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石川誠壱の「こちら熟女捜索隊」

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2008.09.14
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カテゴリ:新録かきおろし
「活弁」のソノシートでしか知らないので、(【参照】
↓この本が欲しいんだけど、なかなか見つからないんですよ。

zigomar.jpg レオン・サジイ:著/久生十蘭:訳『ジゴマ』中公文庫(1993.12)

1993年の本なのに、
どこかで出くわさない限りは、一向に出くわさない。
現物を見ていないから、値段が高くなっているのか、
安いままなのかも分からない。

ところが、文庫版を見つけられないでいるうちに、
なぜか「幻影城」のバックナンバーが手に入ってしまいました。
創刊号と第2号で、30円ずつ。(それは確実に、安い!)
そこに前・後篇で久生十蘭:訳の『ジゴマ』が掲載されていて、
つまりテキストとしてだけなら、文庫版がなくても、もう中身は読めてしまうんですよ。

GENEIXIO7502.jpeg 「探偵小説専門誌 幻影城」1975年2月号(創刊号)
巻末長篇「ジゴマ:前篇(170枚)」レオン・サヂイ:原作/久生十蘭:訳/松野一夫:画
資料「怪人たちの系譜 "ジゴマ" から "ジャッカル" まで」石上三登志

GENEIXIO7503.jpeg 「探偵小説専門誌 幻影城」1975年3月号(創刊第2号)
巻末長篇「ジゴマ:後篇(200枚)」レオン・サヂイ:原作/久生十蘭:訳/松野一夫:画
資料「探偵劇のことなど」阿部主計

「幻影城」って、オレは現物は初めて見たんだけど、
こんな本だったのか。
(「絶体絶命」は全6号を揃いで買っていましたけどね。)
ずいぶん生硬な感じの雑誌だけど、
実は今までは、もっともっと生硬なイメージを抱いていたんですよ。
【参照】)(【参照】)(【参照】

*

その「幻影城」創刊号に載っていた作品解説
『久生訳 "ジゴマ" について』(浅井健)によれば、
久生十蘭:訳『ジゴマ』は、
「新青年」1937年4月号の別冊附録として訳出されたもの。
(その文庫判の別冊附録は、そのままの形で【博文館文庫】としても出版。)

レオン・サヂイ:原作/久生十蘭:訳『ジゴマ』博文館文庫(1937.07)

(1937年、昭和12年といえば「新青年」編集長は、
 ビーフシチューが大好きな水谷準。
 長谷川兄弟と同様に、久生十蘭こと阿部正雄も、
 函館時代からの友人である水谷準の紹介で、作家の道に入った人である。)
【参照】)(【参照】)(【参照】

それを「幻影城」が1975年になって、前・後篇で再録したわけですな。

さらに「幻影城」の再録テキストを元にして、
1993年の中公文庫版が出版されているわけである。

『ジゴマ』の後、久生十蘭が翻訳した長篇探偵小説は、
「新青年」別冊附録として4冊が刊行されている。
(それらも、そのまま【博文館文庫】になっています。)

スーヴェストル&アラン:原作/久生十蘭:訳『ファントマ』(1937.06)
 #スーヴェストル&アラン:原作/久生十蘭:訳『第一ファントマ』博文館文庫(1937.10)

ガストン・ルルウ:原作/久生十蘭:訳『ルレタビーユ』(1937.07)
 #ガストン・ルルウ:原作/久生十蘭:訳『第一ルレタビーユ』博文館文庫(1937.10)

スーヴェストル&アラン:原作/久生十蘭:訳『第二ファントマ』(1937.08)
 #スーヴェストル&アラン:原作/久生十蘭:訳『第二ファントマ』博文館文庫(1937.11)

ガストン・ルルウ:原作/久生十蘭:訳『第二ルレタビーユ』(1937.09)
 #ガストン・ルルウ:原作/久生十蘭:訳『第二ルレタビーユ』博文館文庫(1937.11)

1975年の夏には、「幻影城」の『ジゴマ』復刻に影響を受けたのでしょう。
『ファントマ』『第二ファントマ』を1冊の合本にして、
単行本として出版していたところもありました。

fantoma.jpg ピエール・スーヴェストル&マルセル・アラン:原作/久生十蘭:訳『ファントマ マチルド・ド・ヴィブレエ男爵夫人殺害事件』コーベブックス:南阿叢書(1975)

もう1本、久生十蘭が翻訳した長篇探偵小説に
ボアゴベイ:原作『鉄仮面』があります。

これは「新青年」の別冊附録ではなく、
第1部だけを訳して「名作」1939年10月号に発表。

手元にある「幻影城」掲載の解説では
「第1部で終わったため、単行本化されていない」とありますが、
…あれ?

↓こういう本が出ていたんじゃないの?

ボアゴベイ:原作/久生十蘭:訳『鉄仮面』博文館:世界伝奇叢書(1940)

どっちにしろ、後に久生十蘭は『鉄仮面』を翻訳作品としてではなく、
自ら再構成したオリジナル小説『真説・鉄仮面』として、
「オール讀物」(1954.01~1954.10)で連載。
死後に単行本化された桃源社版(1969)、
三一書房の『久生十蘭全集』第5巻(1970)を経て、
↓1997年に文庫化されています。

 久生十蘭:著『真説・鉄仮面』講談社:大衆文学館(1997.05)

*

【追記】

ほぼ「翻案」に近い久生十蘭の『ファントマ』とは別に、
わりと原著のストーリーに忠実な『ファントマ』翻訳書は、
ハヤカワ文庫から出ています。

fantoma-3.jpg スーヴェストル=アラン:著/佐々木善郎:訳『ファントマ』ハヤカワ文庫NV(1976.01)
fantoma-1.jpg P・スーヴェストル&M・アラン:著/佐々木善郎:訳『ファントマ対ジューヴ警部』ハヤカワ文庫NV(1978.04)
fantoma-2.jpg P・スーヴェストル&M・アラン:著/伊東守男:訳『ファントマの逆襲』ハヤカワ文庫NV(1978.05)

*

久生十蘭の『ルレタビーユ』は一度も復刻されていないんだなあ。
べつに、自由に翻案した久生十蘭のバージョンに頼らなくても、
真っ当な訳書が他に、いくらでも出ているから…だろうなあ。

ガストン・ルルー:著/日影丈吉:訳『黄色い部屋の秘密』ハヤカワ文庫HM
ガストン・ルルー:著/日影丈吉:訳『黒衣夫人の香り』ハヤカワ文庫HM





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Last updated  2015.01.11 19:16:21
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