その夜、瑞姫はルドルフの寝室に呼ばれた。
「ルドルフ様、瑞姫です。」
「入れ。」
寝室に入ると、そこには素肌にシャツ一枚しか羽織っていないルドルフが寝台の淵に腰掛けていた。
「どうしたんです、そんな格好をなさって?」
「暑くてな。それに・・」
ルドルフはそっと寝台から立ち上がると、瑞姫を抱き締めた。
「ここのところ最近忙しくて、夜の営みが無かっただろう?」
「ル、ルドルフ様・・」
瑞姫の頬が赤く染まった。
「来月でリョータロウも2歳だ。そろそろ3人目が欲しくなった。」
「でも・・」
「前にも言っただろう? わたしはお前との子どもを何人でも欲しいと。お前は、違うのか?」
「わたしも・・出来れば・・」
「そうか。」
ルドルフは瑞姫のキャミソールの裾を捲ると、パンティの上から瑞姫の秘所を触った。
「こんなに濡れてるじゃないか。」
「いやぁ、言わないで・・」
ルドルフは瑞姫をそっと寝台に横たえると、キスの雨を彼女の全身に浴びせた。
瑞姫はルドルフの腕の中で何度も絶頂に達した。
「大丈夫か?」
「ええ・・ひさしぶりでしたから・・」
ルドルフは自分の隣で眠る瑞姫の髪を梳いた。
「皇太子妃様、皇太子様。」
ドアの向こうから、ロシェクの声が聞こえた。
「どうした、ロシェク?」
「あの・・どうしてもお二人にお会いしたいという方が・・」
「こんな時間にか?」
ルドルフはそう言って舌打ちすると、ガウンを羽織って寝台から降りた。
瑞姫もそれに倣ってガウンを羽織った。
「誰でしょうね、わたし達にお会いしたい方って?」
「さぁな。」
寝室を出た2人の前に立っていたのは、聡一郎の嫁・香帆子だった。
「まぁ、あなたとはお会いしたくないと言ったではないの? それに、こんな時間に人を訪問なさるなんて余程の礼儀知らずだわ。」
瑞姫はそう言うと、じろりと香帆子を睨んだ。
「申し訳ありません、皇太子妃様。ですが、最後のお願いにこうしてわたくしが参りました。」
「最後のお願いですって?」
香帆子は瑞姫とルドルフの前で土下座した。
「どうか、息子に会っていただけないでしょうか?」
「あなたの息子に? 何故わたくし達が会わなくてはならないのかしら? その理由を述べてくれないこと?」
「もうわたし達夫婦はあの子を育てる事が出来ません。ですから・・」
「わたくしたちが、あなたの息子を養子にしろと? 真夜中に訪問してきただけでも非常識極まりないというのに、自分が産んだ子を捨てるですって? あなたはそれでも母親ですか?」
瑞姫の刺々しい言葉を受けながら、香帆子は俯いた。
「今日はもう遅いですからお帰り下さいな。それと、あなたのお義父様はこの事をご存知なのかしら?」
「い、いいえ・・」
「そう。ではあなたから聞いたお話をお義父様にしなければね。」
瑞姫はそう言うと、香帆子に背を向けて寝室へと戻って行った。
ルドルフも無言でその後を追った。
香帆子は呆然と、閉ざされた扉の前で立ち尽くしていた。
「全く、小父様といいあの人といい、何を考えているのやら・・」
「自分を産んだ子を捨てるなんて、一体何を考えているんだろうな?」
ルドルフは溜息を吐くと、瑞姫を抱き締めたまま眠りに就いた。
同じ頃、シリルは外から物音がしてベッドからゆっくりと起き上がった。
「誰か、居るのですか?」
リビングの電気をつけると、そこにはソファの傍に蹲っている男の姿があった。
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