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2007年08月16日
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カテゴリ:マーケット状況
 130/30ファンドと呼ばれるタイプのファンドが、いま、欧米で最先端を行くファンドとして注目されています。このファンドは「ロング・ショート・ファンド」の一種ですが、これまでのロング・ショート・ファンドとは違ったメカニズムをもっています。

 運用資産100億円のファンドがあるとしましょう。130/30ファンドは、まず100億円で値上りが期待できる銘柄を現物で買い付けます。同時に、値下がりが大きそうな銘柄を30億円分空売りします。そして空売りで得た代金30億円でもって、値上りが期待できる銘柄を更に現物で30億円買い付けます。その結果、運用ポートフォリオの構成は、現物買い株式(ロングポジション)130億円、空売り株式(ショートポジション)30億円となります。これが、130/30ファンドといわれる所以です。投資家の立場から見ると、100億円で160億円(130+30)の投資運用を行っているということも出来ます。

 なぜ、このような運用手法をとるのでしょうか。今までのロング・ショート・ファンドは空売り代金を再び現物買いに利用するということはしていません。100億円の株式を現物で買い、他方、30億円の空売りをすれば、実質的な株式組入れは70億円相当ということになり、株式組入れ比率は70%と低くなります。このため、従来のロング・ショート・ファンドは相場上昇期に弱いといわれます。一方、130/30ファンドでは株式現物買い130億円、空売り30億円ですから、ネットの株式投資額は100億円相当、株式組入れ比率は100%となり、相場上昇をフルに取り込むことができます。その上に、割安な銘柄を買い割高な銘柄を空売りすることによって、相場の上昇期には買付け銘柄で、下降期には空売り銘柄で、市場平均を上回る収益(アルファ)の獲得が期待できるというわけです。

 因みに、なぜロングとショートの比率が130/30でなければならないか。理論的な根拠はないようですが、米国の投信法の規定で150/50が限度であることとリスク・リターン面の考慮から、130/30が妥当な比率となったようです。

 このように130/30ファンドはロングポジションとショートポジションの巧みな組合わせによって、収益増大のチャンスが広がると言えますが、その反面、当然ながらリスクも大きくなります。それだけに、ファンドのパフォーマンスの良し悪しはファンドマネジャーの手腕にかかってきます。通常のロングオンリー(現物株買いのみ)のファンドだったら、ファンドマネジャーは魅力ある買付け銘柄だけを探せばよく、魅力のない銘柄は対象にする必要はありません。ところが130/30ファンドは、値下がりが予想される銘柄を空売りして収益を得ようとするわけですから、魅力のない銘柄も調査しなければなりません。買い銘柄売り銘柄の両面で有望な銘柄を発掘しアルファを獲得する、まさにアクティブ運用の極致といえるでしょう。また、ファンドマネジャーは空売りのノウハウにも精通していることが求められますし、株式の借入れや受渡しなど空売りをスムーズに行うためのプロセスも構築しなければなりません。

 130/30ファンドは、これまでは年金基金など機関投資家の資金運用に利用されてきたといわれます。一般投資家向けの130/30ファンドは、まだ米国でも昨年から数ファンドが設定されただけですが、今年は急速に増加するだろうと予想されています。

 日本の投信でも、ロング・ショート型のファンドは既に10数本存在しています。しかし、いずれも売建てと買建ての金額をほぼ同額とするマーケット・ニュートラル戦略(株式市場全体の変動に左右されない運用を目指す)をとるファンドで、130/30タイプのファンドはありません。しかし、今後、ハイリスク・ハイリターンのファンドへの需要が高まるにつれ、新しいタイプのアクティブ運用ファンドとして導入されるでしょう。

(金融アナリスト:新藤正悟)





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最終更新日  2007年08月16日 10時22分22秒
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