亡き母がきれいな蝶々になって
母が亡くなって、もう4年が過ぎようとしている。死ぬまでけんかばかりだった父は、後を追うようにして翌年亡くなった。辛いことがあると、いつも母に電話をかけて、1時間ぐらい話してお互いに死ぬほど笑ってすっきりしていた。いい年をして、母が居ないとダメだった私。母が亡くなって、私は母のことを少し恨むようになった。もっと違う育て方をしてくれたら、違う人生だったのに・・と。でも、この頃よく考える。私は前世がどうしようもないバカで、甘えていい人生を棒に振ったのではないだろうか? だから、こんなに甘ったれて根性なしの私の性根を叩きなおすために、私はあえてあの家に生まれたのではないだろうか?すると、私を憎んでいたあの父ももしかしたら神様のお使い?なんてね、こんな話を誰かにしようものなら、頭がおかしいと思われるに違いない。私は無宗教だけど、神様はどこかにいらっしゃると思っている。その神様が、「まだ、ダメだ、お前はもっとできるはずだ。」と課題をたくさん与えられているように思う。最近、疲れていてストレスがたまり体調がひどく悪い。針・灸の先生たちのおかげでなんとかもってはいるが手足が震えたり、小さな音で敏感に反応してめまいがしたり耳鳴りがしたり、過呼吸になったりしている。部屋は散らかっているし、大学の勉強も全然進んでいない。ほんとうに落ち込んでいた。長かった梅雨が明けようという今日、みなとみらいの病院で睡眠時無呼吸症候群の定期検査を受けるために地下鉄の駅へ急ごうとしていたら、急にきれいな蝶々が飛んできた。私は虫が怖い。蝶々やとんぼもこわい。なのに今日の蝶々さんは、とてもきれいで、私の周りをぐるぐるまわった。まるでこんにちはを言うように。鮮やかな水色ときれいなグリーンの羽を身にまとった蝶々さんに「こんにちは 蝶々さん」と声をかけた。すると、なにか不思議な気持ちになって、この蝶々は母ではないのかと思えた。少し歩きだして、振り返ったがそこには蝶々の姿はなかった。きっと母が遊びに来たのだと思った。涙が止まらなくなった。私は100回生まれ変わっても、あなたの娘になりたいです。今度はちゃんとしたお父さんを見つけてね。こんな感性の子供に育てたのは、まぎれもなく母である。母は、あなたが自分で努力して身に着けたと言っていたがもちろん、それもあるだろうが、私が誇れる家の娘で居てくれた母。私を支えているのは、母の家柄だけしかない。もっと頑張らねば。