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石川誠壱の「こちら熟女捜索隊」
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あと0.25歩
[ 新録かきおろし ]    

式貴士が、まだ【式貴士】として作家デビューを果たしていない昭和50年に、
【間羊太郎】名義で劇画の原作をしていたことがある!
「週刊プレイボーイ」に載った!
作画の担当は上村一夫だった!

…という情報を、五所くんから直接教えてもらったのは、
もう5年も前になります。

それを知ってから、あちこち調べて、
タイトルが『仕置猫』であること、
「週プレ」1975年12月9日号に掲載されたものであること、等が判明しました。

当時、上村一夫のファンサイトを主宰しておられる方に、
メールで問い合わせたのですが、
どうやら原稿が現存していないらしく、
復刻単行本化は難しいらしい、という話でした。

掲載誌面からの復刻…という手段も、あるにはありますが、
何よりも上村先生の美しい描線を愛しておられるらしいファンの皆様にとっては、
そんなスキャン画像によるザラザラの画面は、
もはや上村一夫の作品ではない!
そんなものの出版は絶対に許せない!! …ということらしかった。
(その頃、どこかの会社が別の上村作品を印刷物起こしで復刻刊行していたそうで、
 あんな汚いもの許せない、許せない、と、
 ファンサイト内で一斉に糾弾されていた最中でしたからね、ちょうど。)

で、モノが「週プレ」だと分かっていれば、
現物を捜し当てるのにも、アテがないわけではない。
時間さえかければ、いつかは手に入るだろう。

それについては、ひとまず安心いたしまして、
むしろオレは真っ先に、その『仕置猫』という劇画作品の内容を確認したかった。

式貴士には『猫は頭にきた』という短篇があります。

世の中に発表されたのは
1980年にオール書下ろしで刊行された第3短篇集『連想トンネル』ですが、
その原型は1961年に、すでに書かれていた。

小説家としての【間羊太郎】名義による、商業誌デビュー作は、
「ヒッチコックマガジン」1962年1月号掲載の『海の墓』(『吸魂鬼』収録)。
その『海の墓』と同時に書き上げた別の短篇が『猫は頭にきた』で、
そっちはボツになった。
その『猫は頭にきた』を改稿して、『連想トンネル』に書下ろし作品として収録した。
…そういう経緯があります。

式貴士:著『連想トンネル』角川文庫
「連想トンネル」
「見えない恋人」
「ロボット変化」
「首吊り三味線」
「文明破壊作戦」
「猫は頭にきた」
「マスカレード」


【式貴士】デビュー前の昭和50年であれば、
著者の書き上げている小説作品は、それほど多くない。

そして、この人は「週刊プレイボーイ」誌上では、
本名の【清水聰】でライターを務めていたり、
占星術師【ウラヌス星風】として登場していたりすることはあっても、
【間羊太郎】の名義を使っていることは、めったにない。

ということは、『仕置猫』の原作者が【間羊太郎】なのであれば、
それは【間羊太郎】による小説作品を、そのまま劇画の原作に使用しているから、
ということなんじゃないのか?
…と、オレは、そう思ったわけですよ。

だったら、昭和50年以前までの【間羊太郎】作品は限られてくるわけで、
その中で『猫』といったら『猫は頭にきた』ぐらいしかないんじゃないか。

かくてオレは、自分の推理を確かめるために、
『仕置猫』を実際に読んでいらっしゃる、という
上村一夫ファンサイトの方に、内容を問い合わせてみたんですね。

「それは、猫の魂と人間の魂が入れ替わる、というような話ですか?」と。

もし、そうだったら、
『仕置猫』の原作は『猫は頭にきた』で確定です。

ところが、回答は「違う」ということでした。

なるほど〜、違うのか〜。

それなら間羊太郎は、
頑張ってオリジナルのストーリーによる劇画の原作に
果敢にチャレンジしていたんだなあ。

『仕置猫』発表から2年後、
昭和52年に【小池一夫・劇画村塾】が開校されますが、
間羊太郎は44歳にして、その【劇画村塾】第1期生として入学しております。
SF作家【式貴士】がデビューするのも、その同じ年ですが、
小説家専業となるにあたって、物語づくりの基礎をイチから学びたかったのでしょうか。
あるいは、『仕置猫』の結果が自分でも不満で、
もういっぺん劇画の仕事に対してだけは、白黒つけておきたかったのかなあ。
…等と、いろいろ妄想をいたしました。

(そんなことを考えている間に、
 オレ自身が44歳になろうとする頃の2006年に、
 もう一度【小池一夫・劇画村塾】が、新たに開校されていたんですね。
 そこでオレも、イチから基礎を勉強しておこうと入学しておけば、
 式貴士の気持ちが理解できたのかも知れませんが、
 オレは、それをしなかった。
 【劇画村塾】に入らなかったおかげで、いまだに基本がよく分かっていない。)

この5年間、ただ妄想しているだけで、
積極的に「週プレ」を捜して歩こうともしていなかったし、
五所くんが手に入れたらしい、という話をきいて
「じゃあ、オレのほうは、もういいや」とまで思ってしまって、
実に、今回の光文社文庫『カンタン刑』でオレは初めて『仕置猫』を読みました。

そうそう、ホトトギス!
託卵!
つまり、『夢の子供』!

間羊太郎が、過去に自分の書いた小説を元ネタにして、
『仕置猫』の原作を考えた、というところまでは当たっていたんだよ!

でも、それは『猫は頭にきた』じゃなかったんだよ!

『海の墓』に続く第2作として、
1962年に同人誌で発表した『夢の子供』だったんだよ!

(『夢の子供』は著者の生前には単行本未収録。
 死後に出版芸術社『鉄輪の舞』で初収録。
 ひょっとしたら本人は、いったん劇画の形にリメイクしたことによって、
 もう原型の小説としての『夢の子供』は、捨て去っていたのかも知れませんね。)

式貴士:著『鉄輪の舞』出版芸術社:ふしぎ文学館
「カンタン刑」
「涸いた子宮」
「チンポロジー」
「首吊り三味線」
「海の墓」
「マイ・アドニス」
「スカ
トロ・エレジー」
「犬が嗤う」
「肉の蝶」
「面影抄」
「夢の子供」
「緑の星のアダムとイブ」
「飾窓の少女」
「小指」
「鉄輪の舞」


そういえば、いま思い出したが、
上村ファンサイトの方からの御返事で、
「ホトトギスの託卵がモチーフのストーリー」というようなことを
教えていただいたような記憶があるよ!

それでもオレは『夢の子供』に気がつかなかったんだよ!

ナ〜ニやってんだか。


Last updated  2008.02.12 04:11:15
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Re:あと0.25歩(02/12)   石川誠壱さん


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