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2008年08月15日
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(3)マクロ経済環境や金融環境

 日銀のコラムだから、当然、マクロ経済と金融環境に対する言及がある。「マクロ経済環境や金融環境も、こうした市場参加者の投資行動に重要な影響を与え得る。例えば、先進国では、実質経済成長率が高くインフレ率が低い時期に、株式ブームが発生する傾向が指摘されている」とある(セントルイス連銀の研究の紹介だ)。

 低金利の下では、生命保険やヘッジファンドなどが、逆鞘の解消や運用収入の確保を目指して、リスクテイク行動を強める、との指摘もある。

 次に、高い実質成長率と低いインフレ率が長期間にわたって併存してくれるのは、さて、いったい何時のことになるだろうか。もちろん、日銀の現在及び将来の金融政策も大いに関係する。


(4)バブル崩壊!(情報の非対称性の顕在化と流動性低下)

 バブルの崩壊に関する日銀コラムの記述は次のようなものだ。

 「このように、銀行や市場参加者のリスクテイク行動が前傾化し、それが自律的に増幅されていくと、バランスシートにリスクを過小評価した資産が積み上がり、金融システムに不均衡が蓄積される、そして、金利上昇や資産価格の下落などをきっかけに、不均衡は急速に巻き戻されていく」。

 また、この巻き戻しの過程では、「金融取引に内在する情報の非対称性や運用・調達期間のミスマッチに関する問題が顕在化し、混乱が増幅される」とある。

 それが「いつ」なのかが分からないことが難しい点だが、不均衡が蓄積されると、小さなきっかけで、日銀が言うところの「巻き戻し」が始まる。「巻き戻し」と一言で言うと簡単だが、市場関係者にとっては、ここからが痛みの始まりだ。

 そして、投資家がリスクの過小評価に気づいても、直ちにリスクの正しい評価に辿り着けるわけではなく、情報の非対称性の存在は、逆方向に極端な評価にもつながりうるし、気づいていなかったリスクの存在と情報の不在の認識が急に拡がることによって、金融市場に混乱が起こる。上昇相場では、市場参加者にリスクを見せずに済ませることに役立った情報の非対称性は、下落相場では、どこが底になるのかが見えない恐怖を増幅する役割を演じるようになる。

 また、リスク縮小の最も手っ取り早い方法は資産の売却だが、これによって資産価格が下落すると、値洗いによるデレバレッジ(レバレッジの巻き戻し)を誘発するとの指摘もされている。さりとて、値洗いが悪いのではなく、それまでの行動の結果を引き受けているにすぎない。

 加えて、資産の売却が思うように進まないと、金融機関は流動性の問題に直面して、対象資産以外の資産も売却対象とするようになって、資産価格の下落が他の商品にも拡がって行く。サブプライム問題でも、金融機関が市場の流動性不足で売るに売れない証券化商品を抱えたために、資金繰りに苦しみ、これまで問題がなかった資産まで売るようになって、危機が波及した。こうした過程について、「金融市場レポート」7月号は、かなり詳細に分析しているので、興味のある方は一読されるといい。

 日銀の「金融市場レポート」7月号のコラムは次のように結ばれている。「金融市場での取引が停滞すると、市場流動性が低下し、そのことが銀行や市場参加者の資金流動性の低下を加速させることで、市場環境はスパイラル的に悪化し、金融混乱の様相が深まることになる」

 現在、米国の金融市場が直面している問題の構造は、要約するとこういうことなのだ。

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最終更新日  2008年08月18日 14時27分40秒
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