「パンズ・ラビリンス」
[DVD] パンズ・ラビリンス 通常版1944年、スペイン。オフェリアは妊娠中の母と共に再婚相手のヒダル大尉の駐屯地である山奥にやってきた。森の中の迷宮に迷い込んだオフェリアは牧羊神パンから3つの試練を与えられる…。ネタバレあり↓基本的にファンタジーはよっぽど好きな俳優が出てるか単発で評判がいいかでない限り極力避けたいジャンルなんだけどそこにダークが付くと話は変わってくる。まず劇中では子守唄として使われエンドクレジットでも予告でも流れていたあのテーマ曲(?)が物悲しく切ない気分にさせてくれてとても良い。ウウウウウウウ~♪、ウウウウウウウ~♪、嫌な夢を見そうだ。クリーチャーの造形も若干(かなり?)の気味悪さがダークならではで良い。特に2つ目の試練の時に登場したベイルマンの気味の悪さはあまりに見事。しかも妖精を噛み千切って食べるという荒業まで披露する。妖精がこれっぽっちも可愛くないのが救いか。アカデミーで撮影賞、美術賞、メイクアップ賞を受賞したのも納得。山の中に潜むゲリラとの戦いが激化する中冷酷でお腹の中の自分の子にしか興味を示さないヒダル大尉の下で3つの試練を遂行していくオフェリア。オフェリアが迷い込むラビリンスでの奮闘が戦争という現実にまったく反映されない、逆に試練を頑張れば頑張るほど現実は過酷になっていく。このサディスティックな所がオフェリアの存在を際立たせていて好きです。監督、脚本のデル・トロはきっとサドだな。少女が受け止めるにはあまりにも過酷な現実から救い出してくれたラビリンスへと旅立ったオフェリアは幸せだったんだろうと願う。絶望の中に希望が作り出されたのはオフェリアの強さだろうか?弱さだろうか?ラストの白い花で救われたような気がするけど切ないわぁ…重いわぁ…暗いわぁ…でも嫌いじゃないわぁ。マッチ売りの少女とか好きなら楽しめるかも。子供向けじゃないファンタジー好きな方にはお薦めだけど多少グロかったり痛かったりするシーンがあるので苦手な人は気をつけて。「パンズ・ラビリンス」 ★★★★