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雀坊の納戸~文鳥動向の備忘録~

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2013年02月24日
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 10年以上前に(2000年)、その頃日本でも出回りだした小鳥用の人工フード(ペレット)について、考察したことがありました(文鳥問題8)。
 そして、それに対し、ハリソン社のペレットを信奉する人からメールがあったものですが(その後)、先日、10年余の時を経て、10年前の「ラウディブッシュと一緒にしないで!」を彷彿とさせるメールを頂きました。・・・10年経っても、同じような人がおそらく同じ人に同じように言われて同じようなことを言ってきたものですから、返事を打ちつつ笑ってしまいました。せっかくなので、頂いたメールも引用しつつ、ペレットについて再論しておきます。

【メールのごく一部引用】
 私はペレット(ハリソン)を使用しています。
 これはホームドクター(獣医)による処方食です。健康診断後に処方されました
 私の感覚ではペレットは【食】ではなく【処方薬】のようなものです。

 一部の獣医さんに「処方食」として薦められて始めるパターンは、10年前から変わりませんが、その「処方食」なるものは、実際には一般に流通していて、別に処方していただかなくても10年以上前から入手できます。今は、メーカー自体が一般に通販してくれてもいるようです(ハリソン社のサイトもちろん英語)。10年にもわたり、一部の鳥専門を称する獣医さんたちがせっせと推奨したにもかかわらず、10年前から変わらずに特別なものと思い込んでしまう人がいるくらいに、文鳥飼育では用いない人が圧倒的に多いこの現実はどうしたわけでしょうか?
  もしかしたら、本来の価値の2倍以上にもなってしまう日本での小売価格に、普及を阻害する原因があると考える人がいるかも知れません。しかし、需要が大きければ輸入量も増え、輸入コストが圧縮されて小売価格も下がったはずです。実際日本でも通販されるお店も現れて競争原理が働いたのか、獣医さんへの流通が改善されたのか、為替レートで円高が進んだおかげか、2,500円などと書いた2002年段階よりもずっと安くなっていますが、やはり一般化しません。一般化していれば、価格もより安くなり、「処方食」だとか「動物病院専用食」などと、情報不足の飼い主が獣医さんから買い続けるような不便な思いをすることもなかったでしょう。ではなぜ、ドックフードのように小鳥のペレットが普及しないのでしょうか?
 さっさと結論を言えば、それは穀物配合飼料を主食とすることが、よほど自然な食事だったので、わざわざ変える必然性がなかったからだと思います。

 まず、現在の価格について見ておきましょう。メーカー直販サイトの『ADULT LIFETIME SUPER FINE』1ポンド入りの現地価格は、現在7ドル40セントとなっています。これを日本円に換算するなら、650~700円くらいですが、日本の流通小売価格は1,780円です(byアマゾン送料別)。
 一部の動物病院では、より安く「処方」してくれるようですが、それでも現地価格の2倍程度にはなってしまうようです。しかし、それは需要が少ない日本だけの特殊な話で、本来の価値は700円程度、100gあたり156円程度の、10年前からマイナーな飼料のひとつに過ぎないと考えるべきで、何ら特殊なものではありません。まさか、価格だけで優越感に浸るような人はいないかと思いますが、黒瀬ペットフードの日本国産配合餌は、市場価格で600g1,500円くらい、つまり100g250円ほどになるので、こちらの方よほど高級なのが現実です。

 そもそも、ペットにとって最善のエサは、栄養バランスのとれた安全性の高いものを自然の形態のままに食べられることだと、私は信じています。以前(2005年)「「究極のバードフード」は野生で食べる本来の食性に合ったもののはず」と、大型インコの知見が豊富な方も論じられてもいました(文鳥問題30)。しかし、基本が肉食の犬や猫でそれを実現するのは難しく、鳥でも、大型インコのような、木の実や果実類を主食にするような生き物では、毎日のことですから、やはり難しいはずです。
 そこで、ドックフードやキャットフードが進歩し、鳥類のインコ、特に大型インコのための人工飼料ペレットが作られることになったのだと思います。大型インコの場合、人間が栽培し飼料として流用できる種実が、ヒマワリなどの脂肪を多く含む高カロリーなものばかりだったので、健康上の問題を起こしやすく、そのため次善の策として、人工のペレットが必要となったわけです。
 しかし、次善は次善にすぎず、少なくとも現状では、最善には成り得ません。それは、人工飼料が栄養面で優れているとしても、「自然の形態のままに食べられる」という面を犠牲にしているからです。噛んだりむしったりそういった行動が、生き物の生理にどれだけ必要なことか、人間はまだ完全には把握出来ていません。それでも、犬猫にせよインコにせよ、かじったりむしったりするオヤツや玩具を用意し、食事の際に充足されるべき行動を、遊びの一環として補うことが可能で、現在の飼育方法はそのような食事とは別の面で食事では得られなくなってしまった側面を補う形で、進化してきているように思われます。その点、インコの場合も、脚やクチバシを器用に使って玩具で遊びますから、捕食の際に必要なはずの行動を遊びで代替が可能なわけです。

