「お父様、お母様、会わせたい方がいるの。」
エルジィはユナが縁談相手にあったその日の夜、そう瑞姫とルドルフに話を切りだした。
「そうか。明後日でもいいからその人をここに連れて来なさい。」
ルドルフはそう言って、娘の幸せそうな顔を見た。
数日後、エルジィは最近職場で知り合った恋人・ペツネックを連れてダイニングへと入った。
「あなたが、ペツネックさんね? エルジィからは色々と聞いているわ。」
瑞姫がそう言ってペツネックに微笑むと、彼は恥ずかしそうに俯いた。
「お姉様、ペツネックさんとご結婚なさるの?」
「ええ。すぐにとはいかないけれどね。子ども達も彼によく懐いているし・・」
「そう。幸せになってね。」
瑞姫はルドルフと顔を見合わせると、嬉しそうに笑った。
「エルジィ、本当に僕でいいのかい?」
「いいのよ。わたしはあなたと結婚したいの。」
「そうか・・」
皇族ではないとは言え、エルジィがルドルフの娘であることには変わりはなく、ペツネックはそんな彼女を妻に迎えてもいいのだろうかと不安に思っていた。
「今度、両家の食事会を開かないか?」
「いいわね、そうしましょう。」
ペツネックとエリザベートによって開かれた両家の食事会は、和気藹藹とした雰囲気の中で行われた。
ペツネックの両親はエルジィを気に入っており、4人も孫が出来るだなんて今から楽しみだと言うくらい、息子の結婚を心から喜んでいた。
エルジィに離婚歴があるということを彼らは知っていたが、息子の幸せそうな顔を見ているとそんな事など気にしない方がいいと彼らは思うようになっていた。
「向こうのご両親、良い方でよかったわね。」
「ああ。エルジィは本当の幸せを手に入れることができるだろうな。」
ルドルフはそう言うと、瑞姫を抱き締めた。
「どうしました、急に甘えて?」
「ミズキ、7人目がそろそろ欲しくないか?」
ルドルフは瑞姫の乳房を揉むと、彼女は彼にしなだれかかった。
数ヵ月後、エルジィはペツネックと再婚した。
以前の結婚生活とは違い、ペツネックは家庭的な人間で、エルジィと共に仕事と家事、育児を両立させ、子ども達と休みの日には遊んだりしていた。
「エルジィ、本当に良い人と巡り会えたわね。」
「ええ、お母様。ペツネックはフランツ達と血が繋がらなくても自分の子どもとして育ててくれているの。わたし、彼と出逢えて良かったわ。」
「そう。神様がきっと、頑張っているあなたとペツネックさんを巡り合わせてくださったのね。」
瑞姫がそう言って紅茶を飲もうとすると、彼女は吐き気に襲われて慌てて口元を覆った。
「お母様、もしかして妊娠したの?」
「ええ。お父様がそろそろ7人目が欲しいっておっしゃってね。わたしも子育てが一段落した頃だし、いいかなぁと思ってお父様のお誘いに乗ったのよ。」
瑞姫はエルジィに微笑むと、下腹を擦った。
「陛下、リシャール様が陛下にお目通り願いたいと・・」
「わかった。」
ルドルフが執務室で仕事をしていると、セシェンを連れたリシャールが執務室に入って来た。
『ルドルフ様、セシェンはお気に召しませんでしたか?』
『気に入るも何も、その者と交わる気はない。』
『そうですか。それよりもエルジィ様のご再婚、おめでとうございます。』
『ありがとう。リシャール、まだ国には戻らないのか?』
『ええ。我が国は混乱を極めておりますから。それよりもルドルフ様、セシェンのことでお話がございます。』
リシャールはルドルフの耳元で何かを囁いた。
『お前は一体、何を考えているんだ?』
ルドルフはそう言うと、リシャールを睨みつけた。
だが彼は涼しい顔をしてこう言った。
『セシェンはあなたの事を密かに慕っておりました。一度だけでもいいのです、彼を抱いてやってください。』
その言葉を聞いたセシェンが突然ルドルフの前に跪くと、彼の股間に顔を埋めた。
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