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テーマ:私の図書(49)
カテゴリ:本
桜色の魂 長田渚左 2014年
チャスラフスカはなぜ日本人を50年も愛したのか 世界最高の水準に到達した体操人は、互いに敬慕し合うる人格を備えているらしい。最高域の演技とは、高貴で真摯な人格を備えていなければなしえないことのようで、成し遂げられた演技は、文化や言語を超えた人間性の証となるらしい。この領域で日本体操陣とチャスラフスカは心が通じたらしい。まさに、以心伝心、意気投合したようです。 遠藤幸雄の生い立ちと見事な振る舞い、公正公平な日本人国際審判員、失敗して点数にかかわりがなくなっても最高の演技を日本人観衆に見せるチャスラフスカ、感動して家宝の日本刀を贈る一介の日本人、魂のこもったものとして大切にするチャスラフスカ、ローマ、東京、メキシコと心ふるえるオリンピックであります。 さらに、この後の激動の歴史の中で、信念を貫き通した波乱の人生は、圧倒的です。プラハの春、自由化宣言への署名、ワルシャワ条約機構軍によるチェコスロバキア制圧、共産党による21年に及んだ弾圧(署名撤回宣言の執拗な要求、仕事締め出し、秘密警察の監視、偽名で掃除婦をしてしのいだ生計、弟の投獄と出獄後の自動車事故死、キューバへの石炭供給のソビエトとメキシコの密約条件でメキシコへ体操指導者として赴任)、家族の重なる不幸と帰国、夫のDVで家庭崩壊・離婚、ソビエトの崩壊、ビロード革命によるチェコスロバキアの自由化、自由化集会での演説、大統領補佐官への就任、息子が元夫を傷害致死、息子の実刑判決、マスコミの餌食、精神に異常、14年に及ぶ闘病、遠藤幸雄の癌、チャスラフスカの精神の復活、人生の支えとなった日本人・武士道への感謝、震災への慰問、被災の子供たちの招聘、偉人として遠藤幸雄を伝承と、感動の連続でした。 共産主義に抑圧されたチャスラフスカが、耐え忍び、復活を遂げる姿は、21世紀後半の歴史の縮図そのもので、波乱万丈の武士道の貫徹との説明に心が震えました。今の日本人は、正しく理解して大切にしていけるかどうか気にかかります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Feb 17, 2015 09:27:10 AM
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