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カテゴリ:有機EL照明開発
ナノ構造形成技術及びその応用開発を行っているRolith社は本日、同社が開発したローリングマスク・リソグラフィー(RML(TM)) と呼ばれる画期的なナノリソグラフィー方式に基づいた、金属グリッド透明電極の実証に成功したことを発表しました。
家電市場ではタッチスクリーンディスプレイが爆発的な成長を遂げています。現在、透明電極としては主に酸化インジウムスズ(ITO)膜が使用さ れています。しかしITO膜には多大なコストがかかり、その原料の供給量が限られていることに加え、さらに、高反射特性によるコントラスト比の低 下、光学特性が抵抗値50 ohms/sq以下で急激な低下するなどの問題があります。こうした特性は、性能を劣化させずに、ITO膜を使って製造できるディスプレイ画面サイズを制限する要因となっています。 こうしたなか、唯一実行可能なITOの代替技術(そして大型タッチスクリーンディスプレイ実現のための唯一の解決法)とされているのが、金属ワイヤグリッドです。金属ワイヤグリッドを人間の目に見えないようにするにはワイヤ幅を<2ミクロンにする必要があります。さらに、ワイヤ幅を狭く することで、金属ワイヤグリッドとディスプレイの画素構造の重ね合わせによる画像上のモアレ発生の抑制にも効果があります。 Rolith社では、基板材料の広い面積に金属グリッド透明電極を作製するのに、同社独自のローリングマスク・リソグラフィー (RML(TM)) と呼ばれる画期的なナノリソグラフィー技術を用いています。RMLは、円筒形のロールマスクを使った近接場光リソグラフィー応用に基づいています。 ガラス基板上の透明電極・金属電極は、サブミクロン幅の細線形状で作製され、数十ミクロン周期、厚さ数百ナノメートルの規則的な2次元格子状に リソグラフィーで配置されています。こうして作製された金属構造物は、人間の目には完全に不可視であり、透過性が高く(透過率>94%)、かつヘ イズ(曇り度)が2%程度と低く、抵抗率は<14 ohms/sqであると評価されています。この一連の要因により、Rolith社の技術は、ITO代替として、他の主要な競合他社よりも優位に立っていま す。 本技術の実証には、本年初めに設計され、基板を1メートル長までパターン化できる「Gen-2 RMLツール」が用いられました。 Roith社創業者、CEOのBoris Kobrin博士は次のように語ります。 「Rolith社ではわずか数ヶ月前に金属グリッド透明電極の応用開発に着手しました。私たちは驚くべき結果がすでに達成されたことに、とても 喜んでいます。この画期的な技術がモバイル端末、大型ディスプレイ、モニター、TV向けの、高品質で費用対効果の高いタッチスクリーンセンサーの 開発を可能にする、と私たちは考えています。現在、Rolith社ではタッチスクリーン業者数社と協業の話し合いを進めており、この技術を来年商 業化するべく取り組みを加速してまいります。ロードマップでは、2014-2015年にこの技術をOLED照明及びフレキシブル基板に拡張するこ とも視野に入れています。Rolith社では、この画期的な技術を来る国際タッチパネル・光学フィルム展示会(Touch Taiwan 2013)のブースN126にて展示するほか、Printed Electronics USA 2013-米国プリンテッドエレクトロニクス会議のブースAA18にて展示します」 Rolith社について Rolith社は、独自のナノリソグラフィー技術を使用してコンシューマーエレクトロニクスやグリーンテクノロジー向けのナノパターン加工技術/ 製品を開発しています。Rolith社は 2008年にBoris Kobrin博士、Mark Brongersma Stanford University教授、Julian Zegelmanの3人で創業され、現在カリフォルニア州プレザントンに拠点を置いています。また、ナノリソグラフィー、薄膜形成、エッチング、ナノフォ トニック・デバイスの分野において包括的な特許ポートフォリオを持っています。Rolith社は SUSS MicroTec AGや旭硝子株式会社など戦略的パートナーと開発を進めています。現在の株主は、DFJ VTB Capital Aurora(Draper Fisher JurvetsonとVTB Capitalによる合同運用ファンド) 及びAGCグループのベンチャー投資機能であるAGCアメリカ株式会社 によって構成されています。 http://www.rolith.com (以上、8月12日のRoith社のプレスリリースから) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013/09/02 09:03:20 AM
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