アート・ペッパーの活動歴は、一般に麻薬療養中のブランクを境にして
「リヴィング・レジェンド以前/以後」と分類される事が多い。
これはショーティ・ロジャース一派の
「所謂ウェスト・コースト・ジャズ・ミュージシャン」 として
甘美な音色と官能的なフレーズを身上としていた時期と、激情を交えた
男性的なプレイの時代に分けているわけだが、彼の作品を年代順に
聴き込んでみると、本作こそが「後期ペッパー」の出発点である事が分かる。
マイルス・デイヴィスのリズム・セクションとの競演と言う理由で
我が国でも『続アート・ペッパー・ミーツ・ザ・リズム・セクション』と言う評価が定着しているが
実際の内容はアート・ペッパーがガラリと演奏スタイルを変えるようになった
彼にとっての「ウェスト・コースト・ジャズ時代の終結/ハード志向宣言」 と、呼ぶのが相応しい。
共演のウィントン・ケリーも普段は軽やかなフレージングに定評があるのに、ここでは殊更に重苦しい
アドリブ表現を展開し、『ミーツ・ザ・リズム・セクション』の華やかな美しさは皆無である。
当初からウェスト・コースト・ジャズ自体、奏法はバップであったのにも拘らずペッパーを含む
西海岸派の白人達がさらに激しく重いフィーリングを目指していた事が、後期西海岸の諸作で確認できる。
ゲッティン・トゥゲザー
ジャズアルバム紹介 ゲッティン・トゥゲザー
ジャズアルバム紹介 ゲッティン・トゥゲザー
上記に加筆・修正を加え転載。
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