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カテゴリ:経済問題
今日(2日)は、経済分野でいろいろと意味があると思われる記事が出ていました。今日もいくつかの記事を紹介します。一方、社会分野では、特に意味がありそうな記事は多くありませんでした。その中でも最も意味がありそうな記事は、最低賃金交渉の日程に関する記事と思われます。記事では、改定率については一切かかれていませんが、当然ながら労働者側と使用者側では主張に大きな開きがあります。これまでは、使用者側に近い立場をとって来たエルドーアン大統領も、今回に限っては、選挙対策として“大幅な引き上げ”を事実上掲げているため、ある程度の引上げは確実視されている一方、唯一の成果が“経済成長率”であるため、経済を減速させる可能性のある対策をこれ以上取ることが難しくなっている状況でもあります。
“今日の映像メディアからの情報、つまり、「AAでは記事にならない情報」”は、今日も“エルドーアン大統領の慌てぶり、あるいは、悪あがき振り?”を示していると考えられる行動が引き続き出ています。その一つは、上でも紹介しました“12月に決定され、1月末から実際に支払いが行われる最低賃金の労使交渉”についてです。多く見積もれば1千万人、少なく見積もっても500万人が直接影響を受ける非常に重要な交渉です。一方で、与党である以上、使用者との関係も非常に重要であることは当然です。バラマキ政策の限界が来ている証拠とも言えないことはありませんが、この問題は世界中で存在している話ですので、トルコ特有の問題ではないとも言えます。それでも、トルコで非常に重要になっているのは、上で具体的な数字を紹介しましたが、給与所得者の少なくとも半分の人が最低賃金か、それをほんの少し上回った額で雇用されているため、ある意味で「標準給与」とも言える状態になっています。そのため、ほかの国とは比べようがないほど、「最低賃金交渉」は意味があることになります。今日のテレビニュースでトルコ最大の労働組合であるテュルク・イシの委員長のインタビューがありましたが、「最低賃金で働いている人の多くはテュルク・イシに参加しておらず、労働の実態に関する詳しい情報もないまま、自分たちが変わって交渉を行っている状態である」という発言をしていました。日本では労働組合の参加率が非常に低いので特に驚くべきことではないかもしれませんが、トルコのように“飢餓限界”以下の給与が普通の国では、非常に大きな問題だと思われます。これに関連して、トルコ独特の問題も起こっています。日本とトルコ以外の状況が分かりませんが、少なくとも日本ではこれほど大々的に行われていない“銀行による顧客囲い込みための特典”、トルコではこれをプロモーションと呼んでいますが、“誰が、どれだけもらっているか”が大きな話題になっています。国家公務員(省庁別)、地方公務員は、それぞれが銀行と掛け合って、年間で数千リラから3万リラ近くまで、給与振込口座のある銀行から労働者が受け取っています。公務員は給与が高く、数が多いので、プロモーションも多額になっています。話題の発端は、「本来は労働者がもらえるプロモーションの一部を、環境・都市計画・気候変動省がアタテュルク空港を破壊して公園にするための鍬入れ式に国家公務員を大量に動員した時の経費を、このプロモーションから賄い、残額を労働者に分配した」という疑惑から始まっています。一方で、民間企業でも同様のプロモーションは存在するそうですが、零細企業も多く、一切の法律制限もないため、使用者が銀行から受け取って、労働者には分配していないところも多数に上っているとのことです。これを、CHPが法律案を提出して、“プロモーションを受け取ることは労働者の権利”と定義し、実際に労働者が必ず受け取れるようにしようとしましたが、AKPは明示的に支持する対応を取っておらず、国会審議も進んでいないということが話題になっています。CHPのポイントになることが気に入らないのか、それとも使用者側の(不当?)利益を考えての行動かは不明ですが、“AKPが法律案の成立を妨害している”という状態になっています。最後は、“インフレの原因はスーパーマーケット・チェーンである”という主張に基づく、“スーパーマーケット・チェーンの価格監視を強化し、インフレの原因を取り除く”という発言が、エルドーアン大統領とバフチェリMHP党首から飛び出し、スーパーマーケット・チェーン協会からは、AKP最も近いと言われているチェーンのCEOから“最も激しい非難の発言”が飛び出した状態から状況の改善はありません。スーパーマーケット・チェーンや卸問屋に対する検査?が行われています。昨日も紹介しましたが、消費者に対するパフォーマンスかと思っていましたが、“インフレ対策の特効薬”と真剣に信じている可能性が高いと思わる状況に変わりはありません。エルドーアン大統領が裸の王様で、怖くて誰も指摘できないものと思いますが、「金利が原因、インフレは結果」という世界の常識の正反対?の理論と、「インフレを引き起こしているのは、スーパーマーケット・チェーンと卸問屋」という、“原因と結果”を取り違えている理論の、「エルドーアン大統領の2大重要理論」の存在が、インフレを加速させ、恒常化させているような気がします。
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今日最初に紹介するAA記事の見出しは「AAフィナンスは、11月のインフレ率予測アンケート結果を発表」です。抜粋して紹介します。 AAフィナンスインフレ率予測アンケートに参加したエコノミストたちは、2022年11月の消費者物価(TUFE)上昇率は3.10%となると予測しています。 トルコ統計庁(TUIK)が12月5日(月)に発表する2022年11月のインフレ率に関する統計に関するAAフィナンスの予測アンケートは、17人のエコノミストたちの参加を得て実施されました。アンケート結果によれば、エコノミストたちの11月のインフレ率予測の平均は3.10%となりました。アンケートに参加したエコノミストたちの11月のインフレ率予測で、最も高かったものは3.82%、最も低かったものは1.90%でした。 なお、アンケートに参加したエコノミストたちの2022年11月のインフレ率予測の平均(3.10%)によれば、先月には85.51%となっていた年間インフレ率は、84.78%に低下するものと計算されています。なお、2022年10月の月間インフレ率は、3.54%の上昇でした。一方、エコノミストたちの年末のインフレ率予測は73.12%から70.18%に低下しました。 ここからは一言解説・雑感です。エルドーアン大統領が「インフレ率は下がる」と言ったので、公称インフレ率は下がらざるを得ない状況です。しかし、来月以降、特に第1四半期はベースメント効果でインフレ率が低下する可能性はあることは、これまで何度も指摘したとおりです。一方で、インフレ促進要因も次々と現れるため、大幅な低下は起こらないと思われます。なお、トルコでは「インフレ率の低下と物価の下落」を混同する人がいるということで、テレビニュースなどでは、「物価の上昇速度が精々少し遅くなるだけで、値上がり自体は続く」という解説を行っています。
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Last updated
2022.12.03 20:31:17
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