 文鳥問題30で、既に言いたいことは言い尽くしていると思いますが、文鳥の場合の最善も、いろいろな穀物、いろいろな野菜、鉱物その他、安全性の高い自然な形状のものを、捕食本能に基づいて摂取することのはずで、幸運にも、それは一般家庭での飼育でも、容易に達成可能な範囲にあるのです。この点、犬猫インコ類とは、まったく事情が異なっているので、安易に混同しないように注意が必要です。
 そもそもが人間の稲作文化に寄生し、雑食性も合わせ持つのが、文鳥という生物種です。そして、その文鳥に対して人間が主食飼料として用意できた雑穀類(アワ・ヒエ・キビ・お米など)は、当然と言えば当然ですが、ほとんど文鳥の自然な食性と合致していると考えられます。したがって、他にちょっとした副食を用意するだけで、「自然の形態のままに食べられる」面を犠牲にすることなく、食性に近い自然な食事になってしまうのです。

【メールのごく一部引用】
 それと、あなたは鳥の獣医ではありませんよね?怪我や病気に対して適正な処置はできませんよね?
 従って、素人がネット上からかき集めた栄養成分表を広げてあーだこーだ言った所で所詮素人考えにしか過ぎないと思います。
 鳥の生態に対して高度な専門知識を持った人以外の見解は無意味なんじゃないのかな~って思います。
 食は直接生態に影響しますから生死にも繋がります。
 【こう思っているから書いた】だけではすまされません。

 見ず知らずの相手に対する文面としていかがなものかと思いますが、それはともかく、常々、小鳥の栄養学という学問が存在し、それを専門に研究する人が複数いて、その学界内部で学術論文の応酬による切磋琢磨を経た、定説が存在してくれるなら、どれほど楽かと思っています。しかし、それは夢物語です。実際は、栄養学は専門外という点では、普通の素人と何も変わらない獣医さんが、趣味的な無責任そのままに、栄養学的知識を「あーだこーだ」しているだけです。
 そして、栄養学の素人に過ぎないことを自覚すらしていない、鳥の臨床を専門とする獣医さんが、診察室で「あーだこーだ」と素人考えの自説を飼い主に『指導』した結果、「生死にも繋が」る事態を引き起こしかねない可能性はありそうです。
 先日もヨードの摂取を薦める獣医さんの見解が、科学的な常識にも逸脱したものと、繰り返し繰り返し再三再四にわたり批判をしましたが、その獣医さんは、20年前には飲水にイソジンのうがい薬を入れるように、『指導』されていました。栄養成分としてのヨード(ヨウ素)は、海洋国家で問題にされるものではないという常識と、日本の飼鳥ではそういった問題は起きていない経験上の事実と、その理由と考えられる飼料としてのボレー粉の使用の意味を、何ら考慮することなく、ヨウ素が不足する宿命を持つ内陸での問題を断片的な知識として「外挿」し、まさに机上の空論脳内の妄想基づいて、ヨードを摂取させねばならないと思い込んでしまい、科学的で学問的な検討も経ないにもかかわらず、特に症状もない鳥達に、過剰になれば毒性があり、なおかつうがい薬として作られたものを、安易に薦めていたわけです。「こう思っているから」与えるように『指導』しても、その後研究が進んで必要がなかった、で済んでしまえるのでしょうか?自分の軽はずみな『指導』を批判能力のない飼い主が従順に実践した結果、健康被害が引き起こしたのではないか、と反省しない厚かましさは、うらやましい程です。
 獣医さんも栄養学の専門家ではなく、鳥の栄養についての専門学問など存在せず、そもそも専門家は専門学問で論文を書いて、研究者間で定説となるべく努力するだけの存在ですから(素人である一般人に自説を定説のように語るのは似非学者)、残念ながら、素人は生活者として、飼い主なら飼育にとって必要な知識を、自分で「あーだこーだ」しなければなりません。誰かに絶対確実な方法を教えてもらえるなどと、幼児じみた有り得ない甘い考えは捨てなければいけません。誰が書いたから正しいではなく、書かれている内容が論証として矛盾がないか、提示された根拠に不備がないか、自分の頭で判断したいところです。人を信じるか否かではなく、その見解の論証が正確かどうか、それを見極めるのが知性です。それこそが、科学のはずです。
 では、自分の頭で考えてみましょう。「食は直接生態(※「生態」ではなく「生理」か)に影響しますから生死にも繋がります」は、そのとおりだとして、だからこそ、数百年間用いられている飼料の方が、発展途上の人工飼料よりも無難なのではありませんか

(中)につづく






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Last updated  2013年07月31日 11時46分34秒
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