二氏とかね(寺島進氏のファンなの)。 
 ゴリ氏はもう一寸“遊んだ”方が良かったんじゃない。平凡な印象。
 広末涼子嬢は今回も泣きべそ顔あり。この人の「感極まった」の演技は必ずこれだね。

讃岐の「五右衛門」カレーうどんだよ。


最終更新日  2009年05月06日 19時35分57秒
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