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カテゴリ:動物愛護法関連
先日、以下のご意見を掲示板にいただきました。 「一般人の里親募集は(※動物愛護法の)規制の範囲に入るのか?そもそも、里親募集してもよい範囲とは保健所に問い合わせた所、年間二頭以上は動物取扱の許可が無いと出来ないので1羽までとなります。頭の表現は動物の頭数を表すため、鳥類は1羽となります。掲示板等で一般飼育者が里親募集しても良いのは年間1羽までです。」 まったく同じ内容を、同じようでも別人らしい方が、「年1回1羽のみ可」はデタラメ(興味があるならコチラ)と、すでに全力で繰り返してしまっている文鳥の「里親」募集掲示板の管理人に、何のためらいもなく言って寄こしてくるほどに、このデタラメが、正義感あふれる人に浸透してしまっているわけです。 そのように、自分が接した「保健所」窓口の意見は、一職員の解釈に過ぎないかもしれない、という事実を踏まえて、繰り返しになりますが、各地域の動物取扱業を管轄する自治体が、何をもって動物取扱業としているのかを、検証してみましょう。例えば、長崎県のサイトの次のような記載が典型的です。 動物取扱業の「業」の考え方 省令なのか通達なのか、現時点で確認できませんでしたが、おそらく、所轄の中央官庁である環境省の担当者が、地方自治体担当課に送ったペーパーが基になっているらしく、同じ内容の説明文は、他の自治体サイトにも散見されます(衆議院調査局環境調査室が昨年8月まとめた報告書『動物の愛護及び管理をめぐる現状と課題』では、「何をもって動物取扱「業」とするかについては、従来は、【1】社会性をもって、【2】反復継続的に又は多数の動物を(年2回又は2頭以上)、【3】営利の目的等をもって動物を取り扱うことと解釈されている」とされ、法律的根拠は無く、あくまでも一般的な解釈に過ぎないと見なされています。つまり、実在が確かめられず、法的根拠となりうる文章とは見なし難いですが、便宜上、以後は『通達』と略記します)。これも以前、再三にわたり指摘したところですが、この文章を読めば、動物取扱業と見なされるには、3要件がそろうことが必要で、その中の一つに「頻度・取扱量」があり、その「例」として、「年間2回以上又は2頭以上」があることは、明らかです。 しかし、こうした解釈は珍しくはないようです。例えば、岡山県の頻度・取扱量の説明も、こうした勝手な法解釈の結果のように思われます。岡山県担当者氏は、「動物の取扱いを継続反復して行っているものであること、又は一時的なものであっても多数の動物を取り扱っているものであること」としており、この法律的で分かりにくい部分は、ほとんど『通達』のままに載せています。ところが、続いて「(少なくとも、年当たり2回又は2匹のいずれかを超える取扱いがある場合は、当該要件に該当します。)」と、なぜかこの部分だけ、独自の解釈を加えています。他は同じですから、原文は「(例:年間2回以上又は2頭以上)」だったはずですが、「いずれかを超える取扱い」などと作文し、カッコ書きの付け足しの「例」に過ぎないものを、あたかも完全に規定をされた厳格な数値のように挙げて、「該当します」と断定しています。このような解釈は、やはり想像したように、わかりにくい『通達』の中の「例」だけが、わかりやすかった弊害ではないでしょうか。 では、登録をしなければ「里親募集」が違法となるとする、一部の行政窓口を含めた有識者めいた雑多な人たちにミスリードされ、動物取扱業希望者が大量に出現してしまったはずの人口密集地域の自治体は、どのように対処されているのでしょうか。東京都では、次のように書いています。 結局、現実的な対応としては、東京都その他が掲げるような、具体的な例示をせずに、「社会通念上」とするしかないとしても、実際はどういった基準で運用されているのでしょうか?これも類推するしかありませんが、犬なら不慮の繁殖や次代継続のため、1家庭で1回数頭程度は許容範囲とすれば、「年間2回以上」とする「例」にも抵触しないように思われます。さらに、いくら繁殖しても営利性を認められなければ除外、知り合い同士のやり取りレベルで社会性が低いと認められたら、やはり除外・・・。個人の繁殖で、かなり頻繁に行い有償で販売(「譲渡」)している場合は、回数や営利性次第のグレーゾーンとなるので、なるべく登録が推奨される、この程度が常識的なところかと思います。 しかし、自分で飼育する目的外で、年に何回も計画づくで繁殖し、無償であっても他人に「譲渡」するのは、普通の飼育とは異なる反復継続行為ですから、動物取扱業の登録があってしかるべきだと、個人的には思います。逆に言えば、計画性を伴わない繁殖によるものは許容(ただし以後の繁殖には注意)、飼育継続のため自宅に残す者以外の「里親」募集なら、1つがいに付き、年1回以下(年1~数年に1回)は許容される、程度が、文鳥飼育上の、常識的線引きになるのではないかと考えています。もちろん、その程度の数量では、営利性は認めにくいでしょうから、無償か有償かは個人の自由とするしかありません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2013年06月29日 18時04分24秒
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