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風狂夜話2

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2008年12月22日
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カテゴリ:文学
「むろん、役人にとっては、『出世』が唯一の生きがいであった。」

「いったい、課長補佐というのは、さしたる学校も出ず、長年、役所に勤めて

40歳以上になった実務の練達者が多い。どちらかというと地味で『出世』を

あきらめて退職金や恩給の計算を楽しむといった人々が大方である。」

「聞くところによると、事件が起こって課長補佐級が参考人として任意出頭して

取り調べられ、役所に帰されると、今度は上役たちから、どんなことを尋問され

たか、などと鋭い目でみられてうるさく追及されるそうである。今まで笑いなが

らものを言ってくれた上役が急に恐ろしくなる。その追及は一種の拷問と同じ状

態にその人間をおとしいれることになる。事件が急迫するにつれてそれは酷烈に

なる。彼は捜査当局の取調べと、上役の査問とで神経が消耗してしまうであろう。

もとより小心な人間といってよい。発狂に近い状況に追い込まれるかも知れない。

そこを上役からじゅんじゅんとさとされる。恩義を忘れてはならない。役所に迷惑

をかけてはすむまい、と言うかも知れない。あるいは家族のことは心配するな、十

分に考えている、と、遠まわしに言うかも知れない。要するに、さとすよりも、

錯乱した彼の頭に『因果』をふくめるのである。私は疑獄事件で自殺した課長補佐

級の人たちは、精神的な他殺ではないかと思っている。」(松本清張)

なかなかうがった洞察である。

エリートコースに乗れずに、同期の大学出からも差をつけられた小官僚のあせりと、

役所への恩義や圧力の大きさに萎縮している人間の絶望をよく観察している。

またこの老獪な網の目からのがれようと、必死で運動する人々もいるであろうが、

大方は武運つたなく、権力側の威嚇と圧力によって死に追いやられる。

しかも巧妙に偽装されて。

昨今の社保庁の標準報酬の工作を内部告発した某氏のように、マスコミに堂々と

素面をさらすというのも上首尾であろうが。

例の女子の盗み撮りで微罪逮捕された某大学教授よりは危機管理にたけている。






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最終更新日  2008年12月22日 17時17分37秒
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