テレビ東京「WBS」が報じた古典文学人気とは
古典文学人気が高まっている。出版界で事件とまでいわれているのがロシアの文豪ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」。長編小説だが、100万部を超える大ヒットになっている。光文社から出版されているもので、東京外国語大学の学長である亀山郁夫氏の新訳だ。読みやすい新訳が理由の一つ。カラマーゾフの兄弟(1)亀山郁夫氏は言う。かなりリアルなわれわれの感覚にフィットする、難しいけれども体で感じ取れる。ドストエフスキーほどお金が持っている運命的な力、神の力に代わるほどの絶対的な力として人間を支配する。そういう力としてお金を描いた作家はいない。われわれもお金に完全に翻弄され尽くしている現実にきているので、ドストエフスキーは自ずから21世紀のグローバル化時代を持っていたかのように予言的な力に満ちている。ゴマブックスから中高生をターゲットにした古典文学も登場。表紙には人気俳優のグラビア写真でページを開くと横書きだ。編集局長は言う。携帯メールで恋愛話をする感覚で古典文学にも入り込めると。2007年7月に発行した「まんがで読む読破シリーズ」は25作品で120万部をこえている。イースト・プレス社からで、ターゲットは蟹工船の読者という。現状はこうだと突きつけられて出口がない。ゲーテ「ファウスト」、マルクス「資本論」、トルストイ「戦争と平和」、スタンダール「赤と黒」、ドストエフスキー「罪と罰」、福沢諭吉「学問のすすめ」、ニーチェ「ツァラトゥストラかく語りき」などがある。ダヴィンチの編集長は言う。文学は書き手も読み手も含めて、それに関わる人たちを救う装置だと思う。激動の時代だとか、人々が本当に苦しめられている時代、出口がなくあがいている時代に、良質の文学というものは自ずと生まれてくる。われわれはだから危機的な状況なのだということだと思う。番組とは関係ないが、前出した古典以外で有名であり、超一級の古典を紹介する。これらは世界のエリートの教養の源泉(共通言語)といってもいい。プラトン「ソクラテスの弁明」「饗宴」カント「純粋理性批判」「永遠平和のために」シェイクスピア「マクベス」トルストイ「アンナ・カレーリナ」「イワンの馬鹿」カエサル「ガリア戦記」ロマン・ロラン「ジャン・クリストフ」ルソー「エミール」J.S.ミル「自由論」マックス・ウェ-バー「プロテスタンティズムとの倫理と資本主義の精神」聖書マルクス・アウレリウス・アントニヌス「自省録」ラ・ロシュフコー箴言集孔子「論語」孫子の兵法菜根譚古事記源氏物語歎異抄銀河鉄道の夜夏目漱石「坊ちゃん」「こころ」新渡戸稲造「武士道」和辻哲郎「風土」九鬼周造「いきの構造」