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倒れる時には、前のめり

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August 6, 2005
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カテゴリ:日記

幸子は、講堂に横たわり気を失っていたのだろうか
夜中、目が覚めた。

今思い出しても悪い夢を見ている様だった。

幸子は6日の朝、早番ではあったが体調が悪いため横になっていた。
そこへ突然、屋根が吹っ飛びあらゆる物が跳んできた。

見ると全身にガラスが刺さり、やけどして水ぶくれになっていた。
やはり、何が起こったのか理解がすぐに出来ない。

急いで外で飛び出ると同級生達が、
「爆弾じゃぁ 爆弾じゃぁ」
と、叫んでいる。

避難先の神田神社に着いた後、みんなでここ井口の実践女学校を
めざして約10キロ以上の道を歩いた。

途中いとこの豊子に出会い、励まされながらたどり着く。
やはり途中は地獄絵図であった。

やけどの人たちの列、足が取れてぶら下がったままおかしくなった人。
倒れたレンガ屋根の間からは髪の毛がのぞいたり死体がのぞいたりしている。

「みずをくれ!」
「たすけてくれ!」
とあちこちに叫んでいるがどうしようもない。
そこへ母親が赤ちゃんを抱いて苦しんでいるところに電柱が倒れてきた。
助けを求める人の声。声。声。

今でも耳にこびりついてはなれない。
夜中に目が覚めては思い出し体に痛みと震えが来る。
同級生で傷を負った者は、傷口にウジがわき痛い痛いと、うめいている。

「海は広いなぁ、おおきいなぁ」
と、か細い声で歌っている同級生がおり、
周りからうるさいと怒られているがやめようとしない者もいる。

幸子は、明日がくるのが怖かったに違いない。
今日起こった現実を、また明日の朝この目で見るのが怖かったに違いない。

幸子ほか広島電鉄女学生各自、実践女学校講堂にて避難。
17歳にて、人類史上最悪の事態に身を置き、
8月6日の夜を過ごした。

(原作 チンチン電車と女学生 堀川恵子・小笠原信之著)







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Last updated  August 10, 2005 07:55:50 AM
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