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詩誌AVENUE【アヴェニュー】~大通りを歩こう~

詩誌AVENUE【アヴェニュー】~大通りを歩こう~

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2016年01月19日
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  ダンツラーは手を伸ばしたが、相手の手をとる代わりに、その手首をつかんでひき倒した。DTはいいほうの足でバランスをとろうとしたが、ひっくり返って霧の下に姿を消した。落ちるだろうと思っていたのだが、DTは肌に霧をはりつけたまますぐにうきあがってきた。そのはずだ、とダンツラーは思った。魂が落ちるには、その前に肉体が死ななければならない。   

(ルーシャス・シェパード『サルバドル』小川 隆訳)

  「あなたは宇宙を支配しているのですか?」ザフォドが訊(き)いた。

(ダグラス・アダムス『宇宙の果てのレストラン』29、風見 潤訳)

 
  ぼくのために橋となってはくれないきみの愛がぼくを苦しめるのだ、橋は片側だけで支えられるものではないのだからね、ライトだってル・コルビュジェだって片側だけで支えられる橋を造ることはないだろう。   

(コルターサル『石蹴り遊び』その他もろもろの側から・93、土岐恒二訳)

  フロベールは、オメーの俗悪さを列挙する場合にも、全く同じ芸術的な詐術を使っている。内容そのものは下卑ていて不快なものであっても、その表現は芸術的に抑制が利き調和しているのだ。これこそ文体というものなのである。これこそ芸術なのだ。小説で本当に大事なことは、これを措いてほかにない。

(ナボコフ『ナボコフの文学講義』上・ギュスターヴ・フロベール、野島秀勝訳)

  夫人はあと一瞬だけとどまろうとした。それから身を動かし、ミンタの腕をとって部屋を出ると、もうあの光景は変化し、違った形をとり始めた。夫人は、肩ごしにもう一度だけ振り返って、それがもはや過去のものになったことを知った。

(ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』第一部・17、御輿哲也訳)

  ダルグリッシュの視線が、すでに一度はとらえておきながら気がつかずにいた或るものの上にとどまったのはそれからだった。大机の上に載っている、黒い十字架と文字の印刷された通知書の一束である。その一枚を持って、彼は窓ぎわへと行った。明るい光でよく見れば、自分のまちがいがわかる、とでも言うように。しかし、

(P・D・ジェイムズ『黒い塔』2・1、小泉喜美子訳)

  そんなものに、わしゃヘンダソンよりも多くのものを発見するんだよ。

(イエイツ『まだらの鳥』第一編・4、島津彬郎訳)

  この家の玄関を設計するにあたって、ぼくはブレインの家の玄関ホールを再現しようと試みた──と言っても巻尺で測ったような現実としてではなく、ぼくの記憶にあるとおりの現実として。現存する「生きて、呼吸し、存在する」ぼくの記憶が、いまは滅んで取り戻せない物理的存在よりも現実的でないなどとどうして言えるだろう。

(ジーン・ウルフ『ピース』2、西崎 憲・館野浩美訳)

  キェルケゴールはたずねる。「世界と呼ばれているものは何なのか?…この世へ私をいざなっておきながら、今そこに私を置き去りにしたのは誰なのか?…私はどうしてこの世にきたのであろう?…なぜ私は顧みられなかったのか?…もし私がこの世にむりやりに仲間入りさせられているのなら、その指導者はどこにいるのか?…私はその人に会いたい」。この「不条理」の感覚のいちばん極端な形がサルトルの言うところの「嘔吐」で、自分が客体のありのままの現実によって否定されているという感覚である。

(コリン・ウィルソン『時間の発見』第5章・8、竹内 均訳)

 
  マルティンは自分がまだ知らないでいるアレハンドラの心の一部を探るかのように、部屋の中を見まわした。   

(サバト『英雄たちと墓』第I部・9、安藤哲行訳)

  それからフラムは扉を閉めて、彼の蒸気船を去り、同時に彼の人生から去っていった。

(ジョージ・R・R・マーティン『フィーヴァードリーム』30、増田まもる訳)

  まだ一年も経っていないというのに、サマンサは母親がどんな姿をしていたか忘れかけている自分に気づいた。母親の顔だけでなく、どんな香りだったかさえも。それは乾いた干し草のようでもあり、シャネルの五番のようでもあり、なにか他のもののようでもあった。

