赤ちゃんの寝かしつけ
先日の『合格体験記』募集ですが定員に達しましたので募集を終了いたします。ご協力ありがとうございます🙇中3クラスの授業もあと3回ゴールが見えた時こそハチマキを締め直さないとまさに『赤ちゃんの寝かしつけ』「昔のこと、思い出したんだけどね。大昔、わたしがあなたたちを産んだ後のこと。赤ちゃんを抱っこして、寝かしつけるでしょ。それがまた大変なわけ。抱っこしたまま、とんとん背中を叩いて」「へえ」「何十分もかかってようやく寝たな、と思って、布団に置くでしょ」「はい」「そうすると、ぱっと目を覚まして泣くわけ」「何で?」「分からないのよ。布団が冷たいんじゃないか、とか布団が硬いからじゃないか、とかいろいろ試すんだけど、駄目なの。ゆっくり、ばれないようにばらないようにやっても、駄目な時は駄目。目が開いて、泣き出して、で、こっちはまた三十分、寝かしつけ再開。たぶんね、あれで赤ちゃんを布団に寝かせる方法を考えた人がいたら、賞をもらえるわよ。わたしはあげたいね。そういう機械があったら十万出しても買う、って思ったもの」「あの、なんの話だっけ」「だから、これでやっと解放されると思った時こそ油断しちゃ駄目ってこと。またやり直しになるんだから。そういう格言あってもいいのにね。『赤ちゃんの寝かしつけ』とか」伊坂幸太郎『ロングレンジ』より