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2010.06.28
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カテゴリ:民俗学
一夢庵 怪しい話 第3シリーズ 第836話 「遮光器土偶」

 日本で遮光器土偶といえば、青森県つがる市の亀ヶ岡遺跡から明治時代に出土した、地球を侵略しに来た宇宙人のロボットのように見えなくもない、左脚が欠けた土偶を思い浮かべる人が多いのではないかと思うのですが、実際、そうした土偶のモデルに宇宙人説があることは比較的知られています。

 土偶の名前にもなっている遮光器というのは、保護メガネの一種で、極地に住むイヌイット(いわゆるエスキモー)などが光の乱反射が激しい氷原でサングラスの代わりに使用していた板きれに横長の穴というかスリットを入れたものですが、大きめのメガネくらいのサイズの板の中央に横長のスリットを入れたものや2枚の板を合わせてその隙間から覗くようにしたものが多かったようです。

 ちなみに、遮光器無しで光の乱反射が激しい氷原などを背景にして長いこと野外を裸眼で見ていると、多量の紫外線の影響で雪盲(せつもう)とか雪眼(ゆきめ)と呼ばれる眼炎(雪眼炎ともいう)を起こしてしまう人が多く、流涙、結膜充血、眼瞼痙攣などなどを起こして眼がほとんど使い物にならなくなります。

 その辺りの理屈と遮光器の形状さえ分かっていれば、遮光器の素材に関しては鯨の骨でも流木でも厚紙や蒲鉾板でもかまわないのですが、もちろん、市販の紫外線のカット率の高いサングラスやゴーグルなどでももちろん十分に雪眼対策に利用できますので、無理に昔ながらの遮光器を用いるメリットはあまりありません(笑)。

 では、なぜに極地のイヌイットくらいしか使っていないような遮光器を着用しているかのように見える土偶が日本から出土したのか?と聞かれれば、”当時はその近辺でも遮光器が使われていたから?”というのが素直に考えれば一番正解に近いのではないかと思われます。

 これが、亀ヶ岡遺跡からしか出土していない土偶というのならば、たまたま北方に住んでいた他の部族が海に漁に出ていて流されて漂着し、あまりに奇妙なその様子を土偶に残したとかいった話をでっちあげてもいいのですが、他の遺跡からも類似した土偶が出土しているため、何らかの共通したモチーフがあったのではないかと考えられています。

 年代的には縄文時代後期に属し、東北地方~関東~中部あたりの遺跡などから類似した土偶が出土しているのですが、低い温度(800度程度)で焼かれた素焼きの像ですが、土偶表面の模様が朱などで着色された痕跡があるものが多く、かなり手間暇がかけられていますし、遮光器土偶の代名詞的な存在である亀ヶ岡遺跡の遮光器土偶は高さが約35cm程あり、そんな大きいサイズの土偶を何故造らねばならなかったのか?が謎だったりします。

 といっても、岩手県石巻の泉沢遺跡の貝塚から出土(1948)した遮光器土偶の高さも約26.2cmですから、土偶が手作りの焼き物の一種であることを考えればオリジナルは30cm前後だった可能性もあるのではないか?という気がしないでもありません。

 前々から素朴な疑問としてあったのは、遮光器土偶のモデルが宇宙人とか宇宙服を着た人間といった仮説があっても、その身長がどのくらいだったのか?という話がほとんどされていないというか皆無な事で、土偶のサイズがモデルの実寸に近かった場合は、コロボックルなど伝説の小人がモデルだった可能性もあるでしょうし、逆にダイダラボッチの伝説のような巨人を小さく写した可能性もあるわけです。

 いずれにしても、遮光器土偶のモデルの身長というか高さが、ほぼ当時の人間と同程度であったという根拠は何処にもない事だけは確かな話ですから、モデルのサイズをあまり限定して考えない方が良い気はしています。

 また、埼玉県さいたま市の真福寺貝塚から出土した、”みみずく型土偶”なども遮光器土偶の一種と考えると、神殿などの祭事場跡ではなく貝塚から意外と多くの遮光器土偶が発見されている事も気になる点で、かっては神様の像だったものが、軍事的な侵攻や宗教改革などがあって、神の座から滑り落ちてゴミとなった可能性や、とりあえずゴミの中に隠して逃げた可能性などもあります。

 まあ、どこかが破損したからゴミとして貝塚に捨てられた可能性とか、(恐らく腐敗臭などで凄いことになっていたであろう)貝塚の悪霊の類を封じ鎮めるための人形ないし神を形取った土偶が遮光器土偶だった可能性なども考慮する必要はありますが、大和朝廷の征討軍にでも敗北した結果として、古い神は捨てられたと考えると、現地の人もその正体がわからない事などを併せて考えると一番筋が通るのかもしれません。