(ケリー・リンク『スペシャリストの帽子』金子ゆき子訳)

  グレース・ファーガソンに対する興味が深まれば深まるほど、彼女の家やその周辺も彼にとって生き生きとしたものになってきた。

(ヒュー・ウォルポール『白猫』佐々木 徹訳)

 
  「共感覚」彼女は繰りかえした。「ある感覚が、ミスター・ヴァンダービルド、刺激を受けたのとは異なる感覚器官の感覚に即座に翻訳される場合、それを共感覚というんです。たとえば──音の刺激が同時にはっきりした色感を引き起こすとか、色が味覚を引き起こすとか、光が聴覚を引き起こすといった具合です。味覚、嗅覚、痛覚、圧覚、温覚、その他もろもろの感覚で混乱や短絡があり得るんです。わかりますか?」   

(アルフレッド・ベスター『ごきげん目盛り』中村 融訳)

  人間思想の全分野を革新するということは、きわめてわずかな人にしか許されていない。デカルトはこのわずかな人間の一人である。

(E・T・ベル『数学をつくった人びと I』3、田中 勇・銀林 浩訳)

 
  ウィンターはこの数分で二度目の、自分の世界が裏返される感覚を味わった。「シュレイムが嘘を?」   

(ケン・マクラウド『ニュートンズ・ウェイク』B面20、嶋田洋一訳)

  彼女は母親とエスペンシェイ氏と一緒に生まれ故郷のマサチューセッツ州サットンに戻り、その町にある大学に入学した。/十一歳のとき彼女はフロイト博士とかいう狂人が書いた『(「)子供は何を夢見るか(ア・クワ・レヴァン・レ・ザンフアン)』を読んだことがある。/その抜粋が入っていたのは、サン・レジェ=デクジュペルスから出ている「今世紀を代表する偉人たち」全集で、ただどうして代表的な偉人がこんなに下手くそに書くのは謎のままだった。

(ウラジミール・ナボコフ『ローラのオリジナル』若島 正訳)

  クロフォードは絶望的な思いでその血を見つめながら自分を奮いたたせようとする。

(ティム・パワーズ『石の夢』下・第二部・第十七章、浅井 修訳)

  他人の生活に鼻をつっこむのは(夫人の母親のいい方に従えば、”のぞき”)、友情を保つ方法とはけっして思えなかった。たとえ尋ねなくても、知りたいと思う以上のことが聞こえてくるものだ。ブリゲル夫人の経験によれば、そうだった。

(アン・ビーティ『貯水池に風が吹く日』8、亀井よし子訳)

ソルは知っている。サライはレイチェルの子供時代の各成長段階を宝物のようにたいせつにしており、日々のありふれた日常性を慈(いつく)しんでいた。サライの考え方によれば、人間の経験の本質は、華々しい経験──たとえば結婚式がそのいい例だが、カレンダーの日付につけた赤丸のように、記憶にくっきりと残る華やかなできごとにではなく、明確に意識されない瑣末事の連続のほうにあるのであり、一例をあげれば、家族のひとりひとりが各自の関心事に夢中になっている週末の午後の、さりげない接触や交流、すぐにわすれられてしまう他愛もない会話……というよりも、そういう時間の集積が創りだす共同作用こそが重要であり、永遠のものなのだ。

(ダン・シモンズ『ハイペリオン』下・学者の物語、酒井昭伸訳)

    私が自分の持物を二階の部屋に運んでいくとハンスは彼と同室の者を私に紹介してくれた。ミドルタウン出身のアメリカの著者で名前はディンク・リバーズ。じっと私を見つめる並外れて澄んだ灰色の目に驚きの色が浮かんだ。昔の知人と会ったかのようだった。一瞬私は水の涸れた河床にいて彼が「私が欲しいのならすぐ抱き上げて」と言っているような声を耳にした。しかし次ぎの瞬間ポート・ロジャーのこの部屋にいて私達二人は手を握り合い、彼は頷いていた。   

(ウィリアム・S・バロウズ『シティーズ・オブ・ザ・レッド・ナイト』第一部、飯田隆昭訳)

  DTは鼻を鳴らした。「たしかにそうだ!」あえぎながらたちあがると、足をひきずって小川の縁に(ママ)歩いた。「渡るのに手を貸してくれ」

(ルーシャス・シェパード『サルバドル』小川 隆訳)

