カテゴリ:新録かきおろし
あなたは、『恐怖のシューマイ』という恐ろしい話を知っていますか。
「ある街に、めったにお客さんが入らない、 さびれた中華料理店がありました。 将来に絶望した店主は、 とうとう、この世をはかなんで、 首を吊る決心をしてしまいました。 でも、死ぬ前に、せめてもう一度、 得意料理のシューマイとハルマキを作って 誰かに食べてもらいたい、と望みました。 店主は命をかけて、最後の一品であるシューマイとハルマキを作り、 お店の前に宣伝の貼り紙を出しました。 焼 売 春 巻 は じ め ま し た その途端、なぜか大勢のお客さんが現われて、 お店は押すな押すなの大盛況。 大儲けした店主は、死ななくても済んだ、ということです。」 …という、くだらないくだらないギャグを思いついた漫画家が、 よっぽど気に入ったのか、 同じ週に発売される2つの週刊誌の、 それぞれの自分の連載に、 まったく同じ内容の作品を描いてしまった、という 恐ろしい恐ろしい話。 それが、怪談『恐怖のシューマイ』。 ところが、その漫画家が超大物だったおかげで、 ネタの二重売りをされた「週刊プレイボーイ」も「平凡パンチ」も、 一切の処分をすることはなく、 漫画家の連載は、どちらの週刊誌でも何事もなかったように継続され、 その超大物の地位が失脚することもなく、 反権力ジャーナリズムの標的になって糾弾されることもなく、 あまつさえ、それぞれの連載が、それぞれ作品集に収録されて、 まったく同じネタが、2冊の文庫に別々に入っていたのでした…という、 もっと恐ろしい恐ろしい話。 それが、怪談『恐怖のシューマイ』。 黒鉄ヒロシ:著『黒鉄ヒロシ文庫/新ポコチン共和国』立風漫画文庫 黒鉄ヒロシ:著『まいにちクローガネ』角川文庫 * 【追記】 平パン版の「売春はじめました」が収録されているのは 『新ポコチン共和国』ではなくて、 無印の『ポコチン共和国』第2巻でした。 黒鉄ヒロシ:著『黒鉄ヒロシ文庫/ポコチン共和国(2)』立風漫画文庫 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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