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2006年09月19日
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今日のまとめ

1.ブラジルは鶏肉の輸出国としてメキメキ頭角を現している
2.養鶏・養豚業に特有の経営上のリスクに注意を払うこと
3.大豆市場は大手同士の激しい競争が展開されている
4.サトウキビは代替エネルギーの切り札として注目されている
5.苛性カリはロー・コストの業者が有利

ブラジルの養鶏業

大豆とならんでブラジルが最近輸出をどんどん伸ばしている品目が鶏肉です。

世界の主要国の鶏肉輸出額(1千トン、USDA)

ブラジルの大手養鶏・養豚業者は大豆の加工工場に隣接する形で飼料工場を配置し、大豆の絞りかすを利用するなどのコスト削減に努めています。飼料コスト安が同国の養鶏・養豚業の国際競争力が強い理由のひとつです。また、鶏肉を自動的に加工、包装、冷凍する一貫工場の整備、さらに輸出市場への物流ロジスティクスを改善するなどの経営努力も市場占有率の上昇に寄与しています。

世界の鶏肉消費に占めるブラジルの輸出比率(%、USDA)

鶏肉の主な輸入国はサウジアラビアをはじめとする中東諸国、日本などのアジア諸国、欧州諸国、ロシアなどです。中でもロシアの鶏肉輸入の拡大ペースは著しく、2005年は金額ベースで実に+65%という猛烈な成長を記録しました。(これにはブロイラー関連の一部品目の輸入制限緩和という一時要因も或る程度影響しています。)このセクターの関連銘柄としてはサディア(ティッカー:SDA)とペルディゴン(ティッカー:PDA)という2つの銘柄が挙げられます。

両社とも鶏肉ならびに豚肉、さらにそれらに関連する加工食品(ハム、ソーセージ、ラザーニャ、ピザなど)を生産・販売しています。規模的にはサディアの方が若干大きいのですが、輸出比率も大体似ていますし、マーケット・シェアも拮抗しています。しかも7月にサディアがペルディゴンに買収提案を行ない、「鶏肉戦争」は最高潮に達しました。しかし、この買収提案をペルディゴンが拒否し、サディアが買収提案を取り下げたことで一応この戦いは休戦しています。

養鶏業への投資の際の注意点

過去の両社の売り上げおよび利益成長を見ると、急成長を示しています。さらにサディアの株価収益率(PER)は9.26倍(過去12ヶ月の実績ベース)、株価対売り上げ比(PSR)は0.59倍となっています。しかし、このセクターの株価収益率等が低いのにはそれなりのわけがあります。

先ず、鶏肉や豚肉には市況性があるという点を忘れてはいけません。また、大豆価格が急騰した場合、飼料コストが上がりますからマージン圧迫要因となります。また、鳥インフルエンザ、ニューカッスル病、口蹄疫などの疫病のリスクもあります。例えば口蹄疫の発生を理由にロシアと南アフリカは去年11月にブラジル産の食肉の輸入を停止しました。逆に世界の他の地域での疫病発生がプラスに働くケースもあります。例えばアジアで鳥インフルエンザが発生した際、これまでのところ鳥インフルエンザの発生が報告されていないブラジルの鶏肉への需要が急に高まりました。さらに市況高騰でブラジルの業者がその恩恵に浴しました。

市況リスク、疫病リスクに加えて、食品衛生関連の各国の法律が変わるリスク、輸入数量制限などのリスクもあります。さらにブラジル・リアルが高騰した場合、輸出品の価格競争力が損なわれますし、逆にブラジル・リアルが弱含んだ場合、米ドルとの相関性の高い大豆価格が相対的に上昇することでマージン圧迫要因になったりします。特に目先は去年までの一連の疫病のせいでブラジルの養鶏業者が得をした関係で売り上げ・利益面で前年比較が苦しいという事情があることに注意すべきでしょう。

大豆を投資のヒントにするには

さて、前回論じた大豆関連の銘柄としてはアメリカ株のブンゲ(ティッカー:BG)が挙げられます。同社は世界最大級の植物油、脂肪種子の生産者です。また、南アメリカ最大の肥料メーカーでもあります。もともと19世紀にオランダで創業した穀物商社ですが、今では本社をニューヨークに置いています。同社に投資する際の問題点としてはもともと利幅の薄い商品を扱っている上に市況に左右されるということ。天候や疫病など、その年の作柄に影響する要因にも気をつけないといけません。さらに競争という面でもアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ティッカー:ADM)やカーギル、ルイス・ドレイファスなどの大企業とシェアを争っています。

さらに遺伝子組み換え作物に関しては安全性の見地から輸入に消極的な消費国も多いのです。なお、遺伝子組み換え大豆の主な生産地は米国とアルゼンチンで、ブラジルはこれまで遺伝子組み換え大豆の生産には消極的でした。一方、消費国の方に関しては日本、中国、EUなどでは既に遺伝子組み換え作物は解禁されています。

さとうきび

ブラジルの農業でもうひとつ今注目を浴びているのがサトウキビです。サトウキビは代替燃料であるエタノールの原料となります。ブラジルは世界で最もエタノール車の普及が進んでいます。これは1970年代後半にブラジル政府が強力な行政指導でエタノール車の普及に努めたことが原因です。ブラジルがエタノール車に注目した理由は同国でふんだんにとれるサトウキビがエタノールの抽出にとりわけ適した作物だからです。

しかし、エタノール車は1980年代に一旦普及するかに見えたのですが、その後、原油価格の低迷でガソリン価格がエタノール価格より安くなり、消費者がエタノール車を敬遠したため頓挫しました。この教訓を生かしてエタノールでもガソリンでも走る車、所謂、フレックス・フュエル型のエンジンが開発され、消費者がその時々でエタノールとガソリンの安いほうの燃料を入れられる工夫がされたため、最近またフレックス車の売り上げが伸びてきました。現在ではブラジルで売られている新車の大半がフレックス車だそうです。

ブラジルの燃料別自動車生産高(ブラジル自動車製造協会、100万台)

現在ブラジルで生産されているサトウキビの用途はエタノール向けとそれ以外(さとうなど)が約半々です。しかし、今後はエタノールの需要拡大が予想されていますから、ブラジル政府はサトウキビ価格の安定の為に新たな開墾を奨励しています。さて、このサトウキビの増産を株式市場でプレイする方法ですが、開墾にあたって地味改良の為に投入される苛性カリを生産しているポタシュ・コープ・オブ・サスカチュワン(ティッカー:POT)という会社がカナダにあります。同社は世界最大の苛性カリの鉱山を有しています。同社の鉱山は露天掘りで採掘コストが安いし、規模が大きいのでスケール・メリットがあります。同社の投資リスクとしては苛性カリの供給契約の交渉が不調に終わるリスク、仕向け先における過剰在庫で売り上げが減るリスク、不作から農家の収入が落ち込んだ場合、苛性カリを購入する余裕がなくなるリスクなどが考えられます。

世界の苛性カリ業者(百万トン、KCI)





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最終更新日  2006年09月20日 21時31分24秒


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