 いずれにしても、なぜ古代人のゴミ捨て場と考えられている貝塚からも遮光器土偶が出土する事があるのか?と考えたとき、宇宙人説や宇宙服を着た人間説といた話がにわかに怪しくなってくる気がしますし、四肢などが欠損している遮光器土偶が多いことから、何らかの病気や怪我に関連した呪術に用いた人形と解釈することもできます ・・・ 残念ながら(笑)。

 貝塚が一種の墓地も兼ねていた地域もあることから、遮光器土偶は遺体をモチーフにしているという説もあるのですが、いずれにしても貝塚がある種の穢れ地と古代人に認識されていたであろうことは想像に難くなく、そんな場所から出土するとなると、ゴミ捨て場の神様でも無い限り、何らかの呪術に用いられていた神様の像か、呪術の対象となっている人の代わりと考えればそれなりに筋は通るわけです。

 ちなみに、日本で見ることができる遮光器土偶が意外と少なく限られている理由の一つが、宇宙人モデル説を唱えた(当時)ソ連の化学評論家というかSF作家として知られるアレクサンダー・カザンッツエフが日本から、当時発掘されていたかなりの数の現物を持ち去ったままということと無縁では無かったりしますが、少なくとも日本に残されている遮光器土偶の代表的なものは重要文化財に指定されています。

 実際、アレクサンダー・カザンッツエフが持ち去った遮光器土偶を知る人の証言や彼の研究報告などによれば、被っているヘルメット状のものを取り外せる遮光器土偶もあったようで、取り外した下には別の顔があったともされていることから、かなり貴重な資料が海外に大量に流出した可能性があるのですが、そもそも、彼がどのくらいの数の遮光器土偶を持ち去ったのかが定かでは無かったりします。

 もっとも、アレクサンダー・カザンッツエフが1962年に遮光器土偶のモデルが宇宙服を着た異星人であるといった研究結果を発表したからこそ日本の遮光器土偶の存在が広く世界に知られるようになったのも現実で、日本の考古学者だけだったら、重要文化財に指定されることもなく、どこかの大学の研究室の片隅で、その他大勢の土偶と一緒になって眠っている可能性さえ否定できません(笑)。

 また、アレクサンダー・カザンッツエフが旧・ソ連の化学評論家であったことは、亜米利加の研究者を刺激する動機の一つになったようで(笑)、宇宙考古学者のデニケンなどが遮光器土偶に関する研究書を出したのも、日本人研究者の研究報告に触発されたからでは無いようです。

 ただし、1960年代と言えば米ソ冷戦の真っ盛りですし、宇宙開発でも米ソがしのぎを削っていた時代ですから、遮光器土偶宇宙人説というのも、宇宙開発に絡んだプロパガンダの一環という斜めに構えた解釈も不可欠でしょうし、彼らの主張に何らかの思惑が無い方がおかしい時代でもあるわけです(笑)。

 此の辺りは、素直に遮光器土偶が宇宙服を着た人間や宇宙人では無いと考えれば良いだけかもしれませんが、”それでは面白くない”ので、世界規模で類似した石像や彫像の類が無いかと探してみると、遮光器土偶よりよほどそのものズバリの宇宙服を着た人間ないし宇宙人をモチーフにした土偶や石像の類が複数の国や地域で散見されます。

 中でも、メキシコの石像(石偶)の中には、アポロ宇宙飛行士などが着用していた宇宙服を着ている人間をモデルに刻んだようにしか見えないというか、それ以外の他の何かを連想する方が難しい形状だったりしますし、エクアドルの神人石偶の中には、宇宙線の船内服姿というか、一番外側の宇宙服を脱いだ状態か、簡易版の宇宙服とマスクを着用した姿をモデルにしたのではないか?と思ってしまう像の存在が知られています。

 世界各地で散見されるそういった像は、そのどれもが宇宙飛行士や宇宙人をモデルにしたと言われれば頷きたくなる形状なのですが、いずれの地域においても、そういった形状の像が造られた時期は限定的で、造られなくなった理由も謎で、今となっては何をモチーフにしたのかさえ正確にはわからない正体不明の像になっている点まで共通していますから、地球規模であれこれ考えるネタになり続けていたりします。

 他の説の中には、困ったときのシュメール頼みではありませんが、遮光器土偶が女性をモデルにしているのではないか?と主張する人達の中に、古代シュメールの女神イシュタルが原形という説を唱える人達がいて、怪しい話よりもかなり怪しい仮説が大真面目で唱えられているのですが、その場合、少し後の弥生時代に入るとぱたりと造られなくなった理由というのが上手に説明できないようです(笑)。

 もっとも、弥生時代になると造られなくなっている点は、アラハバキ説でもネックになっている部分なのですが、長くなってまいりましたので、アラハバキに関してはまたいつか別の機会ということで、今回はここまで。

初出:一夢庵 怪しい話 第3シリーズ 第836話:(2010/06/22)





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Last updated  2010.06.28 00:28:45
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