いわぴいのドラマ日記

　何から伝えればいいのかわからないまま時が流れてしまいました。それが、今回のテーマの重さなのかなと思います。ひとつひとつのシーンが衝撃的過ぎて、どこから語り始めればいいのかなかなか選ぶことが出来ませんでした。ただひとつ言えることは、それだけ人の命には計り知れない重さと大きな意味があるということでしょう。そして、彼らはもっとも多感な時期にそれを知ることになったという事実が残ったということではないでしょうか？

　ハチの死は、見ている人間だけでなくクラスメートや周囲の人々に大きな影響を与えていましたね。灯里は夜まで海辺に立ち尽くしたまま、朔太郎の言葉を受け入れようとはせずに、「ハチは今まで約束を破ったことがない！」と叫んでいましたし、大和とハナはいつものように勉強していても、それぞれ悲しみをこらえていました。茂一たちは海辺を走りながら、やり場のない怒りをどこにぶつけたらいいか考えあぐねていました。教師である若葉ですら、初めて突きつけられた事実に混乱を極める始末です。仕方ないですよね。未来ある若者の命が無残にも消え去ってしまったわけですから・・・。

　そんな状況の中ハチの死を伝えるに当たって、彼の死を現実のものとして受け入れている朔太郎の言葉のひとつひとつが心の奥にある柔らかい部分をえぐって埋め込まれていくような感覚を覚えました。彼は戦場で自分の教え子たちが亡くなっていく姿を目にするたびに、同じようにそれを受け入れていたのでしょうか？そして、最も伝えたくない相手であろう灯里にそれを伝えるとき、彼は何を考えたのでしょうか？自分の言葉を聴こうとしない灯里に、朔太郎は現実を受け入れることの大切さを教えたかったのでしょうか？朔太郎自身もひょっとするとわからなかったのかもしれませんね。

　だからこそ、雪乃の言葉には腹の底から怒りがこみ上げてきました。「死にたくなかった！」だと～！！そんな軽々しく命のやり取りをしようとする奴のためにハチがなくなったのだと思うとやり切れませんでしたね。そんな雪乃に対しても包み込むように教え導く朔太郎の姿が印象的でした。「君は生きなければいけない」「鼓動はひとつかもしれないけれど、二人分の命だ」「もっとも怒るべきお母さんが怒らないのは、ハチが救った命だからだ」噛んで含めるように朔太郎の唇からつむぎだされる言葉のひとつひとつには、激しくはないけれども強い意思が感じられました。今まで誰が何を言っても自分を追い込むことしか考えていなかった雪乃がやっと、人の言葉に耳を傾けられた瞬間だったような気がします。そして、ハチの死が報われた瞬間だったのかもしれません。

　ただ、雪乃を刺そうと灯里が思ったのは無理もないですよね。「ありがとう」という最も大事な言葉を伝えることが出来なかったのは本当に悔しい限りだと思います。そして、やっと自分の気持ちに気付いて伝えたばかりだっただけに余計に辛さは大きかったのでしょう。ただ、そんな灯里でさえも朔太郎は優しい言葉で慰めてしまいました。「田幡のどんなところを見て友達になった？」「田幡のどんなところを見て好きになった？」「田幡はどんな奴だった？」「今田幡は復讐を望んでいるか？」ひとつひとつの問いかけが、灯里の心に解けていったのだと思います。涙を流すことでハチの思い出が消えると思っていた彼女に言った一言が心に残りました。「流すんじゃない。心にしみこませるんだ！」

　そのあと見た日輪祭の準備のときのビデオ、将来の夢を朔太郎のような先生になることと語っていたハチの言葉は逆に朔太郎の胸に突き刺さったでしょうね。もう部屋に戻ることも、ほんの続きを読むことも、灯里に振り回されることもないハチは何を思っているのでしょうか？それでも人を一人救うことが出来て満足できているのかもしれませんね。そして、迫り来る学校全体を揺るがす履修不足問題も草葉の陰から彼が助けてくれるような気がしてなりません。衝撃の最終回、最後に朔太郎は生徒たちに何を残してくれるのでしょうか？拡大版だけに心して待ちたいと思います。それにしても、ハチの葬儀のときのサウンドオブサイレントと夢を語るハチのデジカメ映像には泣けました～（涙）

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