 
  それが実際に父親の口から聞く最後の言葉ということが分っていたなら、マルティンは何か優しい言葉を口にしただろうか?
人は他人に対してこんなにも残酷になりうるものだろうか?──とブルーノはいつも言うのだった──もし、いつか彼らが死ななければならない、そしてそのときには、彼らに言った言葉はどれも訂正しえないものだということがほんとうに分っているなら。
彼は父が後ろを向き、階段のほうに遠ざかっていくのを見た。そして、姿を消すまえにもう一度向きなおり、死後何年かしてマルティンが絶望の中で思いだす、あの視線を向けたのだった。
 
 

(サバト『英雄たちと墓』第I部・7、安藤哲行訳)

 
  彼は頭の回転の速い男ですが、ジュリアンが恐ろしくゆがめてしまったのです。彼のことばに耳を傾けるすべての者をゆがめてしまうように。   

(ジョージ・R・R・マーティン『フィーヴァードリーム』30、増田まもる訳)

  ルイーズの席からだと、どのチェリストもみんな美男子だ。なんて弱々しい人たちなの、とルイーズは思う。黒のお堅い衣装を着て、あんなふうに音楽を弦から流れ落とし、開いた指のあいだから溢れさせている。まったく不注意なもんだわ。しっかりつかんでおくべきなのに。

(ケリー・リンク『ルイーズのゴースト』金子ゆき子訳)

  彼の片方の目は温和で親しみがこもっているが、もう片方の目は嘲りの光を放っているのに私は気づいた。全く人迷惑な目だ。バート・ハンセンはどう応えていいやら分からず不快そうな笑みをこぼしたが、一瞬この二人そっくりすり替わったんじゃないかと思われるような同じ笑みが、今度は彼からこぼれた。

(ウィリアム・S・バロウズ『シティーズ・オブ・ザ・レッド・ナイト』第二部、飯田隆昭訳)

 
  「分る、マルティン? これまで世界には多くの苦しみが生まれなければならなかった、その苦しみがこうした音楽になったのよ」
レコードを外しながら言った、
「凄いわ」
 
 

(サバト『英雄たちと墓』第I部・9、安藤哲行訳)

  「どうぞ!」とドニヤ・カルロータはケイトに言った。「もうお休みになりましたか?」

(D・H・ロレンス『翼ある蛇』上・10、宮西豊逸訳)

 
  小人は片腕をあげるとパリダに向かって伸ばす。   

(フエンテス『脱皮』第三部、内田吉彦訳)

  「行かなきゃ」とアリスが言った。

(コニー・ウィリス『リメイク』大森 望訳)

  「まあ、あなた」とマグダレンは溜息をついた。

(エリス・ピーターズ『死者の身代金』8、岡本浜江訳)

  ──上の人また叩いたわ──とバブズが言った。

(コルターサル『石蹴り遊び』向う側から・28、土岐恒二訳)

  「ゴードンがお気に入りの花々をお見せするでしょう」と彼女は言って、隣室に呼びかけた。「ゴードン!」

(ナボコフ『青白い炎』註釈、富士川義之訳)

  ゴードンは驚いたように首をふった。

(ニーヴン&パーネル&フリン『天使墜落』下・15、浅井 修訳)

  「ひい──」と彼は絶叫しながらジョニーに変身する。メァリーの首はぽきっと折れる。

(ウィリアム・バロウズ『裸のランチ』A・Jの例年のパーティ、鮎川信夫訳)

 
  小人は片腕をあげるとパリダに向かって伸ばす。   

(フエンテス『脱皮』第三部、内田吉彦訳)

  「行かなきゃ」とアリスが言った。

(コニー・ウィリス『リメイク』大森 望訳)

  「まあ、あなた」とマグダレンは溜息をついた。

(エリス・ピーターズ『死者の身代金』8、岡本浜江訳)

 
  ──上の人また叩いたわ──とバブズが言った。   

(コルターサル『石蹴り遊び』向う側から・28、土岐恒二訳)

  「ゴードンがお気に入りの花々をお見せするでしょう」と彼女は言って、隣室に呼びかけた。「ゴードン!」

(ナボコフ『青白い炎』註釈、富士川義之訳)

  ゴードンは驚いたように首をふった。

(ニーヴン&パーネル&フリン『天使墜落』下・15、浅井 修訳)

