「殿、東雲が国境を越えて近隣の村を全滅させ、村人を全員虐殺いたしました!」
伝令を受けた昭義の顔は、怒りで真っ赤に染まった。
「・・なんということを・・東雲め、許さぬ!」
昭義は家臣達の顔を見渡して言った。
「わが磯村は東雲と戦をする!あの白狐を生かしてはおけぬ!」
こうして、東雲と磯村との間で、戦いの火蓋が気って落とされた。
「ん・・」
表が騒がしいのに気づき、美津は夜着を羽織って部屋を出た。
「姫様・・」
廊下を出ると、そこには悲憤の表情を浮かべた四郎が立っていた。
「表が騒がしいから、何かと思って出てきたの・・どうしたの、四郎?」
「・・私の村が、全滅しました。」
四郎はそう言って壁を拳で叩いた。
「東雲は、私の家に火を放ち、家族全員焼き殺しました。そればかりではなく、近隣の村人達まで虐殺を・・」
「四郎・・」
美津はそっと、四郎を抱きしめた。
「ひどいわ、なんてひどいことをするの・・」
「姫様、私は戦います。戦って家族の仇を討ちます。」
「私も、手伝うわ。」
「ありがとうございます、姫様。」
四郎はそう言って、美津の唇を塞いだ。
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Last updated
2012.03.07 16:20:56
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