  「ひい──」と彼は絶叫しながらジョニーに変身する。メァリーの首はぽきっと折れる。

(ウィリアム・バロウズ『裸のランチ』A・Jの例年のパーティ、鮎川信夫訳)

 
  「行かなきゃ」とアリスが言った。   

(コニー・ウィリス『リメイク』大森 望訳)

  「まあ、あなた」とマグダレンは溜息をついた。

(エリス・ピーターズ『死者の身代金』8、岡本浜江訳)

  ──上の人また叩いたわ──とバブズが言った。

(コルターサル『石蹴り遊び』向う側から・28、土岐恒二訳)

  「ゴードンがお気に入りの花々をお見せするでしょう」と彼女は言って、隣室に呼びかけた。「ゴードン!」

(ナボコフ『青白い炎』註釈、富士川義之訳)

  ゴードンは驚いたように首をふった。

(ニーヴン&パーネル&フリン『天使墜落』下・15、浅井 修訳)

  「ひい──」と彼は絶叫しながらジョニーに変身する。メァリーの首はぽきっと折れる。

(ウィリアム・バロウズ『裸のランチ』A・Jの例年のパーティ、鮎川信夫訳)

  「まあ、あなた」とマグダレンは溜息をついた。

(エリス・ピーターズ『死者の身代金』8、岡本浜江訳)

  ──上の人また叩いたわ──とバブズが言った。

(コルターサル『石蹴り遊び』向う側から・28、土岐恒二訳)

  「ゴードンがお気に入りの花々をお見せするでしょう」と彼女は言って、隣室に呼びかけた。「ゴードン!」

(ナボコフ『青白い炎』註釈、富士川義之訳)

 
  ゴードンは驚いたように首をふった。   

(ニーヴン&パーネル&フリン『天使墜落』下・15、浅井 修訳)

 
  「ひい──」と彼は絶叫しながらジョニーに変身する。メァリーの首はぽきっと折れる。   

(ウィリアム・バロウズ『裸のランチ』A・Jの例年のパーティ、鮎川信夫訳)

  ──上の人また叩いたわ──とバブズが言った。

(コルターサル『石蹴り遊び』向う側から・28、土岐恒二訳)

  「ゴードンがお気に入りの花々をお見せするでしょう」と彼女は言って、隣室に呼びかけた。「ゴードン!」

(ナボコフ『青白い炎』註釈、富士川義之訳)

  ゴードンは驚いたように首をふった。

(ニーヴン&パーネル&フリン『天使墜落』下・15、浅井 修訳)

  「ひい──」と彼は絶叫しながらジョニーに変身する。メァリーの首はぽきっと折れる。

(ウィリアム・バロウズ『裸のランチ』A・Jの例年のパーティ、鮎川信夫訳)

  「ゴードンがお気に入りの花々をお見せするでしょう」と彼女は言って、隣室に呼びかけた。「ゴードン!」

(ナボコフ『青白い炎』註釈、富士川義之訳)

  ゴードンは驚いたように首をふった。

(ニーヴン&パーネル&フリン『天使墜落』下・15、浅井 修訳)

  「ひい──」と彼は絶叫しながらジョニーに変身する。メァリーの首はぽきっと折れる。

(ウィリアム・バロウズ『裸のランチ』A・Jの例年のパーティ、鮎川信夫訳)

 
  ゴードンは驚いたように首をふった。   

(ニーヴン&パーネル&フリン『天使墜落』下・15、浅井 修訳)

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(ウィリアム・バロウズ『裸のランチ』A・Jの例年のパーティ、鮎川信夫訳)

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(ウィリアム・バロウズ『裸のランチ』A・Jの例年のパーティ、鮎川信夫訳))

 
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(ウィリアム・バロウズ『裸のランチ』A・Jの例年のパーティ、鮎川信夫訳)

 
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(ウィリアム・バロウズ『裸のランチ』A・Jの例年のパーティ、鮎川信夫訳)

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※ ネット発表のものは、出版された詩集とは異なる箇所があります。
※ 本篇の、詩誌AVENUEによるレイアウトは作者校閲を経ています。


田中宏輔著 『全行引用詩・五部作・上巻』
 思潮社オンデマンド2015 ¥3,024











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最終更新日  2016年01月19日 18時38分59秒
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